ふじようちえん

令和2年度 3学期修了式 園長だより vol . 232 (2021.3.19)

2021年03月19日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

早朝、春の光が、園庭の芝生の緑を輝かせています。暖かい春本番になりました。
今、目の前では、子どもたちが春を謳歌するかのように芝生の上で、追いかけっこやフラフープ、ボール遊びや帽子探しゲーム…それぞれにお友だちと楽しい時間を過ごしています。中には、体全体で春を感じたいのか?芝の上をゴロゴロ転がっているお友だちもいます。やっぱり、子どもたちの育ちには、原っぱ、追いかけっこ、お友だち…が似合いますね。また、特に、年長さんがみんなで一緒に楽しく遊んでいる姿を見ていると、あと少しで卒園を意識しているかのように感じ、過ぎ行く幼稚園時代を惜しむかのように思えてしまい、ちょっぴり感傷的になってしまいました。
うれしくも、ちょっぴりさびしい、巣立つ春。ですね。

本日、3学期修了式を無事に終え、令和2年度が終了しました。これも、ご父母、ご家族の皆様のご理解、ご協力があればこそのものと、心より感謝申し上げます。
特に、本年度は1年前の3月から始まった新型コロナウイルス感染拡大防止のための全国一斉の臨時休園、それに引き続き、何とか入園式、始業式は出来たものの臨時休園は5月末まで続いてしまいました。その分、変則的ではありますが、保育の時間を保つために夏休みの期間変更や行事を見直す中で、中止や規模縮小、形態変更等々を余儀なくされた年度でもありました。何より、教職員一同、子どもたちが感染してはならない‼と言う強い気持ちのもと、マスク着用、手洗い、消毒、向き合わない机の並び方、昼食時はお話しない、ソーシャルデイスタンス等々、子どもたちとともに新しい生活様式をしてきた一年でもありました。まさに、子どもたち、ご家族様にとって、また、私ども教職員にとりましても初めての経験で試行錯誤の連続でありました。まだまだ、予断を許さないコロナ禍ですが、今まで、元気に過ごせているのも、皆様のご理解、ご協力のお蔭です。本当にありがとうございます。

≪木とステンレス≫
 先日、卒園児のお父様が突然やってきて、手作りの木でつくった小さなクリップボードを数種類持って来られました。どういうことかと尋ねると、この園を卒園した息子も19歳になりました。が、私が病気をして数年間子どもと遊んでやれなかったので、その代わりと言っては申し訳ないが、今の子どもたちにプレゼントしたいということです。そのお父さんは、今は元気になりましたが、今度は息子が遊んでくれない。まぁ、年頃ですから当然ですけどね。そこで、思い出深い幼稚園時代を思い出して、今のお子さんたちにプレゼントしたいということでした。元々、大工さんをされていたので、数は多くても、得意なことだからと大丈夫と言われていました。お言葉に甘えて、次年度になりますが頂くことにしました。
 また、その少し後、私の友人で鉄工所をやっている社長が見えて、最新作‼が出来上がったとのこと、何かと言えば、1mmにも満たない薄いステンレスで、きりんや象、モンキー等々のシルエットを切り抜いた軽い置き飾りを見せてくれました。社長曰く、お料理や小物の写真撮影に添えると新たな世界が…と言うことです。確かに、今まで見たこともないし、かわいい置き飾りになって、いいと思いました。
この日は、たまたま、木の製品とステンレスの製品をほぼ同時に見させてもらい、木には木の良さ、ステンレスにはステンレスの良さがあることを感じました。また、それぞれに素材の特徴、良さを活かしていることに、ものづくり職人を感じました。
多分、人も同じで、得意なこと、長所を伸ばすことの中にその人の素晴らしさが出てくるものと想像します。簡単に言えば、短所是正より、長所伸展ですね‼

それにしても、私にとっては、息子さんがいた幼稚園のことを思い出してくれたり、子どもたちに良かれと思って、気にかけてもらったり、とてもありがたく、うれしいできごとでした。そして、人の一生は思い出と言う船で昔の時間と今の時間がつながっていること、さらに、まだ見ぬ未来もつながっていることを改めて思いました。

≪顔を見せる≫
以前、お話させて頂いたことですが、ある人が、病気で入院している親戚のおじさんの所にお見舞いに行ったそうです。おじさんは、『お前も来てくれたのか!!』とうれしがり、涙を流し喜んでくれたそうです。おじさんは、入院生活でさびしかったのでしょうね。おじさんの涙にその人は、今までの、誰かと会う時、何か用事がないと会いには行かないという姿勢でいたのを改めたそうです。おじさんの喜んでいる顔を見ていて、何も用事が無くても、ただ“顔を見せる”ということは、とても大事なことだと改めて思ったとのことでした。
例えば、実家から離れ、お正月とお盆に帰るとして、年に3日として、あと20年母親が元気でいるとしても合計60日しかありません。人生あと2ヶ月しか母親と一緒に居れないことに愕然としたと話していました。オーバーな計算かも知れませんが、あながち違っている様にも思いません。メールでやり取りし、空気感が無いZoomでの会話、良くも悪くもネットに頼っている今の現実はありますが、顔を見ながらの人と人が会うこと、話すこと、そして、心がつながり合う時間を本当に大事にしなくてはいけないと思いました。こんな時代だからこそ・・・。
そうそう、卒園児の皆さん、用事が無くても“顔を見せてね”先生たち元気が出ます。

≪自分の役割とジグソーパズル≫
 卒園児の皆さん、ご卒園、おめでとうございます。あっという間の幼稚園時代でしたが、先生たちもみんなと一緒で楽しかったし、本当に良かったです。
屋根の上で行った卒園式の練習で一人一人に修了証書を渡している時、みんなのキラキラした目に出会いました。大きくなったら・・・どんな大人になるのかな?どんなお顔してるのかな?どんな仕事しているのかな?なんて思い巡らせちゃいました。
『人は生まれてきたからには、どんな人でも役割がある』と聞いたことがあります。まさしく、自分の役割を見つける旅こそ、これからみんなが歩き始める人生です。自分の役割を見つけて、その役割で世のため、人のために尽くす生き方をして欲しいと思っています。役割の見つけ方は、何でもいいから、目の前のことに一所懸命になり、とことんやってみることだと言います。お勉強でもスポーツでも、音楽やダンス、絵画や読書、外国語・・・何でも好きなことを大事にして下さい。好きなことなら、辛くはありませんよね。やがて、その中に、自分の役割が見つかるものだと思います。その役割で、まわりの人を照らせば、やがて自分も光り出すものです。
でも、世の中、何事も順調に全てが上手く行くことはまずありません。そんな時、園長先生は、人生は、1つのジグソーパズルだと思っています。ジグソーパズルは様々なピースが集まって1つの絵になっています。1ピースだって欠けたら絵は完成しません。人生も同じ、良いこと、良くないこと両方があって、初めて人生というジグソーパズルが完成して行くのです。
卒園児の皆さん、卒園はゴールではありません。むしろ、一人の人間として役割を見つけ、ジグソーパズルを完成させる旅のスタートです。

さぁ、出発です!! 良き旅を!! そして、良き出会いを!!

令和2年度 3学期修了式 園長だより vol . 232 (2021.3.19)