ふじようちえん

2015年2月27日 園長だより

2015年02月27日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
まだまだ寒さは続いていますが、幼稚園近くで白く小さな花が咲いていました。梅の花です。桃や桜よりも早く、寒さに耐えて一番に咲く梅の花に、春を引っ張ってくる力があるようです。いよいよ、春、3月を迎えます。皆様、いかがお過ごしですか?

≪ひなまつり≫
今、幼稚園では、♪あかりをつけましょ、ぼんぼりに、お花をあげましょ、桃の花・・・と、『うれしい、ひなまつり』を歌う元気な声が響いています。先日の大安吉日に職員室入口におひな様を飾りました。開園以来44年、毎年飾っているおひな様です。毎年、このおひな様を飾ると・・・春が来た!!と言う感じがするから不思議なものです。
ある時、お迎えにみえたお母さんとお友だちが手をつなぎながら、おひな様を見ていました。お友だちはお母さんに先生から聞いたおひな様のことを説明しています。あれがおひな様で、こっちがお内裏様、その下が三人組で・・・思わず噴き出しそうになりましたが子どもは一所懸命に説明を続けます。お母さんもしっかりと聞いています。ひと通り説明し終わった後、お母さんは『三人組じゃなくて三人官女ね』と付け加えていました。このお母さんの子どもの話を聞く姿勢が素晴らしいと思いました。ひと通り聞いてから訂正してあげることで全面的に子どもの話を認めてあげる姿勢が子どもにも伝わったようです。話しの途中で訂正されると、話しの腰が折れてしまいお話しが続かないことは大人も同じですよね。こういう姿勢で子どもの話を聞くと、子どもも安心して話をしてくれるものなのです。この後、お友だちは、『あっ、そうだった!!』と気づき、笑いながらお母さんと手をつないで帰って行きました。
何げない親子のやり取りですが、大事な“子どもが育つ時間”に出会いました。このような“親子の時間”こそが子どもの心を育てるのです。特に、親の表情や行動、話すこと、考え方、思い方・・・等々、親をよく観ていますからね。
『育てたように、子は育つ』と言う言葉がありますが、これは如何に親を見て子どもが育っているかと言うことでもあり、子どもから親へのメッセージなのでしょうね。
大人が手本、親になるのも修行ですね。

≪憧れの小学生≫
卒園前のこの時期、年長さんにこれから過ごす小学校を見て知ってもらい、安心してもらおうと思い、毎年ご近所の立川9小と大山小に訪問させて頂いています。そして今週、行ってきました。横断歩道を渡り、しっかり列を組んで歩くことも上手になりました。小学校の門をくぐるとみんなキラキラした目をしていましたが、何か緊張した感じもします。昇降口で、真っ白な上履きに履き替え廊下に並び、迎えに来た5年生のお兄さん、お姉さんに手を引かれて教室へ向かいました。事前にDVDを作成して頂き、歓迎の思いを伝えてくれたり、この日の交流の為に役割を決め様々なの準備をしてくれていました。例えば、9小の場合は、各教室で歓迎のあいさつから始まり、いろいろな授業のこと、和太鼓や家庭科、サイエンス等々を行うクラブ活動のこと、特に和太鼓の実演もしてくれたのにはびっくりしました。さらに、140年前の9小のことをクイズや大きな写真で見せてくれて歴史的視点も忘れていません。学校の紹介をしてくれた後は、“猛獣狩りに行こうよ”、“しんぶん島”、“ジャンケン列車”、“なんでもバスケット”等々のゲームを行いました。これらのゲームは、5年生のお兄さん、お姉さんとペアになったり、4~8人のグループになったりするように出来ています。ジャンケンで負ける度にペアで乗っている新聞紙が半分になって行き、最後には小さく折った新聞紙の上に園児をおんぶして立っている・・・なんて姿も見られました。同じく、列の先頭同士がジャンケンし、負けると最後尾につき、段々と長い列車のようになるジャンケン列車では、お兄さんお姉さんの肩まで手が届かないデコボコ列車状がとても愉快でした。
楽しいゲームで手をつないだり、おんぶやだっこしたのですが、素晴らしいコミュニケーションづくりになっていました。さっき会ったばかりなのに、この肌感覚のふれあいで仲良くなって会話も生まれ、みんな笑顔になっています。年長さんたちは、この交流を通じて、今まで心のどこかにあった小学校への漠然とした不安が無くなり、安心感が芽生えました。心配どころか、自信と期待が増してきたようです。今回交流して頂いた5年生のお兄さん、お姉さんは、子どもたちにとって憧れの存在、そして、自分が小学生なることも憧れになったようです。帰り道、なるほど、子どもたちの表情は、“ドキドキ”から“ニコニコ”に変わっていました。

≪伝えたい!! その源は・・・≫
昨年、あの“ジャパネットたかた”の本社を訪れました。TVショッピングで見覚えのあるスタジオがいくつもあり、カメラが忙しそうに動き回り、生中継をしていました。当然、あの髙田社長も元気にしゃべっていました。声の強弱はもとより、その伝える力、迫力にびっくりしました。たまたまその時、カラオケ機能付きのハンディマイクの楽しさや機能の良さを伝えていました。私たちの仲間がスタジオの端の方で見学しているのに気づくや『では、もう一曲!!』と言って銭形平次を歌い出したのです。実は、スタジオの内に高田社長も見える所にモニター画面があり、一刻一刻全国での売り上げ台数が表示されるのです。そのモニター画面の数字、髙田社長が気持ちよく歌い出すとさっきよりグングン数字が上がって行くのです。やはり、気持ちが入った歌声が熱い思いとなって、画面を通じてお茶の間の視聴者にも伝わったのですね。

その後、髙田社長と話しができ、私は以前から思っていることを聞いてみました。
『失礼ながら、髙田社長はご自分で作ったものでもないのによくあんなに熱心に売れますね?その源は何なんですか?』というご無礼な質問をしました。社長は真摯にお答え頂きました。『それは、最初は売り上げが大事なので熱心になりました。でも、それだけでは続きません。社長は、テーブルの上にあるコップを手に取り、このコップが出来るまで、そしてここに置かれるまで、何人の人が関わっていると思いますか?実は、企画する人、作る人、運ぶ人・・・何千、何万という人たちが関わっているのです。そして、その人たちには家族もいるのです。でも、残念ながら、その人たちはお客様に商品の良さを伝えることが出来ないのです。私の使命は、その人たちに代わってお客様に伝えることなのです』さらに、ある冬に毛ガニを販売した時、毛ガニが目の前に来るまでどんな所で獲れて、どんな人たちの手を通ってくるのだろうか?と思い、深夜の毛ガニ漁に乗船させてもらったそうです。私たちが寝ている間に、一歩間違えば命を落とすような荒海での漁をしていることを実体験し、その思いやありがたさを感じたそうです。漁師さんは毛ガニ漁は出来ますが、毛ガニの美味しさを伝えることはやはり出来ないのです。その人たちの思いを伝えることが私の役目なのです。と話してくれました。
 ジャパネットたかたは、“「モノ」の向うにある生活を提案している”と聞いていましたが、逆に「モノ」に込められた思いもしっかり受け止めて伝えているのです。私たちも様々な場面で「モノ」の後方にある物語に思いを馳せなくてはいけませんね。
これからも、子どもたちを育んでいるご家族様の思いをしっかりと受け止めて、子どもたちの育ちのお手伝いをさせて頂こうと思いました。大変勉強になりました。

園長だより vol . 148 (2015.2.27)