ふじようちえん

園長だより vol . 248 (2022.4.28)

2022年04月28日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 新緑が目に染みる季節になりました。いろいろな花が咲き始める季節も好きですが、新緑には自然の息吹のようなエネルギーが感じられさらに大好きです。まるで子どものような新緑の初々しさに、子どもたちのこれからの育ちが重なり、輝く未来を感じてワクワクしてきます。
澄み渡った青空に、こいのぼりが気持ちよさそうに泳いでいます。ふじようちえんでは、開園の52年前から大きなこいのぼりを揚げています。これは、鯉は「生きる力がたくましく強いので縁起がいい」と言われていて、「これからも元気に育ちますように」と言う願いを込めています。また、子ども時代に圧倒的に大きなものに触れ、実感してほしい、そして、それぞれに大きな心も育ててほしいと思っているからです。さらに、園長席の横には、子どもの健康と成長を願う意味での鎧兜の五月人形を飾り、子どもの日お祝い会には、縁起物の柏餅を食べてお祝いをしました。端午の節句に込められた親の思い、今も、昔も変わることはありませんね。
さらに、季節もので山から採れたタケノコもそのままの姿でおいてあります。触れてみて、竹の赤ちゃんの重さや皮の感触を楽しんでほしいと思っています。

 新入園児のみなさんも、徐々に園での時間の流れと場所に慣れてきて、先生やお友だちと仲良くなって、お庭やお部屋で楽しい時間を過ごしています。よく見ると、それぞれに、その環境でのやり方やお約束を、先生のお話しを聞いたり、お友だちの様子を見て真似ながら、それぞれに理解し、段々と自分の行動にしているようです。確かに、まだまだ、朝、正門やバス乗車時に泣いたり、急に気持ちが変わったり…様々な育ちの時間が過ぎていますが、心配はいりません。慣れるのに個人差はつきもの、やがて、朝の別れに振り向きもせずに各クラスに一直線、なんて日々がやってきます。それぞれのペースでの自立への道を歩き始めました。でも、GWが明けての登園時、4月の初めに戻ってしまうことも…度々、この繰り返しで子どもは育って行くもの。子育ての大変さも、裏返してみると充実感?の日々ですかね。

≪GW、親の“おもしろがる力”で子どもは育つ‼≫
 よく幼児期には“遊びが学び”“Playing=Learning”と言われますが、人は、ワクワクすることに出会うと自然と意欲的になるものです。だから、幼児期にたくさんの遊びの中で、ワクワクすることにたくさん出会うことが大事です。そのワクワク感の中に潜む好奇心こそ子どもが生きていく選択肢を増やすことに繋がって行くものと思っています。ちなみに、ある研究によると、好奇心が強い子の特徴は、親の好奇心が旺盛なことらしいのです。何事も楽しむ親の姿がお手本になるんですね。
そして、幼児期の育ちに大切なこととして、いろいろなモノやコトを“見て、触れて、感じて、考えて、行動する”ことが大事で、このサイクルを子ども自らつかんでいってほしいと思っています。少し突き放すようですが、私は、“体験は教えられない”と言って、子どものワクワク、好奇心から始まる子ども自らが育つ力を発揮してもらうことを大切にしたいと思っています。
結局、親の“おもしろがる力”が、子どもに伝わり、子どもの育ちに影響していくものです。GWは、親の“おもしろがる力”の見せどころ、頑張ってくださいね‼
初めてコロナ禍での制限がないGWですが、いつでも、どこでも手洗い、消毒、検温、ディスタンス、気を配りながら、楽しい思い出をいっぱいつくってくださいね‼

≪きれいな石で、育つ‼≫
『先生、見て!! 見て!!』振り返ると、そこには小さな手のひらにのせた、小さく赤いきれいな石がありました。『わぁ~すごい!! 持って帰ってお母さんに見せたらいいよ』と言うと、職員室にビニール袋をもらいに一目散に走って行ってしまいました。
幼稚園の砂場には、きれいな色が落ちています。と言うより意図的に赤、青、黄色、緑、白色…等々のきれいな石を入れています。
子どもたちには、『昨夜、流れ星がいっぱいだったから、その中のものが砂場にも落ちたんだね』なんて言ってます。が、実はいろんな理由・目的があります。怒られちゃいますが、とにかく、子どもや女性、男性もですが、光るものが大好きですよね!?なんて、冗談を言いながらお話させて頂きます。
きれいな石探しと言う遊びを通じて、育てたいもの、育ってほしいこととは、
①細かいものを探すのに指先をたくさん使い、ある面センサーのように触覚を研ぎ澄ましてもらいたい。指先は、脳の出先機関、いっぱい使うことで脳への刺激になり、成長につなげたい。
②見つけたきれいな石はお家に持って帰ってもいいことになっています。約束は、只一つ“いっぱい取れたお友だちは、取れなかったお友だちに分けてあげること”と言うのがあって、他のお友だちへの思いやる心を育てたいと思っています。
③自分で見つけたことを実感し自信をつけてほしい。ちょっと昔なら自然の中でカブトやクワガタ等々の虫やメダカやフナ等の魚も見つけ、捕まえることが日常的にありましたが、今は中々この“見つける体験”をすることができないのです。先日、『先生、これ見つけたの!!』というキーホルダーを見せてもらいました。『どこで見つけたの?』と聞くと、『ダイソーの2階で!!』という答え、これが現実です。
④子どもたちを見ていると、お友だちが大きくきれいな石を見つけると、自分も大きな石が欲しくなり、いや、それ以上にもっと大きくきれいな石が欲しくなり、頑張ってそれまで以上に砂場のいろいろな場所を探し始めるのです。はっきり言って、教育・保育界では、あまり触れませんが、子どもの“欲”を育てたいと思っています。今の小中学生を見ていると、欲は無いけど知識は豊富、と言う感じがします。50ccのエンジンで大型ベンツを走らせるようなものなのです。私の勝手な考えですが、人間、誰でも、生まれてから最初はどうしても“我欲”が優先し、それがある程度まで行った時、初めてまわりへの配慮、“公共の欲”と言いますか、みんなも欲しいんだと言うことに気づき、一人占めしないで分け合う方がいいんだと考えられるようになります。本当に大事なことを気付かせる為には、その方が自然の流れだと感じています。分かち合いみんなで生きることを学ぶことは大変重要ですが、最初から、みんなで分かち合う事ばかりが優先しすぎると、本当に自分で獲得する力、意欲、意志…生きる力が、育ちにくいのではないかと思います。

いろいろお話させて頂きましたが、きれいな石を大事にしている子どもたちをみて、私は、いつも確信していることが一つあります。それは、『子どもって、買ってあげたものはすぐ無くすけど、自分で見つけたものは大事にしますよね』せっかく買ったおもちゃやカード、すぐ無くしたり…思い当たることありませんか?

園長だより vol . 248 (2022.4.28)