ふじようちえん

2010.12月2日 園長だより

2010年12月01日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 今朝、幼稚園付近で見た6時ごろの気温は、2℃でした。点けたテレビの天気予報では、本日の東京の最低気温を7℃と言っています。誤報ではないのですが東京も広いと言うことです。どうも気象観測地からマイナス2~5℃ぐらいしたものが、この辺の気温になるようです。
 以前に、JR立川駅周辺より5℃も低いとお客様にご指摘頂いた時には、そんなに差が無いだろう、そんなに辺境扱いしないでとばかりに『この辺は、その昔、飛行場があったぐらいですから、ほとんど平らな地形、その為に、風の通りもいいので寒く感じるんですよ』と苦し紛れの説明をしたことを思い出しました。
いよいよ師走に入り、慌ただしさが増してきますね。皆様、いかがお過ごしですか?

≪必要とされて育つ≫
 子どもたちの元気な♪かきねの、かきねの、まがりかど、焚き火だ、焚き火だ落葉焚き・・・の歌声が聞こえています。また、落葉焚きの歌を追うように、他のクラスからは、♪ジングルベル、ジングルベル、鈴がなる・・・が聞こえています。焚き火からジングルベルへ歌のバトンタッチも行われているようですね。
 毎朝、園庭は、地面が見えなくなるくらいたくさんの落葉で覆われています。
落葉をお友だちみんなで、ほうきや小さな熊手で集め、お掃除のお仕事をしています。
最初は、落ち葉を集める時の道具である熊手の珍しさや使い方の面白さで掃除のお仕事をし始めてくれるのです。一区切りついて『みんな、ありがとう、お陰ですごくきれいになったよ!!』と言うと目がキラキラ輝いています。みんなで一所懸命に落葉を集めているのですが、落ち葉の量が多くて終わりません。そこで、まわりで見ていたお友だちに『一緒にお手伝いしてくれるかな?』と言うと『うん』と言ってすぐ手伝ってくれました。やってみたかったのか?そのお友だちの目もキラキラ輝いています。周りを見渡すと。お友だちみんなが、満足気な表情をしているのです。
まさしく、“人に役立っていること”を実感している状態なのです。
子どもたちのこういう状態の時こそ、子どもの心が安定している状態の時なのです。そして、安定した心からこそ、本当に物事に取り組む“意欲”が生まれてきます。
 世の中のあらゆる面で、どのようにやるかを伝えて、教えて、指導するスタイルの教育が目立ちますが、子ども自らが興味を持って取り組む中で、任せてみる、すると、任された自信と誇りで自ら行動する子になっていくと言う教育の視点も大切にしてほしいと思っています。

≪泣いて育つ≫
 ある日、あるクラスのお友だちが、保育時間中にトイレに行ったのですが、中々帰ってきません。担任が園庭を見ると楽しそうに他のクラスのお友だちと遊んでいます。その後、『今、何の時間ですか?』担任は、みんながその子の帰りを待っていた事を伝え、しかられていました。そして、反省の時間として、お部屋の外で立っているということがありました。その時のその子どものあやまりの言葉です。
 最初は、泣きながら『ゴメンナサイ』『ゴメンナサイ』と言い、次は『もう、しません』、やがて『もう、勝手にお外ではあそばない』になり、最後に『もう、悪いことはしません』となってきたのです。
 最初、“ゴメンナサイ”と言って終わるところが、以前にも数回あったらしく、今回、廊下に立たされたことにより、だんだんとやったことの意味が分かり、何故しかられているのか?その原因、自分の行なった、いけない行動を具体的に言えるようになってきていました。私は、子どもの状況は確かに泣いている状態でしたが、その子の心の成長を見た思いがしました。まさしく、“泣いて育つ”と言うことですね。

≪ポニーの効用≫
 先日、“ポニーと子ども全国フォーラム”というシンポジウムがありました。
ポニーと子どもたちの育ちという観点から意見交換会が行われました。大別して、ポニー牧場を運営されている方々、地域でポニー乗馬教室等を開催し教育的目的でポニーを飼っている方々、ポニーを飼育している小学校・幼稚園、加えて獣医師、飼育関係者等々が参加メンバーです。ちなみに、現在、私の知る限り全国でポニーを飼育している幼稚園は、札幌、東大阪、葛飾区、中野区、そして当園というところです。
 シンポジウムでは、アニマルセラピー、癒し、発達障害への療法、飼育での協同作業体験、動物愛護精神の育成等々、いろいろな観点から発表があり、様々な教育的効果が示されていました。
そして、私も幼児期におけるポニーとの係わり合いについてお話させて頂きました。現在、ポニーのはるちゃん乗馬やラッキーと触れ合いながら、馬の絵を描いたり、馬の歌を歌ったり、折り紙で馬を折ったり等々、活動は展開されています。細かくはいろいろありますが、単純にポニーの良いところは、犬や猫とちがって乗れること、そして、子どもたちより大きな存在であるポニーと仲良くなることで、安心感や征服感、自信が持てることだと思います。さらに、お友だちがこれから生きていく上で大切なことである“自分の思い通りにならない存在”を知ること、つまり、スイッチを入れたり、キーを押してまったく通用しない世界があることを体験してほしいのです。
ニンジンを出せば食べ、なんでも言うことを聞くようだけれども、ポニーにも気分があります。おとなしいのですが動物ですので先が読めないところもあるのです。そこにポニーとの付き合い方が出来てくるのです。
仕様書無き教材ポニー、子どもたちの育ちに貢献できる道具になれたら幸いです。

 突然ですが、先日、文部科学省から連絡があり、国際機関OECD(経済協力開発機構)の選ぶ、学校施設の好事例として、ふじようちえんが選ばれたとのお話を頂きました。それもなんと!! 世界中の学校施設の中で最多得票で選ばれたと言うことです。詳しくは、ホームページのブログでご覧下さい。

○ふじようちえんの学校施設が選出されたことに係る発表資料は下記のURLを御参照願います。

国立教育政策研究所 報道発表資料
URL http://www.nier.go.jp/03_laboratory/houdou_pdf/houdou_221105.pdf

OECD/CELE 発表資料
URL http://www.oecd.org/document/62/0,3343,en_2649_35961311
_36264702_1_1_1_1,00.html

園長だより vol 89 (2010.12.2)