ようちえんガイド

教えてふじようちえん

子どもたちに、新しいふじようちえんでどのように育ってほしいですか?
この質問は、加藤園長先生、佐藤可士和さん、手塚貴晴さんがお話します。

加藤園長先生

私は、幼稚園園長という立場ですけど、0歳から10歳ぐらいまでのこどもの育ちの応援団という立場で、今の仕事をしています。幼稚園が、幼稚園らしく、いるだけの時代ではないと思っています。

幼稚園こそ、育ちの中心にあるべきだと思っています。だからこそ、可士和さんのおっしゃっている、“いい空気の流れる幼稚園”そして、手塚先生がおっしゃっている、“仲間はずれのない幼稚園”になれればなあと思っています。そんな幼稚園で、すくすくと元気よく育っていってほしいです。


アートディレクター
佐藤可士和さん

ズバリ、クリエイティビティ溢れる子供に育って欲しいです。クリエイティビティと言っても、絵を上手く描くみたいなことではありません。

あの幼稚園は巨大な遊具です。
どんな遊具も、自分たちでルールを考えたり、決めたりしないと、遊べないはず。だから、あたらしいふじようちえんは、決まりきった園舎とは違います。工夫すれば、するだけ、面白く遊べる幼稚園です。園舎を通して、ものを作ったり、考えたりする楽しさや喜びを学んでほしいと思っています。自分だったら、いろんなことをして、副園長先生とかに怒られることは確実です。。かしわくん、こら!って。

この幼稚園に通うこどもたちは本当に羨ましいです。なぜなら、僕が行きたいと思って作った幼稚園だから。遊んでばっかりいないで、勉強しなさいっていうセリフがあります。そういう言葉がなくなってくれればいいと思っています。今、僕がやっている仕事だって、誤解を恐れずに言えば遊んでいるようなものだから。そうやって、この幼稚園もできました。だから、ここに通う子供たちも、ぜひ。


建築家
手塚貴晴さん

第一に仲間はずれを作らない大人になってほしいです。私自身兄が障害を持っているというだけで、小学校低学年時代かなり苦労した覚えがあります。友達から「お母さんから君の家に行っちゃいけないと言われたからもう遊べない」と言われて、二年ぐらい仲間はずれにされた覚えがあります。先生も誰も助けてくれませんでした。決まってそういう出来事は先生の目が届かない裏の方で起こるんですよね。

大きな意味では、戦争でも同じです。実際に戦争を起こしているのは、現場にいない司令官です。目の届かないところの出来事には現実感がないのです。だから次第に信じられないようなことを平気で命令できる。

今社会問題になっているイジメや異常行動の問題は、あまりにも日常が無菌状態になってしまった結果だと思います。勉強は静かな子供部屋で鍵付。しかし勉強できる子供は図書館に勉強しに行くでしょう?変ですよね。図書館というのは決して静かな環境じゃない。いつも雑音がある。周辺の目もある。人間は本来集団の中にいて安心する動物なのだと思います。人には雑音と人の目が必要なのだと思います。

第二に自分で物を考えて動ける大人になって欲しいです。

今バーチャルリアリティーが現実に取って代わろうとしています。これは社会から人や物との付会いが消えていっているせいだと思います。

この幼稚園は全てがローテックです。実はかなりハイテックなのですが、敢えて子供達にはローテックを強いています。照明は昔ながらの裸電球で、その場に行って紐を引っ張らないと点かない。しかもひっぱてもその周辺の三灯しか点かない。隣の教室の雑音はどんどん入ってくる。サッシは敢えて隙間風を入れる。廊下は敢えて外廊下。

この幼稚園のアイデアの素となった「屋根の家」の高橋さんが言った事が今でも我々の座右の銘になっています。冬は寒いし夏は暑い、気温変化の厳しい屋根の上なんか使うわけないという批判に対して、高橋さんは「夏は暑いから朝と夜出る。冬は寒いからお昼に出る」「夏は夕涼み冬は日向ぼっこ」。これは昔誰でも知っていた感覚ですよね。これをみんな忘れてしまっている。

この幼稚園では全て自分で考えて作るように出来ています。このプロジェクトの最初に、可士和さんが「遊具としての幼稚園」というコンセプトを立ち上げましたが、これは我々のチームにとって遊具を建物にくっつけるということではないんですね。普通の遊具というのは使い方が決まっています。逆に言えば使い方がそれ以上に広がらない。この幼稚園では屋根の上に遊具はありません。子供は自分で居場所と遊び方を見つけるのです。宮崎監督の名作「となりのトトロ」にさつきとメイの家が出てきますが、あそこにも遊具がありません。それでも沢山の冒険の可能性が隠れている。あの感覚が私達の目指す雰囲気に近い。