2022年度 2学期始業式 園長だより vol . 252 (2022.9.1)
2022年09月01日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
夏休みが終わり、9月になりました。皆様、お元気ですか?
今年の夏は、コロナ禍とは言え、3年ぶりに行動制限がない夏となり、感染拡大に注意しながらも、いろんなところにお出かけになったり、体験したり、ご家族でたくさんの思い出が出来たことと思います。子どもたちの心に焼き付いた様々な思い出は、おそらく、一生の思い出になり、いくつになってもこの話が出る度に、笑いと共にご家族の絆が強くなって行くものと想像します。ご家族共通の思い出には、凄い力が潜んでいて、心の栄養源になりますね。
2学期になり、子どもたちは、それぞれの夏の思い出を発表する場面があるかと思いますが、ただ単に、どこ、どこに行ったと言うより、どんなことやモノが面白かったとか、何に興味をもったか?これからどうしたいのか?なんてことも聞いてみると、子どもたちの考えていること、心の中が少しはわかる?こともあったりして・・・とても面白く、子どもの成長を感じる時間でもあります。
今、年長さんがサマーナイトフェスティバル2022で制作し、ポールに掲揚した各クラス旗が風を受けてはためいています。このクラス旗は、雨天日以外、毎日掲揚しています。自分たちのクラスをそれぞれに表現したデザイン、みんなで制作した旗を見て、自分たちがつくったものだと自覚と自信を持っていてほしいと考えています。
クラス旗は、卒園式前日の卒園児を送る会で年少さんと共に降納式を行い、毎年、保管しています。子どもたちの時間の記録、大切にしています。
ちなみに、クラス旗の一番上にあるのが、幼稚園の旗。これは、約30年前、当時は、卒園に際して藤の会主催の謝恩会が催されていて、その時にお母さま方が踊っていただいたエイサー踊りの時に使った手づくりの旗です。一見、大漁旗のようなデザインですが、子どもが育つところ、ふじようちえんにとっては、似合っているし、勢いがあっていいと思っています。その旗をいただき、それ以来、それを原型に、毎年、毎年、新人先生方が、初めて行う共同作業として、同じものを作り続け、掲げ続け、今に至っています。毎日揚げているクラス旗、園旗ですが、いろんな思いが詰まっていることも知っていただき、ポールを見上げて、ご覧いただけたらと思います。
本日、2学期始業式を行いました。みんなの元気な顔と声に、幼稚園が息を吹き返したように感じました。今は、夏休み中、ルンルンやGSのお友だちともたくさん出会えて、その昔の懐かしい夏休みと言う状況ではなくなってきているようですが、在園児が一堂に会し、クラスごとのお返事や歌を聞いていると、ふじようちえんが動き出したような気がしました。やっぱり、幼稚園は、子どもが主役ですね。
夏休み直前の終業式で子どもたちと夏休み中のお約束をしました。それは、早寝・早起き、ごあいさつ、お手伝いをしてくださいでした。多分、みんなそれなりにやってくれた?ものと思います。引き続き、これらの行動を続けてみましょう。とにかく、やり続けると、期待をはるかに超えるものが生まれてくると信じています。
そして、本学期は、運動会やさつまいも掘り、園外保育やクリスマスフェスタに、お餅つき、たくさんの行事や楽しい時間を通して、一人一人がしっかり育って行く時間です。私どもも、力を合わせて子どもたちの育ちを支えて参ります。合わせて、引き続きのコロナ感染対応もしっかりとして参ります。陽性や濃厚接触、発熱等々のコロナ感染についての情報は、集団で過ごす幼稚園では感染拡大防止のためにとても大切です。皆様のご理解、ご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。
≪お月見どろぼう≫
皆様、お月見をされたご経験がありますか?現在では中々行われない行事ですね?
私は、幼い頃、祖父母が同居していたので、ススキを飾り、お団子やさつまいもをお月様に向けて、お供えしたという経験があります。意味も分からずに。
今年は、9月10日(土)が中秋の名月・十五夜、10月8日(土)が十三夜です。十五夜も十三夜も、もとは農作物の収穫祭の一種だったそうです。サトイモをお供えする十五夜は芋名月、豆やクリを供える十三夜は豆名月という異名もあるとのこと。西暦の導入に加え、都市化で人々と農作業との関わりが薄れ、名月をめでる風習は廃れつつありますね。たまには、お月見もいかがでしょうか?
ある絵本出版社の方とお話をしていておもしろいことを聞きました。それは、“お月見どろぼう”というお話です。
その昔、日本の年中行事として、農作物を盗む風習というのがあったそうです。
十五夜や十三夜に、この日だけは、子どもたちがお月見のお供えものを盗んで食べてもいいとする風習です。子どもたちに盗まれたほうが縁起がよいとされ、お供えものを盗んで食べた子どもは長者になるといういわれがあり、これは、お供えものがなくなることにより、願いが叶えられたり、神さまにお供えしたものを多くの人で分け合って食べたほうが神の恩恵を受けられるという考えに基づいたものでした。収穫の喜びをみんなで分かち合い、祝うという意味もあったようです。
子どもたちは、竿のような長い棒の先に釘や針金をつけてお団子を盗むのです。子どもたちは月からの使者と考えられていたといわれ、この日に限り盗むことが許されていました。お供えする側も縁側の盗みやすい位置にお供えするなど工夫していたそうです。
現在でも「お月見くださぁ~い」、「お月見泥棒でぇーす」などと声をかけて、各家を回りお菓子をもらう風習が残っているそうです。そして、現在、愛知県日進市の一部地域ではありますが、子ども会でお月見泥棒をしているとのこと。子どもたちが各家庭の家の前に置いてあるお菓子をもらいに楽しんで地域を回り、ビニール袋いっぱいにお菓子をもらって家に帰るのでした。暗黙の約束は、一軒につき一つのお菓子をいただく、お菓子をもらっていいのは小学生まで、お月見にまわる家庭はお菓子を出すこと。また、子どもたちがお菓子をもらいに来るのを楽しみにしている家も出してくれます。お菓子を泥棒中におうちの方に会ったら「お月見泥棒に来ました」と言い、もらったら「ありがとうございました」と言うのだそうです。
微笑ましい光景を想像し、地域の中でみんなに見守られて育っている子どもたちが目に浮かびました。同時に、大人や地域と関わる行事が昔から伝わっていることを羨ましくも思いました。地域のお祭りや行事、大小を問わず子どもたちに何らかの関わり合いの場をつくってあげることも大切なことだと思います。実はこの“お月見どろぼう”絵本になっています。幼稚園の図書にも加えて子どもたちに読んでもらいます。絵もきれい、お話もおもしろく、お月さまについて子どもたちも興味が湧くと思います。
でも、お月見どろぼうを読んでいて、日本版のハロウィンに思えてなりませんでした。世界の文化・風習は、人間の自然に対する畏敬の念、感謝、願い…同じですね。
2022年度 2学期始業式 園長だより vol . 252 (2022.9.1)