ふじようちえん

2011.2月4日 園長だより

2011年02月04日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 スマイルファームで梅の花のつぼみを見つけました。よく見ると、寒い朝の眩しい日差しを浴びながら、小さいながら花も咲いています。立春になりました。
友人が言っていました。『なんだか、この年齢になると、カレンダーより、暦の方が体にあっている気がするんだよなぁ~』と。何となく分かる自分がいました。
 皆様、いかがお過ごしですか? 
まだまだ寒い日が続きそうですが、春を見つけられる季節になりました。お子様と一緒に歩きながら、小さな春、春のいぶきを探してみてはいかがでしょうか?子どもにとっては、雑草の新芽でも驚きです。そして、その驚きが興味になり、理解につながっていくことがあります。まさしく、科学する新芽の始まりになると思いますよ!

≪風邪で育つ!?≫
 皆さん、風邪には注意しましょう!! と何万回と聞き、うがい、手洗いの徹底を!!と言われて、本当に小まめにしていますよね。しかし、風邪は、いくら注意していてもかかるときはかかるというのが本当のところではないでしょうか?
 私が小学生、風邪をひいた時のことを思い出しました。日本間に布団を引いて静かに寝かされていました。静かに寝ているしかなく、なんとなく眺めて見ていた天井、その木目を数えたり、形に規則性を求めて、いろいろな木目の形を見つけたり・・・と、風邪をひき、熱があるのにそんなことを思っていた記憶があります。ささやかな記憶ですが、改めて考えると、たかが天井の木目から多くの想像をしていたのですね。
きっと今、風邪で寝ているお友だちも“何か”を育てていることだと思います。
 また、その当時、風邪で寝ていると、親が、食べ物、特にバナナか、ヨーグルト、もしくは、桃の缶詰を枕元に持ってきてくれたものです。今では普通にありますが、当時は、風邪をひいた時にしか口に出来ない食べ物でした。だから、普段食べられないから、熱があるくせにバナナや桃の缶詰をペロッと食べてしまったのです。親はそれを見て、『こんなに食べられるなら、大丈夫だ、良くなっている』と安心していました。本当は、食べ物の誘惑に勝てなかっただけなのです。
 そんな意味を背景に、幼稚園の旗を挙げる木のポールの一番上には、雨よけとして桃の缶詰をかぶせています。そして、『ふじようちえんの一番高いところには、お母さんの愛情があるんだ』と密かに納得しています。
ちょっとさびている?愛情、一度、ご覧頂ければ幸いです。

≪劇発表会≫
 今、劇発表会に向けて各クラス練習に励んでいます。子どもたちは、劇の内容を先生からのお話や、絵本を読んで理解していきます。ストーリーがわかると次に役を決め、台詞を大きな紙に書き、窓に貼り、覚え、歌の練習も始まります。やがて、立ち位置を確認し、出る順番を知り、だんだんと劇になって行きます。
 この劇発表会、様々な成長が見られます。台詞を覚えていたはずが、忘れたり、間違えたり・・・お友だちに助けられることも大切です。また、自分の出番が来るのをドキドキしながら待っていて、台詞が言い終わったときの安堵感・・・この充実感を体験してほしいのです。間違ったり、ドキドキしたり、そして演じることをみんなで楽しみ、好きになることが大切です。練習から発表会まで全部含めてみんなが育つステージです。そんな経過を想像しながら、演じる姿に声援を送って下さい。この劇発表会、残念ながら親が出来ることは只一つ、演じる子どもを応援し、見てあげることだけなのです。いくら親が手伝おうとしても、演じるのは子どもなのです。
どうぞ、子どもが頑張ってきた時間、自立していく姿、そして、子どもの成長をご家族様みんなで見てあげて欲しいと思います。

≪感謝、感謝、感謝≫
 OECDの最優秀賞並びに文部科学大臣表彰を賜りました。私どもには予期せぬ、しかも大いなるご評価で栄えある表彰を頂きましたこと、心より感謝を申し上げます。
 この栄誉は、今までの卒園児を含む多くの子どもたち、ご家族様、地域の皆様方、各行政機関、旧教職員の皆様、今までお世話になりました本当に多くの皆様方のお陰と衷心より御礼申し上げたいと思います。本当に、ありがとうございました。
 この表彰は、普段から行っている教育活動と施設の関係性における子どもの育ち、簡単に言えば、≪園舎が子どもの育ちの道具≫になっていること、遊びと育ちと園舎が一体となっていることが、今までの教育施設にない視点であり、世界でご評価頂いたものと考えています。屋根の上を走り回ったり、靴をそろえたり、戸をしっかり閉めて、きちんとする癖づけをしたり、裸電球をひもで引く昔ながらのスイッチを使い、物の道理を知ってもらったり・・・と園舎自体が、子どもたちが自ら育つための一つの道具となり、子どもたちはいるだけで、そうせざるを得ない状況を作っているのです。
 そこには2つの源があります。一つは、子どもの育ちを科学的にみる視点をもったモンテッソーリ教育、子どもの育ちを因数分解してその成長段階で出てくる育ちの特徴、習性をとらえながら、それに役立つ状況をつくりました。 
 もう一つは、現在の社会状況への提言とでも言うべきものです。それは、現在、何もかもとても便利になっていますが、子どもにとってはどうなのか?と考えました。リモコン、センサー、オートマチック・・・とても便利ですよね。でも、ものの道理・本質も分からない、ましてや子どもの育ちにとって大切な実体験が少なすぎるのです。便利さより、少しの不便さがあるほうがいいと考えました。不便さが工夫を呼び、工夫することによって学びが生まれます。
 この2つの思いを合わせて包んでいるものが、ここに流れる空気、ちょっと昔の懐かしい日本の臭いのする空気です。この空気が、子どもを育てています。私たちは、懐かしい未来・・・Nostalgic Future!!と言っています。新しい時代でも伝えていきたいと考えています。 ふじようちえんは、地域の幼稚園として子どもたちのために教職員一同、力を合わせて頑張り続けて行きます。どうぞよろしくお願い致します。

園長だより vol . 92 (2011.2.4)