ふじようちえん

園長だより vol . 278 (2024.6.28)

2024年06月28日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 朝、登園してきたお友だちが持っている昆虫ケースに“のこぎりクワガタ”がいました。自分で捕まえた満足感でしょうか?お友だちの顔に、うれしさとちょっぴりの自信のようなものを感じました。カブトムシやクワガタが、活動を盛んにし始めるこの時期、虫探しに夢中になっている子どもたちの姿は、今も昔も変わらなく、つくづく、カブトムシ、クワガタも子どもたちの育ちに貢献している大切な仲間だなぁ~と思いました。まさに、虫たちに感謝ですね。幼稚園でも、園長席の前にカブトムシやクワガタをケースに入れて飼育しています。前を通るたびに『こんにちは‼』とか『バイバイ‼』を言っていくお友だちもいます。また、毎日、子どもたちにもエサのゼリーやりを手伝ってもらって、生き物に触れ、その動きや成長、命の大切さを感じてもらおうとしています。虫を収集するのもいいですが、しっかりと飼育してあげることがとても大切なことです。その点を忘れずに楽しみましょう‼数多くの失敗を経て、可哀そうなことをした経験から学んだ私の願いです。

 各地から、紫陽花の話題が伝えられています。雨に濡れる紫陽花の美しさに梅雨ならではの風情を感じました。皆様、いかがお過ごしですか?夏風邪も流行るころ、ご自愛ください。先日は、お忙しい中、家族参観日にお越しいただき、ありがとうございました。子どもたちの育っている日常の一端ですがご覧いただき、とても良い時間になりました。子どもたちは、いつもより興奮気味でしたが、ご家族が一緒にいてくれることでとてもうれしそうでした。先生方はというと…正直、普段と違う雰囲気にとても緊張しながらもご家族様のご理解、ご協力のもとに当初の計画通りに進めることができ、安心すると共に楽しい時間になったことに感謝しております。そして、まもなく七夕です。子どもたちは、七夕のお話しを聞いてから、それぞれの願いを短冊に書き、笹竹に結びます。砂川4番の阿豆佐味天神社参道に7月1日午後以降、各クラス飾ってありますので、行ってみてお子様の願いことをご覧ください。きっと願いは叶います‼

 先日、ある先生にすすめられてワンタッチの大きめの傘をネットで購入しました。今まではコンビニのビニール傘だけを使っていて、忘れたり、失くしたりすると新しいものを購入してました。今回購入した傘は、ワンタッチは無論ですが、少し大きめで、なんと言っても柄のもち具合、感触がいいのです。今更ですが、自分の感触に合ったものは、使い勝手や居心地がいいものですね。傘に限らず、自分の感覚に合うものの大切さ、快適さを大切にしようと思いました。なんだか、雨の日が待ち遠しくなっている自分がいるのに気づきました。一つの傘で気持ちも変わるものですね⁉

≪ランチもいいし、お弁当もいい≫
 ある日の給食の時間、お当番さん、お手伝いさんがご飯を各テーブルに運び、準備をしています。そんな時、お弁当のふたを少しだけ開け、その隙間からこっそりとお弁当の中身をのぞき見している、とてもかわいらしい光景に出合いました。いっぱい遊んで、お腹がすいて、待ちに待ったお昼ご飯の時間、目の前にお弁当を置いて、他のみんなが給食の準備ができるまで早く食べたいけれど我慢して待っています。今日のお弁当の中身は何かな?と思う気持ち、とてもよくわかります。何げない光景でしたが、お弁当にみえる親子のつながりを感じました。
 幼稚園では、子どもが育つことを大事に思えば思うほど、出来るだけ体に良いものを食べてもらいたいと言う思いで、玄米、麦飯、十穀米、五穀米、胚芽米…等々を食し、さらに出来るだけ無添加の食材を使って調理させて頂いております。しかし、いくら気を使って良い食材、原材料等々にこだわっても、『お母さんのお弁当には到底かなわない』と私は常々言っています。確かに、お母さんの作ってくれたお弁当、子どもがお弁当のふたを開けた時のにおいは、幼い心に大切な記憶として刻まれ、いくつになっても、しっかりと記憶に残って行くものです。ご記憶にありませんか?

