2013.3月19日 園長だより
2013年03月19日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
風の強い日が多く、少々、春にてこずっています。でも、暖かな日差しに照らされ園庭の芝生も緑を増してきました。正門のスモモの木にも少しずつ花が咲き始め、春を実感する今日この頃です。“春爛漫”と言う言葉があります。私はこの言葉に春のやわらかい暖かさや花を愛でる心の豊かさを感じ、好きな言葉の一つと言っています。“爛漫”と言う言葉を調べてみると、花が咲き乱れているさま、光り輝くさまを意味しているとのこと。なるほど、無邪気に、元気に、力一杯、園庭や屋根の上を走りまわっているたくさんの子どもたちを見ていると、まさしく、たくさんの“素の心”が咲き誇っているさま、これこそが“天真爛漫”ということなのか?と思いました。皆様、いかがお過ごしですか?
お陰様で、本日、修了式を行い、本年度すべての課程を終えることが出来ました。これもひとえに、ご父母、ご家族の皆様方のご理解、ご協力があればこそのことと、心より深く感謝申し上げます。また、先日、藤の会より頂いた樹木、無患子(むくろじ)の記念植樹は、全員が少しずつ土をかけて行い、みんなのお守りの木となりました。皆様の思いがこもった『おめでとうの会』も行って頂き、子どもたちはもとより、私たち教職員にも大変感慨深く、記憶に残る時間となりました。本当に、多くの皆様、ありがとうございました。
≪柔道教室≫
先日、サンケイリビング社の関連誌『あんふぁん』による“VIVA JYUDO”という企画があり、光栄なことにバルセロナオリンピック、78kg級金メダリスト吉田秀彦さんがご来園下さいました。場所や時間の関係上、約30人位のお友だちによる柔道教室をして頂きました。子どもたちは、柔軟体操、受身、背負い投げの体験(投げる方)をし、柔道に触れました。さすが、吉田道場の先生方が上手に投げられ役をしてくれるので、みんな自分で背負い投げが決まったような感覚になり、柔道が楽しくなったようです。まわりで見ているお友だちはと言うと、な、なんと、バルセロナオリンピックで吉田先生が獲得した金メダルを子どもたちに回覧して、触らせてくれたのです。私たちも予期せぬことにビックリ、みんなで興奮しながら金メダルに触れさせて頂きました。重く、大変な価値を感じました。金メダルをまわす前、吉田先生が『金メダル、知っている人?』と言うと、みんなが手をあげ『は~い』、『じゃ、金メダルさわったことがある人?』と言うとまたみんなが『は~い』、これには吉田先生もどうしたらいいか分からない状態になっていました。子どもたちは、運動会でもらった金メダルを指して『さわったことある、持っている』と叫んでいました。金メダリストも子どもには敵わない一幕でした。吉田先生、柔道教室、金メダル体験、ありがとうございました。本物にふれて、夢を大きく抱いて欲しいと思います。
当日、正門に掲げた看板には、“ふじようちえんから金メダリストを出そう企画!!”
と副題に入れ、私の夢をしっかりと示させて頂きました。正夢になってほしい!!
≪正々堂々な人生≫
柔道の話題が重なり恐縮ですが、私たちの年代で柔道と言えば、国民栄誉賞にも輝いたロサンゼルスオリンッピック無差別級ゴールドメダリスト山下康裕さんを思い浮かべます。数年前、たまたまご縁を頂いて山下さんの講演を聞き、その後、食事を
一緒にさせて頂いたことがあります。こんなビッグな方と共にタクシーにのったり、食事をしたりすることは本当にうれしい半面、すごく緊張したことも憶えています。
山下さんのオリンピック決勝戦、勝てば金メダルと言う場面で、山下さんはそれまでの連戦でなんと片足を引きずるほどの怪我をしていました。世界中の注目を浴びていた決勝戦、相手はエジプトのラシュワン選手、大きな体格です。ラシュワン選手が、山下選手の怪我をしている方の足を攻めてくるだろう、すると…山下、いよいよ不利、勝ち目はないか?とTVで解説者が話していました。試合が始まりましたが、ラシュワン選手は、怪我のしている足を攻める戦法ではなく正面から戦いを挑んで来ました。せめぎ合いが続く中、結局、山下選手は、わずかなチャンスを活かし、寝技に持ち込んで押さえ込みで一本勝ちになり、金メダルを手にしました。日本中がそれこそ湧きに沸いた柔道の頂点の金メダルでした。
後日、ラシュワン選手にエジプトのTV局がインタビューした時、『どうして、あの時、怪我をしている足を攻めなかったのか?』との質問に、『それがアラブの魂だ』とだけ語ったと言うことです。相手の怪我しているところまで攻めての勝利になんの価値があるのか?卑怯なかたちでの勝利を望まないラシュワン選手の精神にアラブの魂、民族の誇りを感じ、多くの人が遠い異国の対戦相手に最大の敬意を表したものでした。皆さんも、世界中の素晴らしい生き方、人々にふれ、成長して下さい。
≪卒園、おめでとう!!≫
みんなが生まれた時、お父さん、お母さん、ご家族みんな満面の笑顔で喜びました。夜泣き、ハイハイ、つかまり立ち、話し出したり、笑ったり…いろんな時間を過ごして、今、みんなは幼稚園を卒園して行きます。幼稚園では、泣いたり、笑ったり、考えたり…いろいろなことを通じて大きく育ちました。物事が分かり、出来、人の話をよく聞いて、自分の意見も言え、行動し、相手の気持ちも思いやることができるようになりました。そんなみんなに憶えておいてほしいことがあります。
これまで、みんなの笑顔は、お父さん、お母さん、家族のみんなをすごく幸せな気持ちにしてくれました。これから始まる小学校生活、勉強や運動に一所懸命に取り組むと、必ず良いことが起こります。良いことが起こると、笑顔になります。みんなが笑顔になると、家族や周りのみんなが幸せになります。人は、幸せになるために生まれてきたのです。みんなが、幸せな人生を送りますように、先生は祈っています。
山下康裕さんは、多くの選手を育てています。が、本当にチャンピオンになれる人は、ほんの一握りの人たちだけなのが現実です。残念ながら、多くの人はチャンピオンという栄冠を手にできません。そういう状況の中で伝えている山下さんの言葉を、今、未来に羽ばたくみんなに送りたいと思います。
『競技でチャンピオンを目指すことも大事だが、それ以上に大事なことは、それぞれがそれぞれの人生のチャンピオンになることなのです』と言われています。
みんな、人生のチャンピオンをめざして、前へ進め!!
いつまでも、いつまでも、ふじようちえんはみんなの味方です。応援しています。
平成24年度3学期修了式 園長だより vol . 121 (2013.3.19)