園長だより vol . 249 (2022.6.1)
2022年06月01日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
幼稚園西側園庭の紫陽花も咲き始め、梅雨を迎える季節になってきました。木々の緑が一層深まってきた園庭では、子どもたちがてんとう虫やコメツキムシ等々、いろいろな虫を見つけては、捕まえるのに夢中になっています。夏ミカンの木で見つけたいも虫をケースで飼って、その成長を観察しているクラスもあります。やがて蝶になって、飛び立つところを見て、成長過程を目にすることでしょう。そして、先日、夏の主役の一つであるクワガタ虫を園内で見つけました‼まだまだ、これから、どこにいるでしょうか?みんなで見つけましょうね‼
また、子どもたちが植えた、ひまわりや朝顔が順調に育っています。もうすぐ、じゃがいもの収穫や水田での田植え、梅の収穫で梅ジュースづくりもします。こんな季節を感じる土や自然、作物や虫などとの関わり合いを通じて、『見て、触れて、感じて、考えて、行動してもらいたい』このサイクルを自ら築いていってほしい、いっぱいの原体験をしながら、それぞれが夏に向けて育って行ってほしいと願っています。まさに、自然が先生ですね。
≪空中栽培で伝えたいこと‼≫
毎年、この時期になるとスマイルファーム等々で、野菜の苗を植えて、その成長を観察したり、やがて収穫して、給食で食べたりして、実感、実体験を持って食を感じています。
今、キッズテラスの軒に野菜の苗を逆さに吊るして、空中栽培をしています。一般的にこうすると雨水がかからず、水分量が少なくなり、野菜が甘くなる(?!)と言われています。私がSNSで画像を発信したところ、『吊るしているのはなぜですか?』というご質問を受けました。確かに、普通、野菜苗は畑に植えたり、プランターに植えるのが常識だと思います。実は、空中栽培を初めて見た約10年前、『これだ、これだ‼』と思わず叫んでいました。その意味はと言うと、その空中栽培が“既成概念に囚われない”ことを主張しているように感じたからです。日常、既成概念で、がんじがらめになっている自分への戒めとしての空中栽培でもあるのです。効果の程は⁉と、問われると…甘くておいしいミニトマトやきゅうりですと答えるのみですが…。
≪雨を楽しむ子どもの姿に学ぶ≫
先日の朝、突然の豪雨‼ちょうど登園時間だったので、びっしょり濡れるお友だちもいました。園庭にあるガーゴイル(雨水受け槽)には、屋根から雨水が滝のように落ちていました。丸い受水槽は一時的な大量の雨を飲み込めず、溢れていました。が、そこも子どもたちの興味を示したところ、みんなでずっと見つめたり、手を出して触れたり、興味津々で遊んでいました。また、中には、豪雨の中、普段と変わらない道でクラスに行こうとして、園庭の真ん中を歩いたり、濡れちゃうのにわざわざ水たまりに長靴で入っては、楽しんでいるお友だちもいました。皆さんも、このように子どもの時に雨とあそんだ思い出があると思います。でも、人はその成長と共に、雨が降らなければいいのにと言うように、雨はあまりよくないことになりがちです。
雨と遊び、雨を楽しむ子どもたちの姿に、雨を嫌なことと思わず、ありのままに受け入れている子どもたち心を感じました。現代では忘れられている私たち人間が本来持っている自然との付き合い方、自然をありのままに受け入れる楽しさを教えられた気がしました。勉強になった雨の日の出来事でした。ソロキャンプが流行っているのも…同じ源流ですかね。でも、濡れると嫌ですけどね⁉
≪日時計と針時計、時間の話≫
『時間を守って行動しよう』と、ある小学校の目標にありました。授業時間と休み時間からなる小学校の1日、成長と共に大人の時間として大切な役割があると思っています。
幼稚園では、いきなり時間を守るというお約束よりも、1日の生活リズムを整えることを大切にしています。幼稚園での時間の流れは、その行動を通して、体でわかってもらえるような時間になっていて、大きな時間の流れの中で過ごすという感じです。
そして、そういう中でも、時間の流れと時刻の理解を伝えていたのが、園庭に立っている旗を揚げるための木の柱です。実は、あの柱、日時計の役目も持っているんです。約15年前の改築当時、土の地面に印があって、柱の影がこの印に重なると朝の会とか、お昼ご飯とか、太陽の動きと時刻の関係が、柱の陰でわかるようになっていました。そして、お部屋の中には、針の時計があります。針の時計は、時刻を読むということ、つまり、できるということにつながるもので、それよりも、どうやって時間が出来ているのか?時間の道理をわかってほしいと思い、あえて、木の柱と針の時計を対比させて置いて“わかる”と“できる”のちがいを伝えていました。
確かにできることはとてもいいことだと思いますが、単に学校の成績を上げることにつながるだけになってしまう知識では勿体ないですし、それこそ、生きる力にはならないと思いました。
得てして大人は、子どもが針時計で時刻を読めるようになると、時間をわかっているように思い、時間認識が同じであるという立場で指示したり、守ることを要求しますが、そこには若干の時間認識の違いがあるようです。
大人にとっては、少々手間ですが、時間の道理を伝え、時計が読め、時間を守ることができるようになるには、しっかりした時間概念づくりが大切だと思います。多分、砂時計も時間の概念を伝えるのには、いいかもしれませんね。お試しを!!
園長だより vol . 249 (2022.6.1)