ふじようちえん

園長だより vol . 207 (2019.5.31)

2019年05月31日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

清々しい初夏を迎え、木々の緑も日増しに深くなってきました。もうすぐ、梅雨入りになりますが、うっとうしさばかりではなく、雨に映える紫陽花が一段と美しくなる季節でもあります。子どもたちにとっては、雨も遊び道具にして、育つ力を発揮する時期、みんなで季節を肌で感じて楽しみたいと思います。
多少ぬれても、子どもは防水性、すぐ乾いちゃいますから、大丈夫です。
皆様、いかがお過ごしですか? 突然の真夏日に体がついて行かず、体調管理が難しい今日この頃、お体ご自愛下さいませ。

今、ふじようちえんでは、6/15,16の家族参観日にむけて、“家族の絵”と題して、みんなで絵を描いています。クラスごとに掲示しますので、ご父母様はもとより、おじいちゃん、おばあちゃん、ご家族様みんなでお越し頂き、ご覧頂ければと思います。また、各クラスでの親子制作やゲームを通じて、楽しい時間を過ごす中、お子様の成長も感じて頂ければ嬉しいです。子どもたちも、ご家族が、自分たちの幼稚園のお部屋に来てくれること、席に座ってくれることを心から楽しみにしています。
“ご家族の笑顔集まる参観日”にしたいですね。どうぞよろしくお願い申し上げます。

≪虫さがし、幼虫さがし‼≫
 今、子どもたちは、園舎外側園庭のフェンスのそば、日陰になっているところの土を掘り返して、夢中でだんご虫やカブトムシの幼虫を捜しています。子どもたちは、何故か?虫が好きという子が多いですね。(自分もそうだった‼と言う方も多いのでは?)虫には迷惑な話ですが、自分で見つけて、自分で捕まえ、自分でケースに入れる…この一連の行動が楽しくて仕方ないのですね。それを証拠に、どのお友だちの顔にも、虫を捕まえた時の顔には、自分で出来た‼と言う達成感、満足感を読み取ることが出来るのです。そして、先生やお友だちに捕まえた虫を見せては、各お部屋で飼育します。何度も何度も虫を見ては、細かいところまで観察を深めているお友だちもいますね。
虫さがしのように、自然とのふれあいを通じて、自然の不思議さや感動する心、生命尊重の思いが育って行くことを望んでいます。単なる虫さがしですが、この体験は、幼児期以降の生活の基礎としても大事なのです。まさしく、遊びが学びですね。

≪玉ねぎを吊るして育つ⁉≫
 毎年のことですが、今、キッズテラスの軒下に玉ねぎを吊るしています。なぜ?玉ねぎやトウモロコシ、冬には大根等々が吊るしてあるのか?をお伝えさせて頂きます。
 もともと、ふじようちえんがある所は、その昔は畑が広がる農村地域でした。昭和30~40年代の高度経済成長によって、ベットタウン化が進み、住宅は郊外へ郊外へと拡がり、合わせて地方から都市へと人口が流入して、畑だった所が住宅へと急激に生まれ変わりました。そういう時間の流れがあった所だからこそ、昔の風景や生活を子どもたちにも伝えたいし、出来れば忘れないでほしいと思っていました。
そこで、以前の旧園舎の時からですが、子どもたちにこの地域の文化、風習とまではいかなくても空気を伝えたいと考え、その表現方法として、玉ねぎ、大根等々を軒に吊るすようになりました。さらに、広く世間の皆様に見て頂き、なんとなくちょっと昔の生活に思いを馳せて頂けたら嬉しいなと思っています。
ある時、散歩している高齢のご夫妻が、テラスの横で立ち止まって、『昔は、こんな風景だったねぇ~、懐かしいねぇ~』と話していました。風景を通じて、昔の生活を子どもたちに伝えることも大事だと思いました。
 また、よくよく考えると、私たちの生活は、ひもの、梅干し、干ししいたけ、干しいも、切り干し大根…干すことと深い関係がある食生活文化を持っています。ちなみに、野菜や果実を干すとミネラルの量が増加するとか?伺いました。
収穫した野菜を干して、長期間保存して、漬物として食したりして、野菜の少ない冬に備えていたのですね。ある面、生活の知恵ですね。
 今、園長席の前には、玉ねぎの薄皮をきれいにむいている子どもたちがいます。何故か?みんな集中して、おしゃべりもしていません。薄皮がむけると玉ねぎのきれいな白い肌が現れ、とても美しいですね。モンテッソーリ教育でいう、集中現象を起こしています。干して良し、むいて良し、食べて良しの玉ねぎでした‼

≪すべり台で育つ≫
 楕円形の新園舎になって12年が経ちました。今、屋根の修理をしています。子どもたちが走り回る表面の板(アマゾンチェリーというとても堅い木材)は、頑丈なのですが、それを支えている根太(ねだ)と言われる部材に傷みが出てきましたので、この際、屋根表面の板も含めて全部新調することにしました。より子どもたちが安全に、そして、ご家族様にも安心してお子様の育ちを見守っていただけるようにとの思いで工事に踏み切りました。大雨等々で、工事に大きな遅れが無ければ7月後半に終了予定です。その後は、今まで通りに屋根の上を子どもたちがぐるぐると走り回れるようになります。どうぞ皆様のご理解ご協力の程、よろしくお願い致します。
さて、屋根の上から滑るすべり台ですが、ここは変わらず遊べます。毎日毎日、子どもたちは楽しく滑って、喜んでいます。実は、このすべり台、よく滑るように、その角度や表面加工、安全性等々をよくよく考え、設定しているすべり台なのです。滑って楽しいすべり台、実はその真ん中に育っているものがあります。それは、滑る高低の落差から受ける脳への刺激を通じて、脳が育っているということなのです。よく見かける光景ですが、公園で、お母さんが『もう、お家に帰るよ』と言っても、『もう一回、もう一回』と中々滑ることを止めないのが子どもの特徴です。これは子どもが、滑ることを通じて自ら脳へ刺激を与えている状態、言わば、子どもたちが、“自分で自分を育てている行為”だと考えられます。そんな方向から考えてみて、ご理解頂ければ、早く早くとせかせる親の気持ちも少しは穏やかになるかもしれませんね。
以前、園の調査では、子どもたちは大体40~50回滑って、何か吹っ切れたような顔をして次の遊具に移動することが記録されています。子どもの遊びには、みんな意味があります。子どもの育ちのためと思って、待つことを大切にされて下さいませ。まったく、親になるのも修行ですね。

園長だより vol . 207 (2019.5.31)