ふじようちえん

2007.3月 園長だより

2007年03月20日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 朝夕はまだ肌寒いときもありますが、日中の日差しはすっかり春の陽気です。陽気はいいんですが、風の強さと砂ぼこりには困ったものです。ともかく、“綺麗なものにはトゲがある”の伝ではないですが、“春の暖かさには強風がある”と観念して過ごすしかないですね。
皆様、いかがお過ごしですか? 日々の子どもたちの育ちを見てきて、気が付いてみるともう卒園、進級です。忙しさの中にも、巣立ちの喜びとお別れの寂しさが行き交う時です。でも、この時期の気持ちは、新年度になり、それぞれの始まりへの期待や出会いの嬉しさに変化しいくものですよね。

≪誇り≫
先日は、年長組のご家族皆様による『おめでとうの会』として、ミニ運動会、どこでもお弁当大会そしてスティールパン(ドラム缶風打楽器)による演奏会という組み合わせで行われました。子どもたちやご家族様、教職員全員参加させて頂き幼稚園最後の楽しい時間をみんなで過ごすことができました。藤の会本部の皆様、お手伝い頂きました方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。一番楽しんだのは、先生方(?)だったかも知れませんね!!
その時に、何人かの方から、『園長先生、ふじようちえんに入れて本当によかったです』と言う旨のお言葉を頂きました。心から嬉しく涙がでそうになりました。
謙遜でもなんでもないんですが、私どもは、普通のことを一つ一つ、子どもたちの育ちに貢献できるようにと考え、みんなで相談し、力を合わせて取り組んでいるだけなのです。開園時より日々行っていることであり、それにより、ふじようちえんに流れている“あったかい空気”が出来ています。これからもこの空気を大切にして行きたいと思っています。
そして、私は常日頃、先生方や職員へ『○○先生がいるから、ふじようちえんに入れて本当に良かった』と卒園の時はもとより普段から言ってもらえるような先生、職員であって欲しいとの思いを伝えています。まさしく、教職員の方々がふじようちえんそのものなのです。また、教職員が中心で頑張っていてくれるから成り立っているのです。この頑張っている先生方、職員方が私の自慢であり、『ふじようちえんの先生や職員はみんないい』と言って頂く事が私の究極の願いであり、誇りなのです。ありがたい皆様のお言葉を励みにますます頑張っていこうと思いました。
ちなみに、私のもう一つの誇りは、大きな声で『園長先生!!』と街角やスーパー、ショッピングモール等で声を掛けられた時です。周囲の人々が振り向いて私を見ますけど、3,4歳の幼児から声を掛けられるなんて普通の大人ではあまりないこと。胸を脹れます。誰が見ていようと何処にいようと幼稚園のお友だちが私を見つけ、友だちのように『園長先生!!』と呼んでもらうことが、私の勲章です。
正直、試食しているときなんかバツが悪いんですが、それもそれ、見かけたら声を掛けて下さいね。(でも、園長先生は、そんなに試食ばかりしていませんからね。時々です。)

≪工事で大変だったこと≫
 新園舎も竣工、お祝い会、お披露目会を過ぎ、落ち着いてきました。保育・教育面、建築関係、デザイン関係等々各方面からいろいろなご興味を頂いているところであります。が、建設中にもいろいろ楽しい話がありました。ご紹介します。
ある時、休憩している現場の職人さんたちに聞きました。『この工事で一番大変だったことはなんですか?』と。私は、この園舎、形は手書きの楕円形の建物だし、屋根の勾配は各場所違うし、まして建具の木サッシは円形カーブ上を行き交うし・・・と、さぞご苦労なことだったろうなと想像してました。ところがです。ある職人さんが、『確かに難しい仕事と言えば、それはそうだけど仕事だからどんなことでもしっかりやりますよ』とプロの言葉ですね。その後、笑いながら、本当に大変だったのは、フェンス越しの子どもたちから、『なに、やってるの?』と聞かれ、『何々しているんだよ』と答えると、今度は他のお友だちが『なに、やってるの?』と聞きにきて、またその次の子が来て・・・と言う、いわゆる『なに、やってるの?』攻撃には、かわいい子どもと思っていてもさすがに参った!!とのことです。
何回も聞かれる『なにやってるの?』の中味は、大人が一度返事して済んだと思っていても、子どもはその返事でさらに深い興味を持つからです。でも、出てくる言葉は質問にならず『なに、やってるの?』になってしまいます。これが精一杯のようです。だから、子どもはある面しつこく、うるさい存在に誤解されることもあるのかもしれませんね。このような時は、やっていることのポイントを見せることが解決策です。例えば、ネジが木に入っていく瞬間を見せるとか、木材が切れる瞬間や切れ口の木目、土にスコップを入れ、持ち上げた後の土の穴の地肌とか・・・ポイントを絞って見せると興味がそこに集中し、好奇心を埋めるのに役立つこともあります。ご参考までに。
それにしても、この工事で一番大変だったことが子どもたちの『なに、やってるの?』攻撃だったとは、笑っちゃいますね。
今は、工事現場ならぬ屋根の上からすごく近くで桜の枝を見て『だれかの顔に似てる!!』・・・等。
子どもたちの興味・好奇心は尽きることはありませんね。

≪卒園児のみなさんへ≫
 みんなが生まれた時、お父さん、お母さん、ご家族のみんながすごく喜びました。やがて、大きくなって幼稚園に入園した時、やはり、みんなが喜びました。そして、いろんなことが出来るようになりました。これから、小学校へ入学です。今、また、みんながすごく喜んでいます。
小学校から中学校、高校、大学へと進む人も多いと思います。進む度にみんなが喜んでくれるます。また、その途中には勉強、スポーツ、芸術、友だち関係や恋愛もあると思います。学校が小、中、高、大と進むことやその中にある一つ一つのことが、すべて“節”なのです。そして、“節”がみんなを強くしてくれます。確かに“節“には、失敗したり、上手くいかない“節”もあると思います。が、そんな時は、失敗や上手くいかないことに拘らず、逆に失敗に感謝して、さらに目的達成への努力を続けて下さい。この“節”を経て大人になって行くことも、お父さん、お母さんには、本当に嬉しいものです。が、それより、もっともっと喜んでくれることがあります。
実は、もうすでにみんながいつも幼稚園でしていることなんです。【散かしたらかたずけること、一人で着替えること、ドアを開けたら閉めること、履物を揃えること、順番を守ること、他人の嫌がる事をしないこと、挨拶とありがとう、ごめんなさいを言うこと、お友だちと仲良くすること・・・】人に言われなくても、人が見ていてくれなくても、自分で自分のことが出来たり、考えることができるようになること。みんなの『自立』が最大の喜びです。
お父さん、お母さん、ご家族様、先生達みんなの願いは、巣立つ君達が一人で歩き、自立し、人として成長し、社会の役に立つことです。
みんなの人生が輝き、幸せなものでありますように!!
みんな、元気で、そして、遊びにきてね。一緒に過ごせて園長先生も幸せでした。ありがとう。
                           園長だより vol . 50 (2007.3.19)