ふじようちえん

2016年12月22日 2学期終業式 園長だより

2016年12月22日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

今、目の前の園庭は、芝生の種が芽を吹き、新芽を伸ばし、まるで緑のじゅうたんのようになっています。冬の寒さに負けず、霜柱にも耐え、ゆっくり、ゆっくり育っています。それは、やがて、子どもたちが芝の上を走り回ることを芝生自体が楽しみに待っているみたいです。何気なく見ている芝生ですが、そこに生命の息吹や成長を感じ、なんだか?愛おしく思えてきました。“芝生を大切に”とよく公園で見かけ、入らないようにしている公園がありますが、本当に大切なことは、芝生とうまく付き合うこと、つまり、芝生を休ませる時は休ませ、芝生と遊ぶ時は遊ぶこと、この折り合いをうまくすることこそが、芝生にも人にもお互いにいいのではないでしょうか?種まいて、芽が出て、伸びて…育つことに手間はかかるけど…何か?子どもの育ちに通じるものを感じた静かな休日の幼稚園の朝でした。

 いよいよ年の瀬が押し迫り、慌ただしくなってまいりました。皆様いかがお過ごしですか? 寒さが、さらに強まるこの時期、お体ご自愛下さい。
先日は、急性胃腸炎等々のまん延防止のための急きょ休園にさせて頂きました。また、お手伝いを予定して下さっていたご父母の皆様も多くいらっしゃるのも承知していた中でのお餅つきの内容も変更し、本当に申し訳ございませんでした。体力的にまだ成長途中の子どもたちの集団生活を基本とする幼稚園の中で、伝統行事の体験も大事ですが、その前にまず健康な体があってのことと考え、判断させて頂きました。
皆様にご理解ご協力を頂きまして心より感謝申し上げます。お陰様で現在のところ平常な状態を保っています。ありがとうございました。

本日、2学期の終業式を行い、冬休みに入りました。ご家庭で過ごす時間が増えるこの時期、終業式では【自分のことは自分でする】をお話しました。おそうじ、お着替え、おかたづけ、お父さん、お母さんから言われなくても自分のことは自分でして、来年は今よりちょっと、お兄さん、お姉さんになりましょう‼と伝えました。冬休み中の成長を心から期待しています‼

≪いまどき、そろばん?≫
先日、友人に誘われて沖縄に行ってきました。沖縄科学技術大学院大学(OIST)という沖縄・恩納村にある日本で唯一の予算をほぼ全額日本政府が拠出している私立大学に行き、世界的な研究者が自らの専門分野を越え、学際的な研究をしているとてもオープンな教育環境づくりを見させて頂きました。また、TVの“ぶらタモリ”みたいな那覇市の沖縄まちまーい(ウォーキングツアー)を体験し、国際通りの裏の裏を歩いてみたり、アグーという黒豚で無添加の生ハムづくりや海水をパイナップルにかけて糖度を1.5倍にし“塩パイン”として人気が高い、農業&観光業のカナンスローファーム、「常温瞬間空中結晶製塩法」と言う100%海水からつくりミネラル分もそのまま含んでいる“ぬちまーす”(命の塩)という塩の製造工場等々を視察させて頂きました。多くの気づきと勉強になる時間を過ごせました。
そして、その中で一度行ってみたかったのが日本一のそろばん塾、宮城珠算学校です。私もそろばん塾に小学4年生ごろ通った経験があります。でも、真面目に取り組まず、一年もたたずに辞めた思い出があります。続けていれば、今が違っていたかもしれませんね。
一般的に、そろばん塾というとこのIT社会の中で、前時代的なものと思うのが普通の感覚かもしれません。でも最近、脳科学の観点からも能力開発のためにそろばんは優れた手法であることが分ってきています。以前にもお話ししたように、モンテッソーリ教育では、子どもたちへの数の概念を伝えるには、数詞と数字、そして量としてのものが一致して初めて数を理解するとお伝えしたように、そろばんも珠を弾くことにより、数詞と数字、そして量として実感でき、理解を深めるものと思います。実はそろばんとよく似た教具で“ビーズフレーム”という教具がモンテッソーリ教育の算数教育にもあるのです。切手遊びが終わった子どもたちを対象として、繰り上がった時に計算の一部を記憶することや筆算へつなげるものとされています。何か?この共通性に数の理解の本質を感じます。
 宮城そろばん塾さんは、地域の公民館で始めてから60年の歴史があり、約3万人を指導されてきたとのこと、暗算力、数に強い子どもづくりを目指し、幼児期や低学年から始めているのです。確かに、世の中、数字でものごとを捉えるようになると、物事の本質や実態がわかり、具体的な理解につながり、説明、説得力が増すこと等々、私も経験からよくわかります。また、そんな人間像、憧れますね。
当日、幼児、小中高校生のクラスに入り見学させて頂きました。実際にみて、ただただ、子どもたちの能力の高さ、可能性に驚きました。
おそらく「そろばん塾」の本質は暗算能力を高めることにあり、暗算能力は理数系の脳力を特に高める力があるようです。幼児からそろばん塾に通った人が、偉大な物理学者になったり、ITエンジニアになったりという可能性もあると思います。シリコンバレーのIT業界では、インド人がITエンジニアとして多く働いていて、その中から、グーグルやマイクロソフトなどの有名な企業の社長まで輩出しているそうです。
よくインド人は2桁の暗算ができると聞きますが、そのこととインド人にITエンジニアが多いことに共通性があると思います。そろばんは、暗算、そして理数系脳力を開拓する有力な手段なのです。そろばん塾生が、次にプログラミング教室やロボット製作教室などに興味を持つことも十分想定されます。
あえて昔のことに触れて理解することによって、その本質や道理がわかる・・・
ここでも、“懐かしい未来”が起こっていることが実証されていると思いました。

≪幸せ、いっぱいの新年にむけて‼≫
ドイツの詩人、カアル・ブッセの詩に、「山のあなた」があります。私どもの年代ではご案内の方も多いかと思いますが、今年の締めくくりにお伝えします。
——
山のあなたの空遠く「幸い」住むとひとのいふ
噫(ああ)、われひとと尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、 かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く 「幸い」住むと人のいふ
——
若い頃、とかく理想や夢ばかりを追っていたように、幸せはどこか遠くにあり、それを探し求めるのが人生だという思いでいたが、人生経験を経る中で、いま、ここにある幸せを深く味わうことの素晴らしさ、幸せは目の前にあることなのだ、と気づかせてくれる大好きな詩です。
どうぞ、新年が夢や希望が大きく花開く1年になりますように‼ よいお年を‼

平成28年度2学期終業式 園長だより vol .173 (2016.12.22)