ふじようちえん

園長だより Vol . 296 (2025.10.31)

2025年10月31日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
 皆様、いかがお過ごしですか?幼稚園から見える奥多摩の山々にも少し白いものが見られるようになり、風も冷たくなりました。冬に向かうこの時期、体調を崩さないように暖かくしてお過ごしください。
 先日の運動会では、多くの皆様のご参加、ご協力のお蔭で無事終了することができました。改めて、感謝申し上げます。ありがとうございました。
 お子様の育っている今をご覧いただきたい、特に運動会当日を迎えるまでの努力やがんばりを感じていただけたらと思っていました。そして、当日、ご家族様の応援を受けて、頑張った子どもたちの顔には達成感と自信を感じることが出来ました。さらに親子競技を通じて親子のつながりを楽しんでもらい、年長さんのご家族様には綱引きで親の頑張りを見せることが出来たものと思います。翌日の筋肉痛は運動会を楽しんだ勲章ですね。親も子も、みんなで楽しむ運動会、子どもの育ちにとても役立つ時間になりました。
 幼稚園の運動会、ご家族様の大切な思い出にしてもらえたら最高です‼

≪すべり台で育つ‼≫
 秋晴れの日、気持ちいい日差しを浴びて、子どもたちは滑り台を楽しんでいます。滑っては、また屋根に上がり、また滑る…この繰り返しをずっと続けています。
 各ご家庭でも、お子様が公園等で何回も、何回も滑り続け、お買い物等の都合で急いでいて『あと1回ね!』なんて言葉をかけたこともあると思います。この子どもたちが滑り台を繰り返す意味と理由は、滑り台の高低差による脳への刺激であり、それがおもしろく、心地よい感覚(快感)を生み、その感覚をまた味わいたい‼との思いから繰り返し滑るものと考えています。もっと言えば、生まれながらに備わっている“自ら育つ力”を発揮する場面としての滑り台であり、“自分を自分で育てている行為”だと思っています。ある時、子どもたちを観察していると約40回滑っていました。そして、その後、何か達成したかのような満足した顔で、他のあそびに移って行きました。おそらく、満足したので、自分を育てる次のステージに移ったものと思います。子どもたちのあそびにこそ、子どもたちの様々な育ちが含まれているのですね。

≪ジャックオーランタンにふれて、育つ‼≫
 マシュー先生が、ハロウィンにちなんでジャックオーランタンを作ってくれました。
「ランタンを持ったジャック」という意味で、悪霊を追い払うための魔除けのシンボルということです。農場で育てた大きなカボチャをくり抜き、目や口が段々見えてくると…そこには怖い顔が現れてきました。初めて見るジャックオーランタンづくり、お友だちは、何ができるのか?不思議に思いながら、『トリックオアトリート、お菓子くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ‼』の言葉に代表するお菓子をもらうだけではないハロウィンの風習に触れ、少しだけ多様性を拡げてみた子どもたちでした。

≪柿の種の芽で育つ?≫
 おべんとうの日、あるお友だちのおべんとう箱にデザートで柿が入っていました。その柿に種がありました。お友だちは、考えました…この柿の種を植えたら、芽が出て柿ができると…。みんなが見えるクラスの前に種を埋めて、水をあげました。まわりのお友だちも興味津々、みんなで柿の芽が出るのを楽しみに、毎日、水をあげています。先生も、『それじゃ、芽が出ないよ』とわかっていながら、言葉にはせず黙って、子どもたちの行動を見ることにしました。子どもたちが考えたことを静かに見守り、子どもたちが答えを自らみつけることが、子どもの理解や育ちにはとても大事だと思います。大人が『そんなことやっても芽は出ないよ!』というのは簡単ですが、それを言うと、子どもたちの学びは、そこで止まってしまいます。日常でも、子どもに良かれと思って発している親の言葉、大人の言葉は、子どもたちの育ちや学びにどんな影響を与えているのか考えさせてもらった柿の種の話でした。ちなみに、後日、芽は出た?と聞いたら、『さくらんぼの種も植えたよ‼』とのこと、子どもたちの探究は続いているようですね。

≪ドングリ、どじょうで育つ‼≫
 毎年この時期、ドングリ、クヌギ、しいの実・・・等々の木の実をたらいに入れ園長席の前に置いて、自由にさわれる様にしてあります。それこそ、子どもたちには腕まくりして肘までたっぷりとドングリに浸かってほしい、そして、その感触で秋を感じてほしいと思っています。
 そして、ドングリの横には、どじょうを飼っています。♪どんぐり ころころ どんぶりこ おいけにはまって さあたいへん どじょうがでてきて こんにちは ぼっちゃん いっしょに あそびましょ・・・今のお友だち、とても元気よく歌を歌えるのですが、どじょうを見たことが無いお友だちも多いのです。せめて、歌詞と現実をつなげたいと思い水槽で飼っています。あるお友だちが、どじょうが『口をモグモグ、パクパクしているよ!!』と言いました。すると、『どじょうがしゃべっているんだよ!!』という会話をしています。どじょうの口の動きという細かい点に気づいたお友だち、その姿を会話していると見立てたお友だち、共にすばらしい観察力と想像力、私は只々、楽しい会話を聞いているだけでした。この子どもたちの育ちの時間を大事にしたいですね。

≪記念樹が実をつけた‼≫
 “無患子”皆さん読めますか?“むろくじ”と読みます。子どもが患うことが無いように…と言う思いを込めた樹木の名前なのです。読めないけれど、木の名前が意味していることは、子を思う親の心そのものです。心が温かくなりますね。
 10数年前に藤の会からいただいた記念樹で、井戸の近くに植えてます。この木が、初めて実をつけました。この実、実は水に溶かすと泡立つため、昔は石鹸や洗剤として使われていたそうです。さらに、調べてみると、無患子の実は、羽子板の羽根に付いている丸い玉に使われるもので、縁起物でもありました。医療が発達していないその昔、子どもが無事に育つことを祈り、その思いを無患子の実に託し、羽子板の羽根で子の健やかな育ちを祈ったものと想像しました。
「親思う心にまさる親心…」親心、今も昔も同じですね。無患子、大切にします。

園長だより Vol . 296 (2025.10.31)