ふじようちえん

園長だより vol . 230 (2021.1.29)

2021年01月29日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

まだまだ、寒いですが、今朝、一輪の梅の花に出会いました。何か?心がほっとしますね。そして、今、子どもたちが屋根の上を元気に走っています。その影が、春の光に照らされて、緑の芝生に鮮やかなコントラストとなって、きれいな影を落としています。寒さの中にも、爽やかさを感じられるようになってきた今日この頃です。
皆様、いかがお過ごしですか?まだまだ出口が見えないコロナ禍ですが、草木の芽吹き、日の光、空気の温かさ・・・細かなことにでも春の訪れを感じると幸せな気持ちになります。コロナ禍に、マスクしてても、春は来る‼ですね。

もうすぐ、劇発表会。子どもたちは今、演じるお話を理解し、それぞれの役の台詞や動き、立ち位置を覚え、一所懸命に練習をしています。また、他のクラスの劇を観ることも、この時期の大きな学びの場になっています。でも、多くの子が最初は恥ずかしがったり、声がでなかったりですが、お友だちと一緒に演じることで、出来るようになってきています。やがて、“自分はできる”という自信が出てきて、発表会を迎えるものと思います。まさしく、“劇発表会、演じて育つ、自信と友情”というところですね。そして、毎年お伝えしていますが、“演じるのは子ども、客席から観て、応援してあげることしかできないのが親”まさに、人生における親と子の立ち位置そのものなのです。劇発表会、お楽しみ下さいね。

≪晩白柚(ばんぺいゆ)を実感する‼≫
先日、仲良くさせて頂いている大分市の、のだ山幼稚園さんから、園の裏山で収穫したという晩白柚(ばんぺいゆ)とパール柑を頂きました。ボーリングの玉のように大きいので、子どもたちに見て、触れて、持ってもらおうと思い、園長席の前に置きました。多くのお友だちが入れ替わり立ち代わり胸に抱えて持ってみて、その重さを実感しています。その中で、横に置いてあるどじょうを飼っているタライに晩白柚を入れちゃったお友達がいました。たまたま、見かけた先生が、『ここには入れちゃいけないの!』と伝えていますが、○○ちゃんは黙ったまま、立っています。先生は、どじょうさんも可哀そうだし、おいてくれた園長先生に謝りましょう‼︎とその子に言っています。○○ちゃんは小さな声でしたが、『ここに入れちゃってごめんなさい』と私に言ってくれました。そこで私は『〇〇ちゃんは、正直に、自分がやったことをいけないことだと認めて、ごめんなさいって言ったから、これでおしまい。叱られるのが嫌でやったことを隠すことが一番良くないよね、〇〇ちゃんはちゃんと言ってくれてすごい‼』とみんなの前で伝えました。すると、〇〇ちゃんの目がキラキラして、元気な挨拶で帰っていきました。子どもの育ちの芽は、どこでも、どんな時にでも潜んでいますね。一時一時を大切にする場所でありたいですね。

≪3匹のコブタで育つ‼親も子も≫
みなさんご存知の3匹のコブタたちが家を建てるお話。ワラの家、木の家、レンガの家をそれぞれにつくりました。そこに、オオカミがやって来てその息でワラと木の家は飛ばしてしまいますが、レンガのお家はびくともしません。そこでオオカミは煙突から侵入しますが、そこにあったのは、暖炉で沸かした熱湯の中へ・・・これからは悪いことしないよぉ〜‼︎ と降参したオオカミは、山へ逃げ帰るのでした。というよくご存知のお話です。劇発表会で2つのクラスがこの劇を演じること、たまたま、脱穀を終えた稲わらがあったことが重なって、わらの家をつくってみようと思いつきました。お話に出てくるわらの家に入ってもらって、お話を実感してもらいたいと思いました。ちなみに、役決めで一番人気があったのはレンガのお家だそうです。
 このお話、何を言わんとしているのか?ネットで調べてみました。大切な点として、①努力は報われるということ。つまり、レンガの家を建てるという大変な課題に取り組んだコブタと、ワラで済ませようとしたコブタ、レンガの重さもさることながら、時間もかかったことでしょう。つまり、これらの努力は報われるということです。
②頑張れるのには“時期”があること。ポイントは3番目のコブタが1番頑張ったこと。人は年齢を重ねるほど要領が良くなり、手を抜いたり、少しでも楽をしようと考えるようになります。つまり若いうちの方が、大変なことも努力できるのです。
③あらゆる事態を想定して万全の準備をしよう。レンガで家を建てるだけでなく、煙突まで作る優雅さ…ではなく、オオカミの侵入を想定して大なべまで準備する周到さ。念には念を、万全の準備が勝利を呼びます。
④この話はみなさんが相当幼いころから知っているということ。でも普段はおとぎ話をこんな風に考えないですよね。物事は見る角度によって大きく表情を変えます。難しい課題でも、見方を変えれば解決策が見えてくるものです。つまり、①努力は報われる ②頑張る“時期”はお早めに ③万全の準備を ④物事は見方次第。お子様の成長が感じられる劇ですが、ご家族様の学びにも活かしていただけたら幸いです。ちなみに、パロディー版で、意地の悪いブタとオオカミとの交流を描いた『3びきのかわいいオオカミ』もあるそうです。

≪オノマトペで、円滑なコミュニケーションを‼≫
 コロナ禍、人と人が会って会話をする場面も減り、何かと言えばオンラインでの会話が増えています。オンラインは確かに便利ですが、話し手の細かな感情表現を感じながらのやり取りは、なかなか難しいものがあります。私もオンラインで打ち合わせや研修をしますが、意図したことが伝わらないもどかしさも体験しています。そんな中、オンラインのコミュニケーションには、意外にも、オノマトペが役立つことに気づきました。オノマトペ、わかりやすく言えば、お蕎麦やうどんは、ツルツルと食べればおいしそうなのに、ズルズルとしたら途端にだらしないものになってしまう感じで、状況の細かなニュアンスをうまく描写してくれる表現です。例えば、家の中でゴロゴロとか一日中ダラダラとか…のようなもので、ワクワク、ピカピカ、チクチク、ガンガン・・・また、笑い方を表すのに、ケラケラ、ゲラゲラ、クスクス、ニヤニヤ、ニタニタ・・・さらに、体の痛みの表現として、キリキリ、ズキズキ、ピリピリ、ジンジン、ズキンズキン・・・確かに、不思議なもので、この表現だけで痛さの中身が分かるものです。他にもたくさんありますよね。SNSやツイッターで伝え合う時代ですが、よりこのオノマトペを活用することで人の心と心が近くなればうれしいです。 たまたま、運転中、ラジオを聞いていたら、海産物の通販で、盛んにシコシコ、プリプリ、ゴロゴロ、プチプチ・・・これだけで商品が想像できますよね。盛んにオノマトペを多用されていました。さすがに、人の心へ刺さる伝え方、届け方を心得てらっしゃるものと感心しました。

園長だより vol . 230 (2021.1.29)