ふじようちえん

2016年9月30日 園長だより

2016年09月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 秋の長雨と言われますが、こんなに雨が続くと秋晴れの日が恋しくなるものですね。また、台風も例年になく多く、秋雨前線と相まって各地で豪雨による災害が起こり、多くの方々の命が失われ、本当に悲しい気持ちになります。ニュース等々で見る限り、自分事とは思えないのが一般的かもしれませんが、誰でも旅先、仕事先でいついかなる時に何が起こるかわかりません。油断大敵、災害に備える心構えと準備をして行きましょう。
 皆様、いかがお過ごしですか? 季節の変わり目、肌寒さも感じる季節、お風邪などひかれませんように、お体ご自愛ください。

≪育っているか?さつまいも?≫
 もう一つ、この雨の影響で極端に日照時間が少なく、スマイルファームの作物も例年のように育っていません。夏を越え、いよいよこれから…味も大きさも増すという時の長雨、日にあたらないことは、さつまいも本来持っている育つ力を発揮できないという環境、さつまいも掘りは出来るのですが、若干小ぶりのようですね。  
 でも…これって何か?子どもの育ちにも通じると思いませんか?私たちは必要な時に必要な環境をつくると子どもたちはすごい勢いで吸収し自分の知識や知恵にして学び、成長をしていくものと言っています。なんでも早ければいいとばかりに、0歳児から様々な教育的手法を用いる考え方がありますが、私たちは、むしろ子どもの育ちをよく観察して、そのお子さん一人一人が、“今、何が育とうとしているのか?”をとらえて、それに合わせた環境作りをしていこうと心がけています。例えば、車に乗っていて、道路沿いの看板の文字を拾い読みすることがあったとします。まさにその時こそ、その子にとって文字に興味がわいてきたことを意味していて、そういう時に文字が書いてあるカードや絵本等々を与えると集中した興味を発揮し、自らすすんで字を読んだり、書いたりしていきます。
 さつまいもの収穫の心配から、子どもの育つ環境まで、飛躍しすぎの感はありますが、結構近いものもあるのです。こんな観点からの子どもの育ち、勉強になります。

≪ふじようちえんの旗≫
 ふじようちえんにも園の旗があります。いつも高いところにあって、近くで見ることはあまりないと思いますが、実はこの旗、20数年前の卒園式前のご父母たちによる謝恩会時、お母さんたちがエイサーを踊られた時に使用した手作りの旗が原型です。
だから、一見、大漁旗のようなデザインですが、子どもたちが育つところ、ふじようちえんにとっては似合っているし、また、勢いがあっていいと思っています。
 お子さまの成長と私ども教職員への感謝の思いを込めてのエイサー踊り、図柄にふじようちえんと平仮名で書いてありましたので、子どもでも読めると思い、この旗を頂き、今に至るまで20数年間、毎年の新人の先生方が同期最初の共同作業として、同じ図柄で作成してもらっているものです。このような云われがある旗、雨が降ってなければ、毎日園庭のポール最上部に掲げています。ご覧くださいませ。

≪できる と わかる≫
 引き続いて、旗を掲げているポールの話です。出来るだけ子どもたちには本物を感じてほしくて昔ながらの木製の柱にしています。鉄やアルミ製ではないので、定期的に交換が必要ですが、それでも木の風合いを子どもたちに伝えたいと思っています。
実は、このポール、今は地面が芝草に覆われていますが、土の上に数字を書いて、日時計の役割もしていました。そして、今のきく組あたりに針時計が園庭を向いて飾ってありました。針時計は、友だちや兄弟姉妹、ご家族からいろいろ伝えられ、だんだんと針時計の時間が読めるようになってくるものです。では、日時計はと言うと、ここにポールの影が来るとお昼ごはん、この辺に影がかかるとお帰り…というように陰をつくる太陽が動いていることで時間が出来ていることをわかるようになってほしいと思っていました。つまり針時計を読めることは、できること、できることは成績につながり、テストの点数の良い子につながるものですが、それよりも大事なことは、太陽がつくるポールの陰で、時間のでき方、動き方がわかること、時間の道理に触れることがより大事な育ちの要素だと思っています。さらに、ポールの影と針時計で、「できる」と「わかる」 の違いを伝えたかったのでした。
 このように、幼稚園にあるものの多くが子どもたち自らの体験を通じて、物事に気づき、理解し、学んでいくための道具としての役割を持っています。例えば、時間の理解と同軸上にあるものとして毎日シール貼りをしているFujiブック(出欠表)。毎日シールを貼りながら、日にち、曜日、そして月や春夏秋冬、そして、一年…という概念をだんだんと理解していく道具の一つにもなっているのです。

≪子どもが育つ運動会・天動説と地動説≫
『運動会を教える幼稚園にはなりたくない、運動会で子どもが育つ幼稚園でいたい』
という思いを大切にしながらも、ご家族様に子どもたちの成長を見て頂きたい気持ちもあり、先生方の子どもたちへの指導にも熱が入ってくる今日この頃です。
 以前にもお伝えしましたが、時間がたっているので再度お話しします。
約20数年前の運動会前夜、家族での観覧場所確保のために、深夜から開門を待っている方々が年々増え、ついには、約100人近くの人が並ぶようになりました。寝袋や食糧持参という状態です。深夜ご近所のご迷惑になると言うことで色々考えました。その結果、各クラスエリアを設定し、そのエリア内を四角く区切り家族席としました。席は恨みっこなしの子どもの抽選で決めると言うやり方にしました。合わせて、出来る限り子どもたちの競技・演技が良く見えるようにとの思いで、踊りは各クラス席に近いところで演じ、かけっこは、各クラス席へ向けて走るようにしました。お子さんの頑張る姿をしっかり見てもらおうと思っています。その為、かけっこのバージョンが数通り、白線を描いたり消したりしますが、パフォーマンスとして楽しん下さい。この会場づくりは、どっちが動くか?天動説と地動説みたいなものとご理解下さい。大勢の大人がカメラを持って移動すると混乱し、危険だという思いもあり、その場所からご覧いただけるようになっています。
 ちなみに、今年は最初の元気体操と終わりの旗体操で子どもたちは、半分を本部席、半分を逆の観客席を向いて演じます。どうぞ、安心して自席より応援して下さいね。
 運動会後、何回も見るビデオカメラで録画するのもよし、会場の空気感と共に肉眼で見て光景をしっかり目に焼き付けるのもよし、どんな形にせよ、子どもたちが成長している今をご覧頂きたいと思います。運動会を通じてお子様の成長を家族みんなで喜んであげる日が運動会と言う日…ですね。絶対、晴れ‼どうぞよろしく‼

園長だより vol . 170 (2016.9.30)