ふじようちえん

2012.7月3日 園長だより

2012年07月03日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 紫陽花がきれいに咲いています。紫陽花は、小さな花びらがたくさん集まって一つの大きな花となり、またその花がいっぱい集まって華やかさを醸し出しています。
みんな同じ形の花だろうと思いつつ、小さな花びら一つ一つをよく見てみると、それぞれに異なる色合い、大きさ、表情等々があることに気づきました。紫陽花を見つめながら、なんだか?様々な個性が集まっている幼稚園の各クラス構成と似ているような気がしてきました。紫陽花と子どもたち…思いをめぐらした雨の日の午後でした。
 梅雨時期ですが、いかがお過ごしですか?梅雨が過ぎれば、夏が来ると思いつつも、うっとうしく、蒸し暑い日々はもう少し続きそうです。どうぞ、お体ご自愛下さい。

 先日の家族参観日には、お忙しい中、大変多くのご家族様にお越し頂きまして、ありがとうございました。お陰様で、親子で作品を作ったり、ゲームをしたり、騎馬戦をしたり、そしてプレゼントもあったり…とても楽しい時間を過ごせました。
 子どもたちも、いつも過ごしているお部屋にお父さん、お母さんが居てくれるだけでうれしくなり、あふれんばかりの笑顔になっていました。わずかな時間でしたが、お子様の育っている場所、過ごしている時間を感じて頂けたら、うれしい限りです。

≪Hands on 手に…≫
 今、園長席の前には、ほのかに甘酸っぱい桃のような香りがする採れたての梅が、山盛りになっています。毎年収穫するスマイルファームの梅で、梅干しや砂糖に漬けてウメジュースを作ったりします。昔の田舎の農家の庭先さながらに、日向に干して、子どもたちに出来上がる工程を見てもらっています。一か月ぐらいで出来上がり食べてみます。すると…みんなの顔が酸っぱぁ~い表情になってきます。幼い時にしか感じえない大切な味覚、梅干しの酸っぱさを実感してみます。酸っぱさの原体験、になればと思います。なんだか、だんだん唾が出てきました。
 また、その横には、稲を植えたミニミニ田んぼ、木のたらいに浮かべた笹舟(七夕)、じゃがいも、きゅうり、なす、トマト、ズッキーニ等々の夏野菜も揃い始め、いよいよカブトムシ、クワガタも登場し、夏本番を思わせるようです。子どもたちには、図鑑を見て調べるのもよいけれど、出来るだけ触って、感じて欲しいと考えています。この発想は、約20年前に行ったアメリカ(シアトル、ロスアンジェルス、サンフランシスコ)のチルドレンズミュージアムを数か所訪問した時に、その基本理念である“Hands on”(手にとってみる、触れてみる)という考え方に共感し、ふじようちえん風にアレンジして現在に至っています。
 さらに、正門にあるヤマモモの木には例年のように、赤い実が実り始めました。この赤い実、とても甘くて酸味もあって、おいしいのです。聞くと、ヤマモモの実は、結婚式のデザートやケーキ等に使う高級食材とのことです。関東では、あまり見ないし食べませんが、関西方面では、一般的な果実とのことです。実は、この実も、もう少し赤黒く熟れてきたら、手にとって食べてよいことになっています。
大人のHands on…いかがでしょうか? 皆さん、どうぞ召し上がって下さい。
≪家族のルール≫
 約7、8年前、テレビ番組でいい話を聞き、皆様にお伝えしたことがあります。再度になりますが、子どもと長時間過ごす夏休みもすぐそこ、ご参考までにお話します。
 若い日に「一世風靡セピア」のメンバーとして、路上パフォーマンスで有名になった哀川翔さんのお話です。最近では、その“良き親父ぶり”にスポットライトが当たって、テレビでご家族について話している姿をよく見かけるようになりました。彼は、再婚だそうで、奥さんの連れ子3人と夫婦間にできた子ども2人、合計5人のお父さんです。先日もテレビで家族について話されていました。聞いて感心しました。
 それは、家族の中で一定のルールがあり、それを守っているとのことです。
年齢も性別も異なる家族が共同で暮らしていくには、合宿のようなルールが必要だと言うのです。その内容は、「床に落ちているゴミを拾わずにまたいだら半殺し」「トイレットペーパーが切れているのに補充しないままにしていたら半殺し」といったもので、この“半殺し”という表現はいささか過激ですが、哀川翔さんらしいし、言っていることはもっともなことばかりなのです。
 家族の間なら甘えで許されることも、他人との共同生活の場では通らないと言うことが多くあります。家で、自分の目の前にゴミが落ちているのを拾わずに知らん顔していてもお母さんが掃除してくれるかも知れません。しかし、合宿所で皆がこれをやってしまうと施設はゴミだらけになってしまいます。トイレットペーパーが切れているのに放置したら、必ず次の人が困るわけですから、最後に使った人が補充するのは当然のマナーです。
 人が集団で生活していくためには、みんなが守らなければならないエチケットやマナーがあります。哀川翔さんは、父親として子どもたちにこれを徹底的に仕込んでいるわけです。番組の後半、当時19歳の長男から父宛の手紙が紹介されました。「私は、お父さんが世界で一番怖い父親だと思います。でも、お父さんの言っていることは全て正しいので、叱られても仕方ないと思っています。(中略)最後に、私はそういうお父さんをこの世で一番尊敬しています。」19歳という年齢からして奥さんの連れ子なのでしょうが、世間では血がつながってないからと甘やかす継父母が多い中、分け隔てせず父親のつとめを全うしているのがすごいと思いました。「誰かがやってくれるから、自分はやらなくても大丈夫」という姿勢ではなく、「これは自分が責任を持ってやらなくてはならない」と言う自覚をすることこそが、生きていく上では大事だと伝えているのです。しかし、こうした躾が実践できている家庭は少なく、子どもの教育を奥さんに任せっきりの仕事人間の父親、子どもの散らかした後を黙ってかたづけてやる母親、やりたい放題の子どもが日本には多いような気がします。
 さて、体当たりで子どもの躾に取り組む哀川翔さんのようになれるでしょうか?

 幼稚園も共同生活の場、挨拶、片付け、人の嫌がることをしない…小さなこと一つ一つのお約束をみんなができるようにして心と体を育んでいきます。
 それにしても、「ゴミを拾わずにまたいだら“半殺し”」ちょっと怖いけど、すごくわかりやすいルールですね。皆さんのご家庭にも何か?ルールありますか?

園長だより vol 111 (2012.7.03)
・・・106号が号数重複の為、今回が111号になります。