園長だより vol . 231 (2021.2.26)
2021年02月26日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
早咲きの河津桜が、武蔵砂川駅近く、玉川上水にかかる新家橋横に咲いています。寒い冬を耐え、明るい春の陽ざしに輝いているその花を観ると、不要不急の外出を避け、自粛している私どもに『必ず、夜明けは来る‼』『明けない夜はない‼』と励ましのメッセージをもらっているようで、何だか元気が湧いてきました。ちなみに、通勤時やウォーキングの人たちには、おなじみですが、この早咲き桜、立ち止まってカメラに写されている方が多いのも特徴、地域のささやかな名所になっています。
温かくなったり、寒くなったりの日々が続きますが、皆様、いかがお過ごしですか?
春の訪れはいいのですが、春風とともに花粉の季節にもなっています。何かとマスクに負うところが多くなっていますね。みんなでしっかりと対応していきましょう。
先日の劇発表会、お忙しい中お越し頂き、ありがとうございました。子どもたちもご家族様に劇を観て頂くことが楽しみだったり、ちょっぴり恥ずかしかったり…でしたが、それぞれが今に応じた表現でその子なりの役を演じてくれました。まず、劇のお話を理解し、それぞれに取り組んで、演じ、感じた達成感を大切にしてあげたいものです。そして、そのことを土台にしてさらに育ちのステージを登って行ってもらいたいです。どのクラスも、劇発表会に演じた劇が一番の出来でした。やっぱり、ご家族が見ていることで、練習とは違う力が湧くんだ‼と感心しました。
私は、劇を演じることを経験し、楽しんでから、さらに大きくとらえれば“表現すること”がとても大事な時代になってきているものと思っています。AIやICTでとても便利な時代、すべてがスマホで出来てしまう時代、ともすれば一生、人と会話を交わさなくても、電車は乗れるし、お買い物はできるし…生きていける時代なのかも知れません。人が生きていくことがそれでいいのでしょうか?SNS社会、私は、映画や舞台でスターが演じることだけが表現ではなく、私たちの生活の中、様々な活動で自分の意思を伝えること、自分の言葉で話し、表現することがより必要であり、人としての価値を生む時代になってきていると感じています。そんな点から、これからは子どものころから“表現すること”をたくさん経験して、人と人とのコミュニケーションをとることの楽しさを感じてもらうことが必要であり、これからの人として大切な資質の一部になって行くんじゃないかと思っています。
何も、劇発表会のような舞台がなくてもいいんです。日常の中で自分を、また楽しさとか、悲しさとか、何かを“表現すること”ができる場面(例えば野外ステージ的なもの等)をこれからもっと増やしていきたいと考えています。
ちなみに、3匹の子ぶたの藁の家は、今、ビニールハウスとなって、中と外で子どもたちがふざけ合って遊んでいます。何げないこの風景の中で子どもたちは育っているのですね。
また、当日、観客席からお子様の演技をご覧になって、前回、お伝えさせて頂いた“演じるのは子ども、客席から観て、応援してあげることしかできないのが親”…を実感されましたか?まさに、人生における親と子の立ち位置そのものです。わかっちゃいるけど、ちゃんと台詞言えるか?ハラハラドキドキ、親になるのも修行ですよね。
≪子どもを育てる上で大切な十か条≫
先日、テニスの全豪オープンで大坂なおみ選手が優勝‼このご時世、この明るいニュースに、日本中、たくさんの笑顔が生まれたことでしょう。本当に良かったです‼私も心から嬉しくなりました。しかも、すごく強い‼素晴らしい戦いでした。そして、ふと、ある場面で、大坂選手のラケットバックに『お守り』がついている映像が映りました。それを見た瞬間、スーパースターも同じ人間なんだ‼と感じ、親近感が湧いて、これからも、もっともっと応援しようと思いました。意外かもしれませんが、私は約30年前、立川のあるテニスクラブで大会の会長(名ばかりですが)なんかもやったりしていて、松岡修造さんやプロの方々とも時々お会いしていました。また、園庭でキッズテニスと称して、アマチュアの選手の方々にご指導も頂きました。なんと、その中から高校のインターハイに出場した子もいて、スポンジボールと短いラケットでの出会いが、大きく成長した経験もあります。
テニスつながりで恐縮ですが、元プロテニスプレーヤー杉山愛さんのお母さまが、自分自身の子育て経験とアスリート育ての経験をもとに、子どもを育てる上で大切にしたいことを『子どもの可能性を伸ばす十か条』として話しています。ご紹介します。
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子どもを育てる上で大切な十か条 杉山芙沙子(一般社団法人次世代SMILE協会代表理事)
1.お互いを尊重し合うこと
2.求められていることの大切さ
3.「気づくこと」の大切さ
4.「目標をもって続けること」の大切さ
5.「正しい答え」は、一つではないことの大切さ
6.「絶対評価」であることの大切さ
7.何でも「楽しく」してしまうことの大切さ
8.「励ます」ことの大切さ
9.「ほめる」ことの大切さ
10.「待つ、そして学び続ける」ことの大切さ
以上ですが、一番のベースは、子どもは社会からの預かりものであり、社会に役立つ一人の人間として成長するまで親が子どもに寄り添いながら、一緒に育つことがミッションだと思っています。特に大事にしているのは、≪感謝すること≫と≪楽しむこと≫です。何かあればそこに戻ればいいと考えていますので、あまり迷うことはありませんでした。感謝については、ただ心の中で思っているだけではなく、相手に伝えることも大切にしています。楽しむことについて大事にしていることは、楽しいことだけやるのではなく、「やることを楽しむ」ことをとても大切にしています。例え、辛いことや嫌なことがあっても、どうしたらそれを楽しむことが出来るかを考えることを大事にしています。例えば、たくさんの家事の中で、私は料理を作ることも最後の片付けも楽しむことができます。しかし、どうも外の庭掃除があまり好きではないのですが、これを楽しむために音楽をかけたり、落ち葉を集めて焼き芋を作ることなどを想像したり、鼻歌を歌いながらやっていました。すると、愛や妹の舞が「私たちもやる‼」と言って手伝いに来てやってくれます。現実にはそんなに楽しくないと思うのですが、子どもたちも結構楽しんでいる‼ということは常にありました。今では、家族全員に身に付いている特技になっています。
こうした日常生活の中で起こる様々な経験・体験を通じて十か条を子育てのツールとして一つでも活用しながら、ありのままの自分でいられることが自分を楽にし、楽しい子育ての極意につながり、さらにこの優しい気持ちと余裕が子どもたちの可能性に気づき、引き出し、伸ばしていくことに繋がるのではないかと思います。
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春三月、巣立ちと出会いで育つ季節、ご参考になれば嬉しいです。
園長だより vol . 231 (2021.2.26)