ふじようちえん

2016年4月28日 園長だより

2016年04月28日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

まずもちまして、今回の熊本地震でお亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。また、被災され、避難所生活、車中生活を余儀なくされている多くの皆様方が一日も早くいつもの生活に戻れますように心より願っております。そして、日夜、救助活動にご尽力されている消防、警察、自衛隊、地域自治会、地元消防団、諸団体、その他行政関係者の皆様等々、さらに多くのボランティアの皆様方に心から敬意を表させて頂くとともに、ケガ等しないよう注意して活動して頂き、復興に期待しております。本当にご苦労様です。
とにかく、地震が早く収まってほしいものです。今までにない強い地震、大きな余震の連続にその推移を見守ることしかできない私どもですが、心も体も疲れ切っている方々へ、今後、何ができるかを見つけながら協力して行こうと考えています。
幼稚園の正面玄関に、熊本地震災害義援金箱を置いて、募金をお願いしています。すでに多くの方々にご厚志を頂きました。本当にありがとうございます。この募金は、立川市を通じて赤十字へ寄付させて頂きます。引き続き、皆様のご理解ご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

≪親が喜ぶと、子どもが育つ≫
さて、一学期が始まり、新入園児のお友だちも幼稚園に慣れた…と思ったら、楽しい連休がやってきました。連休はご家族で楽しい思い出、いっぱい作って下さいね。そして、休み明けは…また、お母さんと幼稚園正門やバス停で泣きの別れが…。でも、このようなことを繰り返しながら、それぞれに状況をわかり始め、それぞれの育ちのペースで、だんだん育って行きます。毎日の泣きながらの登園も、その子なりの自立への道だと思います。繰り返しこそ気づきの第一歩、だから、みんな大丈夫‼
合わせて、特に今の時期、お子様の幼稚園でのお話をしっかり聞いてあげて下さい。そして、いっぱい喜んであげて下さい。小さなことでも喜ぶ親の姿は、子どもにとって一番うれしいし、自信がつくものです。子どもにとって、親の笑顔、喜んでいる親の姿は記憶に深く刻まれていくものだと思います。
忙しい毎日、ついつい指示、命令的な会話になりがちな日常だと思いますが、子どもの良いところを見るようにしましょう。ダメ出しより、良い出し‼ですかね?

≪行事で育つ、子どもたち≫
若葉まぶしい季節、初夏を思わせる青空に、大きな、大きなこいのぼりが、家族で仲良く泳いでいます。泳ぐこいのぼりを見ながら、時代は変わっても“健やかに育ちますように”という親が子を思う気持ちは変わらないものだ‼と改めて感じました。
また、親の思い、ご家族の思いを託されたこいのぼりも大変ですが、その思いをしっかり受け止めて、大きな口を開け、力いっぱい頑張って泳いでいます。
そして、今日、子どもの日・お祝い会をしました。行事の意味、その歴史を話したり、絵本を見たりした後、端午の節句、鎧兜の甲冑飾りを真ん中にクラス写真を撮り、昔ながらのお餅が手にベタベタくっ付く柏餅を食べ、空に泳ぐこいのぼりを思いながら、♪屋根より高い、こいのぼり~とみんなで大きな声で歌いました。子どもたちの元気な声とこいのぼりの歌詞、その状況が素晴らしい一体感を出していました。
行事のいわれ、詳しいこともそのうち理解する時がくると思いますが、幼稚園時代に体験する様々な行事は、意味を理解することより体験することが大切だと思います。見たり、触れたり、食したり…年中行事を実体験することこそ、将来の学びの深まりに役立つと信じています。そんな訳で、行事で育つ子どもたち、端午の節句編でした。

≪砂場ときれいな石で育つ≫
幼稚園の南側は、とても長い砂場になっています。そこでは毎日お友だちが、穴を掘ったり、山をつくったり、井戸からバケツで水を汲み、慎重に砂場まで運んで来ては、ザァーと一気に流したりして遊んでいます。砂場のシャベルやふるい、カップやバケツを持っている何人かが集まると、山だ、川だとみんながそれぞれにつくりたいものを口にしながら砂場遊びが始まります。最初、それぞれに作りたいものを口にしていましたが、そのうちお友だちと一緒につくるものが決まったのか?みんなで川やダム、大きなお山やトンネルづくりが始まって行くのです。一見、単なるお砂遊びと思いがちですが、仲間と遊ぶ中で、想像力を発揮し、何をつくるかという合意形成、そして、井戸で水を汲んでくる役、穴を深く掘る役、役割分担もしっかり体験しているのです。砂場の一場面も育ちの要素いっぱいですね。
また、幼稚園の砂場には、きれいな石がたくさんうまっています。子どもたちには、『昨日の夜、流れ星がたくさんあったから、きれいな石がたくさん落ちているんだね』と作り話をしながら、きれいな石を見つけてみよう‼と言っています。虫や魚を自ら見つける経験が極端に少なくなった今だからこそ、貴重なきれいな石探しです。
きれいな石は見つけた人がお家に持って帰ってよいことになっています。言わば、早い者勝ち、取ったもの勝ちの世界なのです。ただ、一つだけお約束があります。それは、きれいな石がたくさんとれたお友だちは、少ししか取れていないお友だちに分けてあげること、ということです。
最初から、大人がきれいな石の数を決め、3個ね、とか4個ねとか限定してしまうのは、子どもたちの遊びを窮屈なものにしてしまい、面白くありません。また、きれいな石をたくさん見つけたお友だちは、見つけられないお友だちのことを思いやること、分けてあげることもとても大切な心の育ちだと思っています。人はどうしても自分さえ良ければ…という感覚になりがちですが、人のことを思いやり、きれいな石を分けることを少しづつ行うことから、他人への思いやりの芽生えにつながればと期待しています。
手にしたきれいな石をにぎり、職員室に来て『きれいな石の袋下さい』と自ら言います。すると、『はいどうぞ』と袋がもらえ、『ありがとう』と言ってまた砂場へと走って行くのです。中には、きれいな石を持ってこないで袋だけもらいに来るお友だちもいますが、『石を見つけてから袋あげるね』と言います。このようなことから幼稚園でのお約束を伝え、その約束を自ら守ることで育ちに役立てばと思っています。
自分でみつけたきれいな石、『お母さんに見せるの?』と聞いたら、本当にうれしそうな顔でうなずいていました。そんな子どもの思いの塊、きれいな石で育ちますね。

園長だより vol . 165 (2016.4.28)