2008.9月園長だより
2008年09月06日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
二学期が始まりました。いっぱいの笑顔に会えて本当にうれしいです。
たくさんの思い出が出来た夏休みも終わり、9月になりましたが、まだ残暑きびしい毎日が続いています。夏の疲れも出る頃です。皆様、お体お大事にお過ごし下さい。
それにしても自然はたいしたものです。この季節、誰に教えられるでもなく毎年のように、園庭のコナラの木にたくさんのドングリがなっています。そして、芝生の上では、たくさんのトンボが飛んでいます。さらに、草むらの中をよく見ると、元気そうなバッタやコオロギがいました。いよいよ出番とばかりに体も大きく、動きも速いものばかりです。
ドングリを見れば、子どもたちが小さな手いっぱいにドングリ拾い集める姿を思い浮かべ、トンボを見れば、たくさんのトンボを追いかけ回る風景が想像でき、バッタやコオロギを見れば、子どもたちが虫を追いかける歓声が聞こえてきそうです。何か懐かしさを感じませんか?
この光景、実は、お父さんお母さんの幼い日のかすかな思い出の中にも見つけることが出来るのではないでしょうか?
いつの時代も、秋が子どもたちを育ててくれる感じがしますね。
さて、二学期は、運動会、お芋掘り、園外保育、おにぎり会、クリスマスフェスタ、お餅つき等々と行事も続く中、子どもたちは、元気ですくすくと育ち、いろいろなことを吸収して成長していくことと思います。どうぞ、ご家庭でもお子様の幼稚園であった事を聞いてあげて下さい。そして、そのお話をとにかく受け留めて欲しいと思います。お話の内容より、受け留めてもらった安心感でさらに子どもたちは安定した心で育っていくことでしょう。
合わせて、運動会やお芋掘り、クリスマスフェスタ、お餅つき等々は、藤の会の皆様やご父母、ご家族の皆様に何かとお手伝いを頂かないと出来ない行事ばかりです。お忙しい中とは存じますが、各行事へのご参加、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
≪子どもは、未来そのもの≫
子どもが育っている便利な今の世の中、子ども自ら何もしなくても欲すれば周りがやってくれる、いろいろな物が手にはいる環境が出来ている社会だと思います。すべてが用意され、間違いなくできる世の中、失敗しないようにと、立派な“転ばぬ先の杖”が用意され、いろいろな“HOW TO”に囲まれて育つ子どもたち・・・と言うところでしょうか。
そして、子どもには、その立派な“転ばぬ先の杖”が邪魔をして、自分の力で一歩も前へ進めないと言うのが子どもの育っている現実のようです。やがて実をいっぱいつけ過ぎたリンゴの木ように、つけた実の重さに耐え切れず、折れてしまう枝のように、知識・情報の圧倒的な量に生きる力さえ失ってしまうことも想像できます。 この時期は、転ぶことや失敗、実感、実体験こそ大事なのです。
子どもが育つことで作られる豊かな未来とはどんな未来でしょうか?
間違いないやり方、方法を学ぶこと、つまり“HOW TO”だけで育つことが本当に豊かなな未来に繋がっているんでしょうか? “HOW TO”も大事ですが、むしろ、“TO DO”で生きて欲しいと思っています。
“どんなふうにするか?”のやり方よりも“何をするか?”の意志を持ち周りと協調しながら生きて行くことがより重要だと思います。
「あなたは、何が好きなの?」「何がしたいの?」と子どもたちに常に何かを選ぶことを問いたいと思っています。自分のやりたいことや好きなことを自分で見つけて欲しいのです。そこにこそ、その子自身の育ちそのものがあると信じています。
そのためには、この幼児期こそ、目一杯、“子どもをすること”が必要だと考えます。しっかりと子どもをした貴重な時間こそ、その子、その子の人生にとってかけがえの無い体験と言う宝物になって行きます。
ふじようちえんは、一人一人の気持ちや意志の育成と伝え方を育てたい。
あなたは、何をするの?何で遊ぶの?どこに居たいの?何を着るの?
何を食べたいの?何色が好きなの?自分で選んで、自分ですることを大切にしています。
ふじようちえんのお部屋は、前からも後からも左からも右からもそして、屋根の上からも見えるオープンな環境です。オープンな環境だからこそ、育つ心や表現があります。でも、幼稚園と言う集団生活の場でもあります。『してはいけないことはいけない』と言う悪いことの限界もしっかり教えなくてはなりません。理屈抜きで、ダメなものはダメ、と言うことも教育には必要です。その上で子ども自らがしていることを認めてあげたい、認めることからが始まります。言い換えれば、“全部あり”の空気を大切に子どもたちを見守っているのです。全部ありだからこそ、逆に『あなたは何をするの?』を常に子どもに問うているのです。粘土遊びや折り紙、遊具等々至るところで子どもたちは、『あなたは何をするの?』の答えとして、意志を持ち、自ら育つ力を発揮し、“自分の活動(あそび)”をしています。
自ら選ぶこと、人と違うことを恐れないこと・・・個人差を尊重することは、
これからの世界に育つ子どもたちには、欠かせない要素だと思っています。
選ぶことの例として、ふじようちえんでは、着ても着なくても半袖、長袖でも何色でもTシャツは自由です。自分で選んで下さい。
幼稚園の給食とお母さんのお弁当、どちらを食べるか自分で選んで下さい。
自由画帳の表紙、どんな色が表紙でもOK、自分で表紙の色選んで下さい。
自分の遊ぶところ、屋根の上から見て砂場でも、ヤギでも、遊具でも毎日どこで遊ぶか、自分で選んで下さい。
こんな日常の中から、選ぶことのくせづけする仕掛けが用意されています。
みんなが一緒で平等という概念よりも、個人差を認め、違いがあるもの同士が同じ場所に居る事こそ大切ではないか思っています。ふじようちえんの思いの一端をお伝えしてみました。 園長だより vol.62 2008.9.3