『お弁当、鼻と舌と心に刻む、母の味』というところでしょうか。    

 お母さんのお弁当には及ばないけど、あたたかく、おいしく、多くの人の愛情がいっぱい入っている幼稚園のランチ、これからもより進化して、子どもの育ちに貢献できる昼ご飯を目指して頑張ります。ランチもお弁当も両方いいのがふじようちえんのお昼です。目指せ!!『幼稚園のランチ、鼻と舌と心に残るみんなで育つおいしい味』ですね。

≪きれいな石で育つ‼≫
『先生、見て!! 見て!!』と、そこには小さな手のひらにのせた、小さく赤いきれいな石がありました。『わぁ~すごい!! 持って帰ってお母さんに見せたらいいよ』と言うと、『うん‼』と応えて、職員室にビニール袋をもらいに一目散に走って行ってしまいました。お友だちが過ごしている日常の光景です。
 幼稚園の砂場には、アクリル製のきれいな色の石があります。と言うより意図的に熱帯魚の水槽に使う、赤、青、黄色、緑、白色…等々のきれいな石を蒔いています。子どもたちには、『昨夜、流れ星がいっぱいだったから、その中のものが砂場にも落ちたんだね』なんて言って、夢みています。が、実はいろんな理由・目的があります。怒られちゃいますが、とにかく、子どもや女性、男性もですが、光るものが大好きですよね!?なんて、冗談を言いながらお話させて頂きます。きれいな石探しと言う遊びを通じて、育てたいもの、育ってほしいこととは、

①細かいものを探すのに指先をたくさん使い、ある面センサーのように触覚を研ぎ澄ましてもらいたい。指先は、脳の出先機関、いっぱい使うことで脳への刺激になり、成長につなげたい。
②見つけたきれいな石はお家に持って帰ってもいいことになっています。約束は、只一つ“いっぱい取れたお友だちは、取れなかったお友だちに分けてあげること”と言うのがあって、他のお友だちへの思いやる心を育てたいと思っています。
③自分で見つけたことを実感し自信をつけてほしい。ちょっと昔なら自然の中でカブトやクワガタ等々の虫やメダカやフナ等の魚も見つけ、捕まえることが日常的にありましたが、今は中々この“見つける体験”をすることができないのです。先日、『先生、これ見つけたの!!』というキーホルダーを見せてもらいました。『どこで見つけたの?』と聞くと、『ダイソーで!!』という答え、これが現実です。
④子どもたちを見ていると、お友だちが大きくきれいな石を見つけると、自分も大きな石が欲しくなり、いや、それ以上にもっと大きくきれいな石が欲しくなり、頑張ってそれまで以上に砂場のいろいろな場所を探し始めるのです。はっきり言って、教育・保育界では、あまり触れませんが、子どもの“欲”を育てたいと思っています。今の小中学生を見ていると、欲は無いけど知識は豊富、と言う感じがします。50ccのエンジンで大型ベンツを走らせるようなものなのです。私の勝手な考えですが、人間、誰でも、生まれてから最初はどうしても“我欲”が優先し、それがある程度まで行った時、初めてまわりへの配慮、“公共の欲”と言いますか、みんなも欲しいんだと言うことに気づき、一人占めしないで分け合う方がいいんだと考えられるようになります。分かち合い、みんなで生きることを学ぶことは大変重要ですが、最初から、みんなで分かち合う事ばかりが優先しすぎると、本当に自分で獲得する力、意欲、意志…生きる力が、育ちにくいのではないかと思います。

 いろいろお話させて頂きましたが、きれいな石を大事にしている子どもたちをみて、私は、いつも確信していることが一つあります。それは、『子どもって、大人が買ってあげたものは、すぐ失くすけど、自分で見つけたものは大切にしますね‼』ということです。親がせっかく買ってあげたカード、すぐに無くしたりするけど…自分で見つけたもの(大人から見るとガラクタ?のようなもの)は、大切な箱に入れて大事にしています。何か思い当たりませんか?

園長だより vol . 278 (2024.6.28)