2008.4 園長だより
2008年04月25日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
大きな鯉のぼりが、さわやかな風を受けて大空に泳いでいます。各部屋からは、子どもたちの『♪屋根より高い~こいのぉ~ぼぉり、大きい・・・』と元気な声が聞こえています。
その声の中に、それぞれの自信のようなものを少しばかり感じました。きっと、多くのお友だちが、新しいクラス、お部屋に慣れてきた証拠だと思います。
皆様、いかがお過ごしですか? ご家族様もお子様同様、新しい生活時間に慣れましたでしょうか?
いろいろな事が始まった四月もあわただしく過ぎ、いよいよ本格的?な幼稚園生活になって行きます。給食が始まり、遠足があり、健康診断、避難訓練等々と過ごしますが、その中で新しいお友だちが出来たり、仲良くなったり、いろんな事が出来るようになったり、楽しい遊びを見つけたりと様々な時間と出会い、その中で子どもたちは、元気に成長して行くことでしょう。
私たちは、“子どもの育ちのお手伝い”と言う立場から、一所懸命にそれぞれのお子様の育ちを見つめ、その子の育ちに適時適切な環境づくりを基本に一緒に過ごして行きたいと思います。改めまして、本年度も宜しくお願い致します。
合わせて、毎月、駄文を恐縮しながらも、お付き合い頂いているこの“園長だより”も引き続きお送りさせて頂きますので、どうぞよろしくお願い致します。
≪トンボから桃に≫
園庭のほぼ中央に旗を揚げるポールがあります。この旗竿は、約10年前に子どもたちに出来るだけ“本物”を感じてもらいたいとの思いで、選りすぐった木を埼玉の山から切り出し、園庭に設置してもらいました。新しいポールを設置する時、当時の先生に『園長先生、この黄金色の玉、ポールのてっぺんに付けていいですか?』と聞かれました。即座に、『竿の先には、トンボ。この国では、昔っから決まってるんじゃないの?』と冗談半分、希望半分で答えたのです。当時いらした、すごく器用な運転手さんがそれを聞いていて、トンボの目をキッチンのお玉、羽や胴体、尻尾は鉄や廃品を駆使し溶接してトンボを作り上げました。それも、トンボが、竿の先に止まっているようなポーズです。素晴らしい作品です。
その竿の先にとまっているそのトンボもこの春、長年の風雨やカラスが日々とまるようになり、接合部が緩んできたように感じたので安全のため思い切って取り外しました。今、職員室の前にとまっています。(時々、動きます!)
何もないポールのてっぺんは、すごく寂しいものです。今度は、『園長先生、どうします?』と近くにいた先生に聞かれました。とにかく何かかぶせないと・・・と考えました。
以前から思っていたのですが、『桃の缶詰なんかどう?』と答えたら、先生方みんな意味もわからず『なんで?』の顔をしています。(ほとんど、先生方と年代が違うことを忘れています。)園長先生が子どもの頃、風邪をひいて熱が出て学校を休むぐらい具合の悪い時、当時の親はバナナか、桃の缶詰か、ヨーグルト(瓶入りのもの)を枕もとに持ってきたものなのです。そんなものどこにでもあるし、ノスタルジーと言われればそうかも知れませんが、熱を出して寝ている我が子を心配して少しでも元気になれば、と言うの親心なのです。その証拠に、バナナやヨーグルト、ましてや桃の缶詰は、当時、中々口に入らないものですから、熱を出して寝ている子どもでもその美味しさに熱をも忘れ、元気になるきっかけになったものです。
いわゆる、子を想う母の愛情を桃の缶詰は現わしているのです。幼稚園の一番高いところに母の愛、子を想う親の心が位置していると思って下さい。
ちなみに、園長先生が、只々桃を食べたかった?訳ではありませんので、お間違えなく。
≪柱のキズ≫
♪柱のキズは、おととしの~の歌を聞いて、思い出す人、その情景が浮かばない人それぞれだと思います。そんな歌と現実のギャップを埋めたり、柱のキズを現代風に捉えてみようと考えました。
年少さんのふじ組横通路のガラス面を使って、子どもたち一人一人の今の背の高さを名前シールを貼ってマークしてみようと思います。身体検査のような身長測定とか、目盛りで計測するのではなく、今現在の背を正直にしるしを付けるだけなのです。そして、本年、12月ぐらいにまたマークしてみてその子、その子の“伸びしろ”を見ようと思っています。ご家庭には、お子様が伸びた分だけをリボンの長さにしてお伝えしようと思います。誰が大きくて誰が小さいなんて言うことは、幼稚園ではあまり意味を感じません。みんな小さいのですから。それよりも、この時期、どれだけ大きくなったか?それが分かれば充分だと思っています。
そのリボンをみて大きくなったことを実感し、それぞれに成長を楽しんでもらいたいと思っています。体の成長は、心の成長も伴います。5月5日は屋根より高かったり、柱のキズだったり・・・昔から、背が伸びることを成長として見ていたんでしょうね。
≪地域を知る家庭訪問≫
ふじようちえんでは、例年4月のこの時期に家庭訪問をさせて頂いています。
各ご家庭には、担任や副担任の訪問に際し、お忙しい中ご協力頂きありがとうございました。短い時間でしたが、ご父母様とお話をさせて頂く中、お家でのお子様の雰囲気を感じることが出来て、幼稚園での保育に役立つものになりました。
玄関に自分のおもちゃをいっぱい持ってくる子、隠れてしまう子、うれしくて余計元気になる子等々いろんなお友だちがいたとのことです。訪問するその朝、『園長先生、今日、○○先生が家に来るんだ。』と言うような声をよく掛けられました。また、訪れた翌日は、どことなく自信ありげ?得意げ?なお友だちの顔をよく見ることがありました。これは、先生が自分の家に来てくれた、普段幼稚園でしか見られない先生が家に来ている・・・なんてことから、いつもはクラスみんなの先生ですが、ちょっとの時間でも自分一人の先生になったような感じがするのではないでしょうか?いづれにしても、この家庭訪問がお子様の育ちに貢献できているものと思っています。
さらに、先生方には基本は自転車で回ることをお願いしてますので、否が応でもそれぞれのお友だちが育つ地域や道路、公園などを覚えることになります。その地域を知ることがまたお子様の育ちに役立ち、子どもたちに安心を与えるものと考えています。
今後とも、ご家庭と幼稚園が力を合わせて、お子様の育ちを見守っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
園長だより 2008,4.25 vol . 59