ふじようちえん

2013.1月8日 三学期始業式 園長だより

2013年01月08日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

あけましておめでとうございます。
新年にあたり、皆様のご多幸、お子様の健やかなご成長をお祈り申し上げます。
寒さが一段と強まりましたが、穏やかなお正月を過ごされたことと思います。
ふじようちえんは、本年も“あるべき未来の子どもの姿につながる今”を常に意識しつつ、お子様の育ちに少しでも貢献できるよう教職員一同、力を合わせて頑張って参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

みんなが集まるお正月、子どもたちも、おじいちゃんやおばあちゃん、ご親戚、従兄弟の皆さんに会って、楽しいひと時を過ごしたことと想像します。普段会わない親戚の方々に会いながら、段々とそのつながりや自分の立ち位置を理解し始めるのも、子どもにとってのお正月の特徴かも知れませんね。それに、お年玉を頂くと余計印象が深くなり伯父、伯母の顔をよく憶えたような気がします。(まさしく、現金ですね)
 
いよいよ今日から3学期、手洗い、うがいで、みんなで元気に行きましょう!!
今、幼稚園では、羽子板、たこ揚げ、独楽回し等の昔遊びをしながら、子どもたちは遊んでいます。部屋の中での遊びもいいけど、昔遊びは、体を動かすように出来ているので、自然に体が暖かくなり、とても理にかなっていますね。あっ、おしくらまんじゅうもやってました。

≪昔が伝える大事なこと≫
①愛知県の友人が先日、新年会で料亭に行ったそうです。子どもも数人いての食事会でした。そこで気づいたことは、常に子どもへの料理が最後に運ばれてくるという料理の出し方でした。友人は、昔ながらの料亭だけに料理を出す順番も昔ながらで子どもが最後なのだろう!?と思ったそうです。考えてみると、今は、ご家庭でも、ファミレスでも、子どもがまず先に…という考えで、どこでも子どもの注文が最初に出されているようです。その昔、お父さんが一番先で…という食卓での順番やそれに伴う年長者への敬意を払うこと、特に料理を待つこと、我慢することは、昔話の世界になったようです。子どもが最初、まず先に…と言う温室のような環境で育った人が就職して初めて、新人と言うことで何でも最後の立場を味わうのです。誰も教えてくれないこのギャップを埋めるのも本人自身、大変です。受け入れる会社も大変です。
現実的ではないですが、たまには料亭に子どもを連れて行こう!!と言っていました。

②私は、各クラスがお昼ご飯を食べている時、『大人のものは、大人のもの。子どものものも、大人のもの』と言いながら、デザートのプリンを取ろうとしちゃったりしています。子どもたちは、取られまいとして必死で押さえ…なんてことをしながら楽しくしています。でも、全てが冗談とも言い切れない点もあるのです。それは、子どもは親の所有物ではないと承知はしていますが、どこかで、“子は親の言うことを聞くものなんだ、年長者の言うことは絶対なんだ”的な思いもほんの僅かですが心の隅にあるからです。
言い方は無茶苦茶ですが、私なりに、子を育てる責任感、大人への信頼感、年長者を敬うという姿勢…等々を含んでいるからこそ抱く思いなのだと想像しています。
でも、この思い…やっぱり、今、流行りの「昔ながらの…」になっちゃいますね!?

③一昨日から始まったNHKの大河ドラマ『八重の桜』は、会津藩から始まりました。そこに出てくる“什の掟”は、ある講演会で約2年前に聞いたことがあります。
幼児教育にも通じる点があるので憶えています。当時のメモをもとにお話します。
当時の会津藩では、同じ町に住む6~9歳の藩士の子たちが10人前後で集まりをつくっていました。この集まりのことを会津藩では「什(じゅう)」と呼び、そのうちの年長者が什長(座長)になりました。毎日順番に什の仲間の家に集まり、什長が“什の掟”一つ一つみんなに申し聞かせ、終わると昨日から今日にかけて“什の掟”に背いたものがいなかったかどうかの反省会を行い、行動を律したと言うことです。

【什の掟】   <注釈は、それぞれの掟の意図するところと思って下さい>
1.年長者の言うことに背いてはなりませぬ・・・(素直であれ!!)
まずはやってみろ!! 一番悪いことはやりもしないでダメだと言う人です。
2.年長者にお辞儀をしなければなりませぬ・・・(敬意を示せ!!)
   今、一人一人が敬意を示すことを忘れている。自分より弱い人への態度で、その人の本当の姿が出る。身分の上下なく挨拶するものです。
3.虚言を言うことはなりませぬ・・・・・・・(言行一致せよ!!)
   学びと行動を一致させなさい。行動の精度をあげるために学ぶのです。
4.卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ・・・・(己に負けるな、言ったことはやる)
5.弱いものをいじめてはなりませぬ
6.戸外で物を食べてはなりませぬ・・・・・・(美しい立ち居振る舞い)
   人間は美しくなろう、美しくなろうとするところに成長がある。
   気兼ねがない状況では、美しい行動が出来ません。
7.戸外で婦人と言葉を交わしてはなりませぬ・・・(李下に冠を正さず)
   スモモの木の下を通って、冠が曲がっても、そこで直したらスモモを取っていると見間違いられる。誤解を生む行動はしないこと。
8.ならぬことはならぬものです

この言葉の本音は、「年長者は子どもから偉いと判断され、敬われるべき人物でなければならない」と言うことだと思います。子どもが無条件に(「什の掟」に従って)年長者の言うことを聞き、敬意を示しているのだから、年長者・大人もそれに従わなければならないと言うわけです。子どもが示す態度は、年長者に手本を示すものとしてのプレッシャーを与え、姿勢・行動を要求することになります。ある意味、子どもだけでなく大人にも教育する側の立場を与える仕組みが「什の掟」には秘められています。什の掟は単に、子どもへの教育姿勢・方針を示すだけではなく、「大人のあるべき姿」をも示しているのかもしれませんね・・・私も気を付けます。 

平成24年度 三学期始業式 園長だより vol.118  (2013.1.8)