ふじようちえん

2014年10月1日 園長だより

2014年10月01日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
 秋晴れの心地よい日々が続いています。子どもたちが元気いっぱいに“おはよう!!”と言いながら登園してきました。中門で親と別れ、振り向きもせず一目散に教室に向かって行きました。親からの自立、何げない朝の光景に確かな育ちを感じます。園庭では、子どもたちがたくさんの赤とんぼを帽子で捕まえようとしています。トンボの動きが早くて捕まりません。先生が虫取り網を持って来ました。トンボの動きと一緒に一団が右に左に動いています。そして、ついに・・・捕獲!! 網に入ったのは、子どもたちでした。一同、大笑い!! のどかな秋の光景ですね。
 
皆様、いかがお過ごしですか?読書、スポーツ、食欲・・・の秋、楽しんでいますか?私の秋は・・・“食欲の秋”と思われがちですが、意外にも“読書の秋”なんです。ジャンルは問わず、様々な本との出会いが好きです。おもしろい本、興味をそそるワクワクするストーリー、手に汗握るドキドキ感、自分の思い、考えに合った本等々、一冊の本との出会いが人生を創って行くこともよくあります。様々なことを知り、興味を深め、日常を充実させると、さらに本を読むようになると思います。また、親が本を読む姿を子どもに見せることこそ、読書好きの子どもに育てる第一歩かも知れません。

今、幼稚園では運動会の練習にみんなで取り組んでいます。かけっこ、踊り、体操に行進・・・開会式に閉会式もやっています。そんな中、競技以上に大切だと思っているのが、みんなで曲に合わせて列になり行進したり、かけっこの順番やお約束を覚えたり、式では、ふらふらしないでしっかり人の話を聞くことができると言うことです。
運動会では、力を合わせたり、競い合ったり、仲良くすることを目標にしていますが、同時にたくさんのことを育てていることも忘れてはいけません。集団の中での一人一人の協調性や社会性、決まりを守ろうとする心や行動等々だと思います。だから、運動会の練習こそ集団でなければ出来ない成長を出来る時間だと考えられます。そんな育ちも11日の運動会でお子様の姿、動きから感じて頂ければ嬉しいです。晴れますように!!

≪秋は、七輪でサンマ≫
先日、気仙沼の友人から獲れたての超新鮮なサンマを頂きました。さすがに本場のサンマです。私が今までに見たサンマの中でも、一番身がふっくらして大きく、みずみずしく、光り輝いていました。全員に行きわたる程の匹数ではないので、せめてみんなに臭いだけでも伝えて日本の秋を感じてほしいと思い、園庭の真ん中に昔懐かしい七輪(土のコンロ)を用意し、炭火で網焼きにしてみました。焼き始めると間もなく、滴るサンマの油が炭に落ち、焼けるサンマの美味しい煙が立ち込めました。やがて、子どもたちが集まり出し『ぼく、おじいちゃん家でサンマ食べたよ!!』とか『私、サンマ大好き!!』といった声がたくさん上がりました。そのお友だちの目は食べたそうな目をしていました。今では、街の中でも出会わない風景、体験です。まさしく昭和の臭いですが、子どもたちにも分かるのか?郷愁があり、食欲をそそりお魚に興味を持ってもらいました。七輪なんかで料理すると、昔は毎日BBQやっていたかのように思われるかも知れませんが、昔のままの生活や風習を機会あるごとに伝えることは私たちに課せられた文化を伝えると言う役目だとも考えています。そして「自然とともに生きる」ことを根底においた生活、その心は大事にしたいと思っています。自然に対する尊敬の心、畏敬の念まで含んで伝えられたらと思っています。自然の恵みに『いただきます!!』

≪お月見どろぼう≫
聞いたところでは、今年は、171年ぶりに3回もお月見ができる特別な年だそうです。9月8日に中秋の名月・十五夜、10月6日が十三夜、加えて11月5日に後の十三夜です。十五夜も十三夜も、もとは農作物の収穫祭の一種だったそうです。サトイモをお供えする十五夜は芋名月、豆やクリを供える十三夜は豆名月という異名もあるとのこと。西暦の導入に加え、都市化で人々と農作業との関わりが薄れ、名月をめでる風習は廃れつつありますね。たまには、お月見もいかがでしょうか?
先日、絵本づくりの会社の方とお話をしていておもしろいことを伺いました。それは、“お月見どろぼう”というお話です。
その昔、日本の年中行事として、農作物の盗む風習というのがあったそうです。
十五夜や十三夜に、この日だけは、子どもたちがお月見のお供えものを盗んで食べてもいいとする風習です。子どもたちに盗まれたほうが縁起がよいとされ、お供えものを盗んで食べた子どもは長者になるといういわれがあり、これは、お供えものがなくなることにより、願いが叶えられたり、神さまにお供えしたものを多くの人で分け合って食べたほうが神の恩恵を受けられるという考えに基づいたものでした。収穫の喜びをみんなで分かち合い、祝うという意味もあったようです。
子どもたちは、竿のような長い棒の先に釘や針金をつけてお団子を盗むのです。子どもたちは月からの使者と考えられていたといわれ、この日に限り盗むことが許されていました。お供えする側も縁側の盗みやすい位置にお供えするなど工夫していたそうです。
 現在でも「お月見くださ~い」、「お月見泥棒でーす」などと声をかけて、各家を回りお菓子をもらう風習が残っているそうです。そして、現在、愛知県日進市の一部地域ではありますが、子ども会でお月見泥棒をしているとのこと。子どもたちが各家庭の家の前に置いてあるお菓子をもらいに楽しんで地域を回り、ビニール袋いっぱいにお菓子をもらって家に帰るのでした。暗黙の約束は、一軒につき一つのお菓子をいただく、お菓子をもらっていいのは小学生まで、お月見にまわる家庭はお菓子を出すこと。また、子どもたちがお菓子をもらいに来るのを楽しみにしている家も出してくれます。お菓子を泥棒中におうちの方に会ったら「お月見泥棒に来ました」と言い、もらったら「ありがとうございました」と言うのだそうです。
微笑ましい光景を想像し、地域の中でみんなに見守られて育っている子どもたちが目に浮かびました。同時に、大人や地域と関わる行事が昔から伝わっていることを羨ましくも思いました。地域のお祭りや行事、大小を問わず子どもたちに何らかの関わり合いの場をつくってあげることも大切なことだと思いました。実はこの“お月見どろぼう”絵本になっています。幼稚園の図書にも加えて子どもたちに読んでもらいます。絵もきれい、お話もおもしろく、お月さまについて子どもたちも興味が湧くと思います。
でも、お月見どろぼうを読んでいて、日本版のハロウィンに思えて仕方なかったのは、私だけでしょうか?世界の文化・風習は、どこかでつながっているような気がしました。

≪干して・・・育つ≫
キッズテラスも、クラス会やファミリーランチ、英語に親子教室、説明会そして屋上での踊りの練習やおやつ・・・と順調に活用して頂いていてありがとうございます。建物の軒下に日本の農村の原風景を伝えたいのと食育も兼ねて玉ねぎを吊るしています。干すと甘みが増しますしね。この風景を子どもたちに伝える手段として、絵本を活用します。干した、たまねぎのたまさぶろうが出てくる「たまねぎちゃん あららら!」という痛快なお話しです。子どもたちにより伝わるように、文化と実物と絵本・・・この組み合わせに今後ともトライして行こうと思っています。もうすぐ、稲穂や大根、干し柿、干し芋の時期です。こちらも、絵本との組み合わせで、楽しんで伝えてみます。

園長だより vol . 142 (2014.10.1)