2012.9月3日始業式 園長だより
2012年09月14日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
9月に入り、朝夕は過ごし易くなってきた気がします。昨日、往く夏を惜しむかのようにセミたちが最後の力を振り絞って鳴いていました。この時期に聞くセミの声は、夏の終わりの刹那さとセミの命のはかなさが重なり、感傷的な気分になります。
そんな中、園長席の前に置いてある虫ケースからは、鈴虫の軽やかな鳴き声が聞えています。なんだか、小さな秋を見つけた気分になりました。虫の鳴き声で季節の移り変わりを感じる…とても日本的で大切にしたいこの感覚、子どもたちにも伝えていきます。
皆様、いかがお過ごしですか?天気予報では、まだまだ厳しい暑さが続くようです。
お体ご自愛され、運動と読書と食欲の秋に備えて行きましょう!!
ご家族一緒での夏休み、ご旅行やプール遊び…楽しい思い出がいっぱい出来たことと思います。いよいよ二学期が始まりました。まずは、子どもたちに夏休みの思い出を聞くことから始めてみます。人は誰かに体験を話すことによって、更に記憶を深く、確かなものにして行くと聞いたことがあります。大事なのは、聞いてあげることです。夏の楽しい思い出を胸に刻み、話を聞いてくれたお友だちや大人へ心をゆだね、その安心感、信頼感を土台として、しっかりと秋に育っていくことと思います。
今から、一所懸命にお話してくれるお友だちの姿が目に浮かんで本当に楽しみです。
≪夏に感謝です!!≫
幼稚園の夏休みは、ご存知の方も多い、冷たいそうめんとミニトマトも流れた“流しそうめん”や本物の宝石が入った“宝石探し”カブトムシやクワガタをゲットできたディキャンプ、特に、音や踊りで沖縄の空気いっぱい満喫することが出来ました。
<My Safari Day>をテーマにしたインターナショナルサマースクールでは、英語と共に世界に住む動物たちを楽しく学びました。たくさんの外国人の先生が来て色々なふれあいが生まれました。
今まで先生たちが受講していた夏期モンテッソーリ研修会を“公開★モンテッソーリ研修会”と題し、松浦先生のご講演と教具の提示を中心にて企画しましたところ、予定をはるかに超える約200名ものご参加を頂き、学びの時間を共有することが出来ました。受講後のアンケート結果でも、“今までの子どもの育ちが理解できた”“モンテッソーリ教育に興味がわいた”“大変勉強になった”…等々のご意見が多くありました。特に多かったのが、“残りの1.5時間を聞きたかった”“また開催して下さい”とのご意見でした。地道にモンテッソーリ教育に努めている私どもにとっても、心強く感じるとともに、たくさんの味方が増えた感じがしています。そこで、皆様の温かい思いに応えて、次回を、この冬開催を目標に松浦先生と日程調整をしています。
決まりましたら、お伝えします。ちなみに、古代米とゴロゴロじゃがいも、トマト入りカレーの畑ごはんも人気でしたが、トマトゼリーが特に好評で、レシピを教えて!!と言うご意見が本当に多くありました。うれしい悲鳴です!! そこでその声に答えて、幼稚園ブログのスマイルシェフ(8/22)にアップしました。ご活用下さい。
そして、夏まつり、本当に暑い中でしたが、多くの皆様のご参加、ご協力を頂き、お陰様で無事に終了することが出来ました。特に、藤の会のご父母の皆様にはラムネ、ジュースの販売をして頂き、暑い中完売をするほどの忙しさ、本当にご苦労様でした。藤の会からのプレゼント、Fuji手ぬぐいも大好評でした。ちなみに、手ぬぐいの寸法は、物の無い時代に何にでも応用できる生活の知恵の産物だそうです。
様々な夏のイベントが行えたのも、皆様のご理解ご協力があればこそと、改めて感謝申し上げます。これからも、子どもを真ん中に、ご家庭と幼稚園で力を合わせて子どもの育ちを見守って行きたいと思います。二学期もどうぞよろしくお願い致します。
≪忘れない、命を祝う、負けない≫
宮城県の山元町に、同姓のふじ幼稚園と言う園があります。実はこの幼稚園、昨年3月の大地震時、園バスに乗って避難しようとした矢先、津波に襲われ、乗車していたお友だち8名と先生1名が犠牲になられるという大惨事にあわれた園なのです。 本当に言葉もありません。只々ご冥福をお祈り申し上げるばかりであります。以前の
園舎も新築して5年余り、ご高齢の理事長先生は悩み苦しんでいました。そんな時、東北各地で救援活動をしているユニセフさんが、金銭的支援も含めて支援をして頂けることになり、新園舎が完成しました。理事長先生は、ユニセフさんに『本当に私たちを助けてくれるんですか?』と声を詰まらせ、涙をこぼしながら、感謝の気持ちを伝えたと言います。そして、これで町の公民館を借りて保育している子どもたちにもやっと保育する環境が出来ると心からうれしかったと話されていました。この設計を担当されたのが手塚貴晴+由比ご夫妻で、以前、理事長先生をはじめ教職員の方々がはるばる宮城県から当園をご見学に来られ、隅々まで細かくご案内させて頂きました。立地や環境は異なりますが、同じふじようちえん同志、子どもを保育する心は同じ、すぐに理解し合え、とてもいい出会いになりました。このようなご縁で、落成式に副園長と出席させて頂きました。
新園舎は、阿武隈山脈を背に、広大な田んぼが広がる中に建っていました。木造平屋造り、まるで京都の三十三間堂のように長く、周りには外廊下が付いています。そこを子どもたちがぐるぐる走り廻っていました。とても素敵な園舎です。ふじようちえんのエキスも活用され、どこか似ていて兄弟が出来たような感じがしました。
落成式の中で、ユニセフ大使でもある私たちの若かりし頃のアイドル、アグネスチャンさんが、子どもたちへの3つメッセージを送りました。
一つ目は、Remember …忘れない 一緒に遊んだ友だちのこと、思い出して欲しい。
二つ目は、Celebration…お祝いする 今、生きていることをお祝いして欲しいのです。
三つ目は、Fight back …負けない 何があっても立ち向かって行って下さい。
そして、最後はみんなで“ふるさと”を歌い式は終わりました。
人は、時間が経つと忘れてしまうこともありますが、決して忘れてはならないあの日のこと、伝えなくてはならないこと、ふじ幼稚園で起こったことは本当に悲しいことでしたが、犠牲になられた方々の貴い命に報いるためにも、私たちが頑張って、いつか未来に『あの時の地震があったことが、今の素晴らしい日本に繋がっているんだ』と言えるように、防災はもとより、子どもたちの育ちをしっかり支えて行こうと思った落成式でした。
平成24年度 二学期始業式 園長だより vol . 113(2012.9.3)