ふじようちえん

2012.7月19日 園長だより

2012年07月19日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 今、真夏の強い日差しが園庭の芝生に降り注いでいます。園舎西側で子どもたちが植えた、ひょうたん、へちま、朝顔等の緑のカーテンも日ごと成長しています。ただ、この強い日差しを遮るまでには未だ伸びておらず、今のところ暑さをしっかり感じてしまう緑のカーテンになっています。でも、もう少し経てば、緑で覆われた快適な日陰ができると楽しみにしています。(少し心配!!)
皆様、本格的な夏の暑さがやって参りました。熱中症や冷房病、冷たいものの取り過ぎや寝冷え等々、どうぞ、体調管理に気をつけてお過ごし下さい。
そして、いよいよご家族一緒に過ごす夏休みになりました。海へ、山へ、ご旅行へと楽しい計画でいっぱいのことと思います。どうぞ、お気をつけてお楽しみ下さい。

 今日、一学期終業式を行いました。私から子どもたちにお話した内容は、
①早寝、早起き、ごはんをしっかり食べること。(規則正しい生活で体を丈夫に!!)
②挨拶をしましょう。(おはよう、こんにちは、こんばんは、ありがとう…)
③お家のお手伝いをしましょう。(子どもはお手伝いをしたがる性質があります)
そして、9月には、全員がそろっての元気な顔でまた会いましょうというお話をしました。以上の3つは、終業式での園長先生との3つの約束としました。家で子どもが言うことを聞かない時などに、ご活用下さい。すぐに約束を子どもが忘れてしまうことが予想されますので、早いうちに子どもと一回確認をしておくことをお勧めします。
(但し、残念ですが子どもによっては全く効かない場合もありますので、あしからず)

≪商業的キャラクターもので、育つ!?≫

先日もメールのお願い事項にて連絡させて頂きましたが、最近、いろんな商業的キャラクター(以後キャラクター)等のシールをカバンの裏面や名札、Fujiブック等に貼るお友だちが見受けられるようになりました。そして、シールは貼らないと言うことをお伝えさせて頂きました。「あの子が貼っているから、私も貼りたい」とか、「私も○○のキャラクターを貼りたい!!」等の子どもの気持ちを誘発することにつながったり、いくつ集めたか競うようなキャラクター集めがブームになってしまったりと、まるで幼稚園がゲームセンター的な雰囲気になることがよくないと思っているからです。あくまで幼稚園は幼児教育の場、そういう場所として相応しくないと考えます。実際、私もその昔、鉄腕アトムや鉄人28号から始まったキャラクター世代の初期に小学生でした。だから、私自身、キャラクターものは嫌いではありません。ただ、幼稚園では使わないし、そういうものはお家で楽しんで下さいと話しています。

ある時、その点を細かく伝えていなかった実習生さんが、キティちゃんが胸に付いているエプロンをつけて、『ほら、キティちゃんが泣いているよ、みんなちゃんと並んでね!!』と言いながら整列をさせているのでした。私は、それはキティちゃんが子どもを並ばせているのであって、実習生の力で整列させているのではないと感じ、『キャラクターに頼らないでね』と伝えたことがあります。
子どもが生まれて育つ過程、特に小学校入学までをバードビュー的に見てみると、①子守り…生まれてから2歳ぐらいまで ②子育て…親と一緒に近所の公園等で遊ぶ等々 ③集団活動…幼稚園での生活体験、そして就学…小学校へ、という大きく区切って3つの時間の流れがあると考えています。このステップを一つずつ上がってくことが、子どもとご家族にとっての成長だと考えています。

私は、しっかりした子守り時期は、子どもとの愛情形成にとって大事だと思っています。が、便利すぎる現代社会、親の子どもへのケアは、細部にわたり行きとどき、どうしても①の子守り時期が長びきがちなのが今の傾向です。極端にいえば、成人し、大人になってもずっと子守りが続く人もいます。そして、子守りを続けられて育ち、出来上がった大人が引きこもり!?…ということもあるかも知れません。
何はともあれ、子守り時期に受けたあったかさを胸に、親に環境を整えてもらい、いつまでも自立しなくても生きて行ける人もいる時代です。そういう人たちにとって、自分の存在を肯定してくれる存在として、また、ある達成感、ある満足感を味あわせてくれる存在として、キャラクターには存在理由があります。さらに、キャラクターものを通じて、疑似自立、代替え自立したかのような思いを抱かせてもらい、キャラクターは自分より目下の存在にもなっていると想像します。加えて、自己表現、自己主張を自分に変わって表現してくれている存在等々、様々な理由があると思います。
世界中が便利で快適な社会になり、ますます自立しなくても生きていける時代に向かっているのかも知れません。と言うことは、ますます、キャラクターものは、広がりを見せると言うことになるのでしょう。そういう未来を迎えて、キャラクターとの付き合い方、子どもとキャラクターが共に育つ方向も見つけて行きたいと思います。

ふじようちえんでは、木々の緑を大切に、周辺の自然環境と合わない、彩度が違う原色や激しい色使いをした遊具やキャラクターものが描いてある遊具はありません。私は、時々そういう遊具を見ると、『大人が子どもに媚びているような姿勢、子守りであやしている姿』を連想してしまいます。不特定多数が来る公共公園等では仕方がないかも知れませんが、出来るだけ幼稚園等の教育の場では、大人が想像する子どもが喜びそうな色使い、キャラクターを使った子どもへ媚びるような、ご機嫌取りの姿勢は、必要ないと思っています。子守りから幼児教育に変化できない教育施設を見る時の物差しと考えてもいいと思います。
私たちは、生まれた子どもが、何もできない状態から、『自分でできた』を実感する自立への方向へ向かう子どもの育ちに役立って行きたいと考えています。そんな意味で、キャラクターものは、他者への依存心を少し強め、自立を少し弱めるような要素も含んでいることを心のどこかに留めて置いて頂ければと思います。

ちなみに、ふじようちえんのコビトは、商業的キャラクターではなく、園のシンボル、学校で言えば校旗みたいなものです。子どもたちを現しています。故に、名前も付けないし、みんな勝手な呼び方をしてもらっています。(矛盾していませんよね!?)

楽しい夏休みを!!

平成24年度一学期終業式 園長だより vol . 112 (2012.07.19)