2017年11月30日 園長だより
2017年11月30日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
今月初旬、園庭に蒔いた芝の種が芽を出して来ました。本当にかぼそい赤ちゃんのような芽ですが、寒さに耐えて順調に育ってほしいものです。ただ、今年の異常気象、天候不順は続いているようで、最近の冷え込みは、例年になく寒さが早くやって来ているようで芝の成長が心配です。でも、子どもたちが園庭を見るたびに緑が濃くなり、植物の成長、その早さ、不思議さ、自然の凄さ等々…を感じてもらえたらいいなと思っています。
師走を迎え、寒さも強まり、本格的な冬到来です。皆様、いかがお過ごしですか?
今、子どもたちは、クリスマスフェスタに向け、作品づくりや歌の練習にそれぞれに頑張って、楽しく日々を過ごしています。
≪塩むすび≫
『ぼくは、3つ食べた‼』、『わたしは2つ‼』、中には7つも食べたお友だちもいました。先日の屋根の上での“おにぎり会”あまりのおいしさに、お替わり、お替わり…の声が止みませんでした。青空のもと、みんなで食べた塩むすび、指についたごはん粒も、一粒一粒、口をつけて全部きれいに食べて、初めて分かるごはん粒の味、何気ないことですが、この経験を幼児期にして欲しかったのです。
おにぎり会でいつも思い出すお話ですが、再度お伝えさせて頂きます。
数年前のことです。卒園児の小5の女の子(現在おそらく社会人)のお母さんが、うちの子が学校から帰って来て『何か食べるものある?』と聞くのです。その時『何にもないよ』と答えると、『じゃ、塩むすびつくって!!と言うんですよ』と話して下さいました。幼稚園の時に食べた塩むすびがとても美味しくて、その味を思い出すかのように、時々、塩むすびをリクエストされるそうです。確かに、お塩とお米の味だけですが、おいしいですよね。
一年に一回、屋根の上で、小さな手にのせ、みんなで食べる塩むすび、ほんのわずかな時間ですが、子どもたちにとっては、味の記憶、美味しさの思い出として、しっかりと心に残って行くものと思っています。
よく、“3つ子の魂、百までも”と言いますが、むしろ、私は“一生ものの始まり”と言っています。それぞれの子どもたちの永い人生時間を見た時、一生に渡り活かされるもの、使うものの多くを獲得する時期が幼児期なのです。出来るだけ正しいもの、正しいことを身につけるべきだと考えます。その正しいものやことを癖付けし、その良い癖付けが習慣レベルになるまで指導して行きたいと思います。
特に、心、行動、考え方の良い癖付けが大切だと感じています。
“人生は、その能力によって決まるのではなく、その性格によって決まる”と聞いたことがあります。みんなが更に良くなって幸せの方向に進むように、人生の土台となる幼児期、先生たちみんなで力を合わせながら、子どもたちの育ちに役立つように頑張ります。
ちなみに、おにぎりとおむすびの違い、わかりますか?当時、そんな話もしましたが・・・またにします。食べることに妙に熱心な園長先生と思われるのも・・・ちょっと気になるもので。
≪流鏑馬≫
先日、(株)立飛ホールディングス主催による立川立飛流鏑馬が晴天のもと、立川駅北口サンサンロード沿いのみどり地区特設会場で行われました。当日は、立飛様から日本の伝統文化を子どもたちにも見てほしい、それも本物を、とのご主旨で、ふじようちえんのご家族約600名も最前列の席にご招待頂き、飾りを付け、全力で駆ける馬の迫力や矢を射る人(射手)の素早い矢の裁きと、的を狙う緊張感を肌で感じ、ほとんどの観客が初めて見る流鏑馬に魅了された時間になりました。
古式ゆかしい儀式でありますが、軽妙洒脱で本当の知性を感じる流鏑馬やその背景、式進行の説明、また、TV等で有名なロバートキャンベルさん(立川にある国文学研究資料館長)による分りやすい英語解説でとても楽しく過ごすことが出来ました。
改めて、貴重な体験をさせて頂きました立飛ホールディングス様に感謝申し上げます。
ご存知の方も多いと思いますが、流鏑馬は、馬に乗りながら弓を引き、鏑矢を放つことです。歴史は古く、平安中期に朝廷の警護にあたった武者たちによる宮中儀式として行われていたものと記録があります。鎌倉時代になり、華美で軟弱な公家たちの生活の反省として、質実剛健な武士の道を教えるために行われるようになりました。
この流鏑馬は、源 頼朝の礼法、弓術、弓馬術の師範を務めた初代・小笠原長清により確立され、様々な時代を越え、現代にも受け継がれています。特に、流鏑馬は、五穀豊穣、国家安泰、病気快癒などの祈願で行われる儀式で、矢が的に当たると五穀は稔り、諸願は成就すると言い伝えられ、今も全国各地の神社等で開催されています。
会場で資料や書籍を販売していたので、覗いてみると、『小笠原流こどもの礼法』と言う本が目に留まり、思わず購入しました。開いてみてビックリ‼私たち大人こそ、日常生活の中で再度、試みるべき行動ばかりでした。内容の解説を少しご紹介します。
私たちの生活の中には、立ち居振る舞いや身のこなし、そのすべてに決まりがあります。丸いもの、角のあるもの、長いもの、重いもの等々、物にはそれに適した正しい扱い方があり、それをわきまえて、自然で美しい所作を行えるようになりましょう。
特別な「型」を習うのではなく、「時、ところ、相手に合わせて、当たり前のことが当たり前にできる」ことが大事だと言われています。そして、礼法とは、「日常の行動として役に立ち、無駄がなく、他から見て美しくある」こと。立つ、歩く、座る、お辞儀をする、物を持つ、食事をする。日常生活の中でこれらの動作を行う時に、正しい姿勢で行うにはどうすればいいのか?ご家庭でもこうした動作を見直し、親子一緒にけいこして頂ければ幸いです。と述べられています。
あいさつ、言葉づかい等々の日常の心得、立った姿勢、いすに座った姿勢等々の姿勢と動作、お辞儀、室内の出入り、物の持ち方、受け渡し、ひもの結び方・・・目次を追うだけでも、モンテッツソーリ教育のめざしている『美しい身のこなし』に通じるものがたくさんあると思いました。もうすぐお正月、礼儀作法の実践、いかがでしょうかね? この本は、正門玄関でご覧になれるようにしておきますね。
園長だより vol . 185 (2017.11.30)