ふじようちえん

2009.5月 園長だより

2009年04月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

初夏を思わせるような眩しい日差しが、園庭の新緑を照らしとてもきれいです。さらにさわやかな風を感じるこの季節、若葉の緑からとても良いエネルギーをもらっているようで活力が湧いてきます。
皆様、連休、いかがお過ごしですか?ご家族で楽しい思い出いっぱい作って下さいね。お休み明け、また元気な笑顔を待ってます。

新緑と言えば、幼稚園の大きなケヤキやコナラの木は一斉に緑になるのかとお思いでしょうね。それが違うのです。よく見ると若葉が出る時期がそれぞれ違っています。専門家に聞いてみると、この一つの森のような木々は、みんな結びついていて森としての生き残ることを大前提に生きているとのこと。だから、早くに若葉が出る木がいて、もし万が一、霜や雪でダメージを受け枯れたとしても、次に若葉をつける木が後から後から続いて、助け合っているのです。そして、やがて緑の森として生きて行くのです。もし、全部が一斉に若葉をつけた時に雪等の大きなダメージを受け全滅と言うことにならない為の自然の知恵だと思います。継続することこそが命あるものの使命と言うことなのですね。

≪リズム・習慣・よい生活≫
さて、各ご家庭におかれましては、ご入園、ご進級での生活時間の変化にだいぶ慣れてきたこととお察しします。『決まった時間に決まったことをする』言わば時間の秩序感の形成期、この一日のリズムを大切にしながら、子どもたちもさらに幼稚園生活に慣れていくことと思います。赤ちゃんの一時期、夜泣きに嬉しくも?悩まされたご経験があると思います。あの夜泣きの意味は、出産後の赤ちゃんはほとんど寝ている状態から、太陽時間というか朝起きて夜寝る時間までのリズムに合わせようとしている時に起こることなのです。朝起きて、夜寝ることに除々に合わせようとするのですが、まだ上手くいかず、真夜中に朝かと思い起きてしまうのです。言わば、人間としてのリズムづくりの時だと思います。親からするととんでもない時間に泣かれた記憶しかありませんが・・・。
このように、私たちは、生まれた時から生活のリズムづくりを気づかぬうちにして来たのです。同じ様に新年度の子どもたちは今、新たな生活リズムづくりの真っ最中です。その意味でもよく言う、『早寝、早起き、朝ごはん』本当に大切だと思います。多少泣いても早く寝かせて、早く起こすことが子どもの人生を左右すると言っても過言ではないと思います。子どもの生活習慣は親がつくるもの、どうぞよろしくお願いします。やがて、この生活リズムが良い習慣となり日常生活を安定した中で過ごしていくようになります。必ず期待を大きく超える子どもさんに成長して行くことと信じています。

≪楽しい遠足≫
新しい生活に慣れる4月も瞬く間に過ぎ、ますます元気、活気あふれる5月です。特に遠足、みんなで楽しく行きましょう。子どもたちは、先生から聞いた大型バスで行く遠足への期待、ワクワク感、眠れない前日の夜?などを経験し、動物に触れたり、みんなでお弁当を食べたりと楽しいこといっぱいですね。また、遠足から帰って来たらみんなでお話したり、お絵かきしたりでまた楽しみます。遠足で行く場所もさることながら、遠足自体が子どもたちの育ちを支えていく一つの道具?となっていると考えています。そして、“同じ釜の飯を食う”ではありませんが、共通体験がお友だち同士、親同士をさらに仲良くしてくれるものと思います。みなさん、お友だちを増やしたり仲良くなるチャンスです。どうぞ、そんな意味でも遠足を楽しんで下さいね。

≪好き嫌い、おいしい!!≫
『好き嫌いなく食べましょう!!』よく言う言葉ですね。ある時テレビの取材で、食べ物の好き嫌いをどう思いますか?との質問に『好き嫌いがそんなに大問題?好き嫌いで死んだ人はいるんですか?』なんて屁理屈で答えたことがあります。当然テレビには使われませんでした。でも、戦後、食べるものも無く、栄養失調の時代背景ならともかく、ありと溢れる食が展開されているまさに超飽食の時代にこの言葉は相応しいのか?また、アレルギー等でどうしても食べられない、食べてはいけないお友だちも多くいる現代、好き嫌いが単に“悪”のような捉え方が前時代的な感じがしてました。基本的に好き嫌いなく食べることは良いことだと思いますが、さらに好き嫌いなく食べることがバランスの良い食生活に繋がることを伝えるべきだと思っています。
幼稚園では、食べることはもとより、ごはん時のお約束を通じて礼儀、行儀、マナー、エチケット、衛生面、楽しさ、食材への興味、行事と食、味覚の発達・・・等々いろいろなものを含んだ時間を過ごし、食を通じて子どもの育ちをお手伝いしています。

先日、スマイルファームで取ったばかりのほうれん草をお母さまたちが持ってきてくれました。長時間のお友だちに新鮮なうちに食べてもらおうと思い、その日、約50人位の子どもたちに対しては、ほんのわずかな量のほうれん草でしたがみんなの目の前でホットプレートにバターをひき、炒め、いい香りがしてきたところにお醤油で味付けです。もう我慢が出来ないお友だちがいっぱいいました。担当の先生方が少しづつですが炒めたほうれん草を小さな手にのせ、みんなで食べてみました。そしたら、『美味しぃ~』『うめェ~』の大合唱、そのあと『もっと、もっとちょうだい!!』の大合唱です。おもわず、普段ほうれん草は嫌いと言っていたお友だちも興味を示して、恐る恐る手にほうれん草をのせて食べてみました。そしたら、なんと見る見る顔が変わって『おいしい!!』の一言。これが、現実です。嫌いなものを食べてみると意外にも美味しかったりした経験ってありませんか?食わず嫌いと言うか、食べる機会が無かっただけの話・・・なんてことかも知れませんね。
嫌いなものを食べて好きになるコツは、お腹がすいた午後3時、少しのものをちょっとづつ、みんなで分けて食べてみることです。ほんの少しの量、みんなで分けることがコツ。何でもたくさん用意すればいいと言うのは、逆効果?与え過ぎは良くないようですね。

あとで聞いたのですが、この日の夜、お家に帰った多くのお友だちが、お母さんに『ほうれん草炒めて!!』とせがんだとそうです。そして、一言、『これじゃない!!』と言い放ったと言うことです。『これじゃない!!』を『これだ!!』にすれば、それこそが、『お母さんの味』と言うことでしょうかね?
後に長時間でも第2弾として、にんじんの型抜きスープを作ってみました。やはり、大盛況!!・・・ただ、お腹が空いているだけなんでしょうかね? 

園長だよりvol . 68 (2009.4.30)