ふじようちえん

2009.6月 園長だより

2009年06月01日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

6月になりました。梅雨の代表花、アジサイが咲き、雨にぬれて輝きを増す季節です。アジサイは雨が似合います。この時期、私達も、雨で輝くアジサイのように、梅雨を味方につけ、『雨だからこそ輝いて過ごしています』と言いたいものですね。
皆様、お元気でお過ごしですか? 季節の変わり目、体調にお気をつけ下さい。
今朝、テレビのアナウンサーが“衣替えの6月”と言っていました。改めて自分の服装を見てみると、連休前ぐらいから半袖シャツでいることに気がつきました。以前より、気温が上がっていること、多分、地球温暖化の進行と何らかの関係があるのでしょうか?
それとも・・・私が単なる、暑がりと言うことなのでしょうかね?

ご父母、ご家族様のご協力のもと、遠足も無事終了することが出来ました。お忙しい中、ご参加・ご協力頂きましてありがとうございました。お陰様で、ご家族、子どもたち、そして先生たちも楽しく過ごせ、いい思い出にすることが出来ました。『遠足は、たった一日だけど、思い出は一生の宝もの』と言うように、この遠足が、何十年経ってもそれぞれの親子共通の思い出になって頂けたら、本当に嬉しいです。必ず、昔話で出てきます。
また、何人かのお母さま達から、友だちの輪がまた広がったと言うお話を伺いました。
今後、ファミリーランチ等を通じて、同じ子育て仲間としてお付き合い続けて下さいね。
 さて、6月は、ご家族の皆様にも幼稚園にお越し頂き、子どもたちと楽しく過ごす『家族参観日』があります。子どもたちは、すでにプレゼントを頑張って作り始めています。お忙しい中とは存じますが、是非、お越し下さい。家族を実感できる時間になると思います。そして、お友だちみんなが待ちに待っている“プール遊び”もいよいよ始まります。『早寝、早起き、朝ごはん』で生活リズムを保ち、体調を整えておきましょう。

昨日、近隣の小学校の運動会を見学させて頂きました。私と昨年度年長担任だった先生方で都合が付く範囲ですが毎年見学に行かせてもらっています。久しぶりに会う卒園児の体格が大きくなっていて驚きましたが、さらに、競技や踊りをしっかり行っている姿に感動を覚えました。ついつい当時の姿とダブらせてしまい、あの子が・・・あの時からは想像できないほど立派に活躍していました。そして、当時と変わらぬご家族様に会い、とても嬉しかったです。特に、我が子が出ている競技を見つめる親のその瞳に、幼稚園時代と変わらぬご家族様の愛情を感じました。家族に見つめられて育つ子どもたちの幸せをひしひしと感じた場面でした。

<傘の役目> 
雨の季節はついついお部屋の中での活動が多くなり、閉じこもりがちです。でも、子どもたちの活動、動きを細かく因数分解して見ていくとしっかりと育っているものを感じれる時があります。
例えば、雨傘は雨に濡れないようにすることが目的ですが、濡れないようにする以前に子どもたちにとってまず傘を開く事が大変なのです。そして、次に、傘をさすことで手の使い方や手やひじの各部所の動かし方、力の入れ方、制御する力等々を自然に学んでいきます。濡れないように体と傘のバランスを保ってみようと工夫したり、人がいる所や狭いところでは傘の幅が邪魔になって歩きずらかったり、周りの人にぶつかって嫌な気持ちにさせてしまったりということ・・・等々を自ら経験しくいくのものです。
そうです、親が細かく指示して言って聞かせて、覚えさせていくものではなく、自らの経験で段々と覚えていくものと思っています。たった傘一つでも、さしたり、振ったりして他人との“間合い”を習得していく最高の教具になるのです。そして、傘をさすことが他人への心配り、思いやりという心の発達までつながり、やがて自分と他人の関係を基本にする社会性の育ちに役立っていくものと思っています。普段は邪魔な存在のようですが、この梅雨の季節に改めて傘に感謝しなくてはいけないようですね。

<水たまり>
 傘の次は、水たまりです。とは言うものの、昨今、水たまりに出会う機会も少なくなりました。幼稚園の中庭は、芝でおおわれて緑ですが、外側の遊び場は土のままの状態になっています。だから、雨が降ると必ず水たまりが出来る場所があります。
子どもたちを見ていると、水が好きなのか?何にも用は無いのにその水たまりに近づいてきて最初はじっと見ていたかと思うと、運動靴や長靴でその水たまりの水際から少しづつ、少しづつ入っていくのです。やがて、どこまで入れるの?どこまで深いのか?確かめているのでしょうか?だれが、一番深いところまでいけるのか?競争でもしているのでしょうか?靴の高さギリギリまで、水たまりに入り満足そうな顔をしています。やがて、期待通り? 靴に水が入り、靴下までビショビショにぬらしてしまうのです。
洗濯するお母さま方には申し訳ないのですが、この遊びの中にも、育つものがあります。細かいようで恐縮ですが、どれだけ深いのか?を知りたいというところに、子どもたちなりの冒険心、チャレンジ精神の芽生えと行動力を感じます。また、最初に水たまりに入る時の決断力、少しづつ入ることに行動の慎重さ、水たまりの向こう岸まで行った時の目標とする達成感・・・等々、心の成長を得る多くの要素を水たまりが含んでいるのです。

長靴を履き、レインコートを着て、さらに傘をさしている子どもたちを見ることがあります。そんなに雨がいけない存在なのでしょうか?
雨にぬれると風邪ひかないようにと思うのが親心、私もよくわかります。そのためにあまりにも雨を憎き敵のように位置付け、戦う姿勢での完全防備をするよりも、水たまりと遊ぶ子どもたちのように、雨を子どもの育ちの味方にし、そこから育つことを考えてみても良いのではないでしょうか?
車に乗り、地下鉄に乗り、駐車場もショッピングモールも社会全体が雨にぬれない環境になりつつあります。私も好きな便利な社会ではありますが、そんな時代に育つお友だちだからこそ、大人になって小説を読んでいる時、『ザァーザァー降り』や『しとしとした雨が降っている』等の状況や空気が肌でわかる大人でいてほしいと思っています。
言い方は変ですが、いろいろなことが育つこの時期だからこそ、雨としっかり付き合っておいて欲しい、雨に濡れる時は濡れて欲しいのです。
こんなこと言って、お子さんが風邪ひいて、怒られそうですね。失礼しました。

園長だより vol , 69 (2009.6.01)