園長だより vol .297 (2025.11.28)
2025年11月28日 / 園長だより
藤幼稚園のご父母のみなさまへ
師走を目前に、寒さが日に日に増してきました。皆様、いかがお過ごしですか?
外の教室辺りで子どもたちは、園庭の落ち葉を小さな熊手で集めては、落ち葉プールに入れるお仕事をしています。やがて、ふかふかになった落ち葉の山に飛び込んだり、両手で抱えた落ち葉を高く投げては、降ってくる雪に見立てて遊んでいます。遊びをつくり出す力、その行動の中に子どもたちが考えていること、その目的が見えてきます。このように遊びの中には、様々な子どもの育つ力が発揮されているのです。自然の移り変わりを味方につけて、育って、学んで、楽しんでいる姿ですね。
また、子どもたちは、寒さに関係なく屋根の上をぐるぐると走り回っています。まさしく“寒い時には、屋根の上をぐるぐる走り、日向ぼっこすればいい”と言うふじようちえんのあったかくなる方法(‼)通りの光景が展開されています。シンプルだけど間違いない方法です。皆様も、走ってみますか?本当にあったかくなりますよ!!
先日は、秋晴れの日に昭和記念公園、子どもの森とみんなの原っぱに行ってきました。紅葉した木々を眺めつつ、ドングリや赤く紅葉した落ち葉をそれぞれに集めては、持ち帰ったり、クラスごとに作品にしたりしました。何より、お弁当の時間がみんな一番の楽しみで、お弁当のふたを開けた時のお友だちそれぞれの笑顔は、うれしさでいっぱいの顔、顔、顔でした。そこに、とてもあったかい親子の愛情をたくさん、たくさん感じました。離れていても感じる親の愛、お弁当、いいもんですね。
さらに今、子どもたちは、クリスマスフェスタに向けて作品づくりや歌の練習をしています。それぞれに思いを込めて表現している作品や元気な歌声を聴いているととても幸せな気持ちになります。誰かが言っていた“いつも、子どもは、親にとてつもない力をくれる”という言葉の意味を感じます。皆様、どうぞお楽しみに!!
師走の声を聞き、あわただしい気分になりがちな時期ですが、インフルエンザの流行もしていますので、うがい、手洗いをしっかりして注意して過ごしましょう‼
≪突然の幼・小・中連携‼で育つ≫
先週、中学生の職場体験がありました。10名の5中生が来てくれました。なんと、みんな卒園児‼うれしいやら、びっくりするやらの感じでしたが、3日間の職場体験がスタートしました。私たちの心配をよそに、子どもたちは中学生のお兄さん、お姉さんの手を引いて、『あそぼ‼あそぼ‼』の連呼です。中学生もよく知っている幼稚園ですので、すぐに一体となって屋根の上や、砂場、各クラスで楽しく遊んだり、紙芝居を披露するなど職場体験をしてもらいました。初日ですが、たまたま、大山小・赤十字委員会との交流会があり、小学生が絵本を読んだり、ジャンケン列車、大きな紙への好きなものお絵かき等々を主導する時間がありました。中学生も幼稚園児と一緒に参加してくれ、ジャンケン列車の時には、お友だちと目の高さを合わせようと膝立ちで歩き回ってくれました。小学生の仕切りで中学生も参加し、幼稚園児が楽しんでいる光景、まさしく、幼小中連携の姿がそこにありました。意図していませんでしたが、異年齢交流、つながり交流、楽しい時間を通して、このような時間をこれからも設けたいと思いました。年のちがいを超えた交流は、特にそれぞれの年齢に沿った心の成長にとても有効だと感じました。
≪とうきょうすくわくプログラムで育つ‼≫
現在、東京都ではすべての乳幼児の「伸びる・育つ(すくすく)」と「好奇心・探求心(わくわく)」を応援する“とうきょうすくわくプログラム”という幼児教育推進プログラムを推進しています。「結果よりも過程」「個性を尊重する関わり」「多様な協働」を大切に非認知能力(意欲・自己制御・共感性等)を育むことを目的としています。ふじようちえんでも、このプログラム初年度より取り組んでいます。例えば、卒園児からもらったカイコを飼育するところから始まり、繭→絹糸→布切れ→マイクロスコープで繊維の重なり、編まれ方を観察という流れで探究活動を行いました。この事例は東京都担当部門よりお褒めの言葉をいただき、好事例として広く広報されました。さらに今年度は、各クラスが子どもたち同士の話し合いや様々な遊びを通して、興味あることに焦点を当てて探究活動を展開しています。まだまだ途中経過ですが、いくつかの取り組み事例を上げておきましたので、下記のQRコードからご覧いただければうれしいです。子どもたちの考えていること、思考の展開に大人では思いつかないこともあり、子どもたちの育ちに益々興味をもちました。
この活動を通じて、探求する文化のある園づくりにつながればいいと思っています。
≪塩むすび≫
昨日の屋根の上での“おにぎり会”あまりのおいしさに、お替わり、お替わり…の声が止みませんでした。青空のもと、みんなで食べた塩むすび、指についたごはん粒に口を付け、きれいに食べて初めて分かるごはん粒の味、何気ないことですが、この経験を幼児期にして欲しかったのです。
おにぎり会でいつも思い出すお話ですが、再度お伝えさせていただきます。
十数年前のことです。卒園児の小5の女の子(現在、社会人)のお母さんが、うちの子が学校から帰って来て『何か食べるものある?』と聞くのです。その時『何にもないよ』と答えると、『じゃ、塩むすびつくって!!と言うんですよ』と話して下さいました。幼稚園の時に食べた塩むすびがとても美味しくて、その味を思い出すかのように時々、塩むすびをリクエストされるそうです。確かに、お塩とお米の味だけですが、おいしいですよね。
一年に一回、屋根の上で、小さな手にのせ、みんなで食べる塩むすび、ほんのわずかな時間ですが、子どもたちにとっては、味の記憶、美味しさの思い出として、しっかりと心に残って行くものと思っています。
よく、“3つ子の魂、百までも”と言いますが、むしろ、私は“一生ものの始まり”と言っています。それぞれの子どもたちの永い人生時間を見た時、一生に渡り活かされるもの、使うものの多くを獲得する時期が幼児期なのです。出来るだけ正しいもの、正しいことを身につけるべきだと考えます。その正しいものやことを癖付けし、その良い癖付けが習慣レベルになるまで指導して行きたいと思います。
特に、心、行動、考え方の良い癖付けが大切だと感じています。
“人生は、その能力によって決まるのではなく、その性格によって決まる”と聞いたことがあります。人生の土台となる幼児期、先生たちみんなで力を合わせながら、子どもたちの幸せな未来、育ちに役立つように頑張って参ります。
園長だより vol .297 (2025.11.28)