令和元年度2学期終業式 園長だより vol . 214 (2019.12.23)
2019年12月23日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
例年より暖かさを感じる師走、早いもので今年もあと数日になって参りました。ついこの前に“今年もよろしく”と書いたような感じがして、つくづく一年の速さを感じています。皆様にとって、この一年いかがでしたか?どうか、お元気で新年をお迎え下さい。
今、幼稚園では真冬のスッキリした青空のもと、子どもたちが屋根の上を走り回っています。秋に種を蒔いた園庭の芝生は、季節外れの陽気に誘われて緑になってきました。おそらく、寒さに強い子どもたちの元気をもらっているんだと思います。
先日は、クリスマス★チャレンジフェスタ‼にたくさんの皆様にお越し頂きまして、ありがとうございました。お子様たちの作品や歌に、成長した姿を感じて頂けたものと思います。何より、ステージからお父さん、お母さんを見つけた時の笑顔や歌い終わって拍手を受けた時の満足げな顔、ご家族に自分の作品を見てもらった時のうれしいお顔・・・改めて、ご家族の励ましが子どもの育ちを力強く支えていることを実感しました。また、サンタクロースファミリーもやって来て頂き、子どもたちのX’masへの夢をさらに広げることが出来ました。サンタさんたちに感謝ですね‼
子どもたちには言えませんが、30数年前私がサンタクロースに扮してプレゼントを各クラスに配った時のこと。サンタさんと一緒に記念撮影の場面で、あるお友だちの横に並んだ時『サンタさん、本当にいるんだ!?』の一言、そのお友だちのつぶやいた声と驚いていた表情は、今でも忘れられません。この言葉を聞いてから、私は、子どもたちのサンタさんへの夢を大切にしています。そして、子どもたちが書いたサンタさんへのお手紙をご参考にして頂ければうれしいです。Merry X’mas!!
本日、終業式を行い、2学期を無事終了することが出来ました。これもひとえに、ご父母、ご家族様方のご理解、ご協力のお陰と心より感謝申し上げます。
終業式では、♪もういくつ寝ると、お正月、お正月には凧あげて・・・の“おしょうがつ”をみんなで元気に歌い、私から、ごあいさつ・お手伝い・交通安全のことを話し、3学期また元気に会うことを約束しました。お正月楽しんで下さいね‼
≪公開モンテッソーリ研修会を終えて≫
先日、公開モンテッソーリ研修会を多くの方々のご参加のもとに開催致しました。
当日は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所 教師養成センター長並びに松浦学園園長でもある松浦公紀先生にお越し頂き、公開講座では講演、分科会形式の提示と理論講座をとても分りやすくお話頂きました。2日目は職員研修として自由と規律、感覚教育、ワークショップと盛りだくさんの内容でした。私もお話させて頂きましたが、打ち合わせもしないのに松浦先生と重複する部分が多くて驚きました。特に、これからの社会の変化と教育、日本への危機感です。
日本の従来の教育の一般的傾向として、「個」よりも「集団」に重きが置かれ、教師主導型であり、一斉画一的なスタイルで今まで来ました。みんなが一つの方向に同じ価値観で生きていた昭和、平成では右肩上がり、終身雇用、学歴社会、偏差値主義等々が崩れて、多様性・ダイバーシティの時代になりました。さらにこれからのIT社会、AI(人工頭脳、ロボット工学等々)、バイオテクノロジー、ICT教育、アクティブラーニングの時代を迎えている令和時代は、従来の記憶力中心の知識の詰め込みや知識は先生が教える、伝授するというスタイルから、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、決断力を育成し、こどもが主体となって学ぶスタイルへと変化が求められています。つまり、ハードスキルの認知能力(知識、偏差値主義偏重)から、ソフトスキル(創造力、問題解決能力の重視)へと変化して行きます。例として算数の問題で『今まで、算数を学んできた中で、実生活において算数の考え方が活かされて感動したり、おもしろいと感じた出来事について簡潔に説明しなさい』(駒場東邦中学校2017年度算数入試試験問題)というものがあります。1つも数字や図、公式等々がないけど、これがこれからの算数の問題なのです。
いずれにしても、子どもたちは私たちが想像もできないような社会を生きていきます。だから、私たちが知っている知識だけを伝授することだけでは不十分です。創造性や問題解決能力は、教えることでは育たないのです。アクティブラーニングに代表されるように、子どもの育つ時間の中で随所に子どもが考える場を埋め込むことが大事だと思います。ふじようちえんに落とし込んで考えてみると、園舎でも表現しているように“不便による利益、不便益”が大切なのです。
また、子どもへの接し方として子どもの内面に「私は有能で、役に立つ人間だ‼」という信念を与えること、つまり、自分で出来た‼見つけた‼役立った‼ということが大事で、大人が教えてできたことには感動がないのです。だから、教えないこと、これも園で言っているHelp me do it myself(自分が一人で出来るように手伝って‼)ということなのです。ある教育学者は、『子どもが自分で出来ることには、決して手を出すな‼』とも言っています。
盛りだくさん過ぎる講演内容で、とてもここではお伝えきれませんが、頂いたアンケートを見させて頂くと、『モンテッソーリ教育が分かり易く、親しみが持てた』『教育の歴史が分かり時代に合った教育の必要性を感じた』『私が受けてきた教育とこれからの教育は大きな違いがあることを理解した。でも、すべての根底には、親と子の信頼関係があるということ、これこそが人として生きていく上で一番大切なものであると改めて気づかされた』等々、参加者がそれぞれに考えを深めることが出来た研修になりました。ぜひ、一人でも多くの方にお聞き頂きたい内容ですので、また、来年度開催します。どうぞよろしくお願い致します。
≪漂流郵便局≫
先日、ご縁あって、香川県三豊市の粟島にある漂流郵便局に行ってきました。実はこの郵便局は2013年の瀬戸内国際芸術祭での作品です。廃止になった粟島郵便局を使って、漂流郵便を展示しています。漂流郵便とは、宛先のない葉書、いつかのどこかのだれか宛の葉書です。到着した葉書は局長が見て、必ず消印を押して漂流郵便局留めにされます。返事を永遠に期待しない葉書なのです。「昔、大好きだった人への思いをつづった70歳のおばあちゃんの葉書や亡くなった息子への思いをこめた葉書、亡き母へ…」様々な思いが葉書にこもっています。私も一枚読んだら胸が熱くなりました。このように漂流郵便局は、会えない人との魂のつながりの場となっています。届け先は分らなくても届くと信じて漂流郵便は投函されるのです。そして、漂流郵便は、他人の魂をも揺さぶり、揺さぶられた人は自分も書きたくなるのですね。局長は、94歳の中田勝久さんで元粟島郵便局長を45年務めた後、漂流郵便局の局長をしています。今まで約35000通以上、届いたそうです。
年末の慌ただしい中ですが、この一年に思いを馳せて、漂流郵便局へ葉書を出してみてはいかがでしょうか?もちろん、行かれることもおススメです‼
〒769-1108 香川県三豊市詫間町粟島1317-2 漂流郵便局留め
皆様、本年も大変お世話になり、ありがとうございました。新年が、皆様にとって良いことがいっぱいありますようにお祈りしています。どうぞ、良いお年を!!
令和元年度 2学期終業式 園長だより vol . 214 (2019.12.23)