ふじようちえん

2014年9月1日 始業式 園長だより

2014年09月01日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
 ある日の夕暮れ時、子どもたちに昔風景、原っぱ体験をしてもらおうと伸ばし続けている草が茂る園庭で耳を澄ましてみました。すると…そこここから虫の声が聞えます。季節は、ジリジリと照る夏の日射しのようなアブラセミの鳴き声から、軽やかで涼しげなリーン、リーンと鳴く鈴虫のような秋の虫の鳴き声に変わってきています。9月19日が十五夜です。たまには空を見上げてお月さまでも眺めてみましょう。秋らしく…。

≪夏の思い出≫
 ふじようちえんの夏は、お泊り保育に始まり、プール登園、ディキャンプ、サマースクールに長崎イングリッシュキャンプ、モンテッソーリ教育アジア大会や夏まつり…様々な教育活動やイベントに本当に多くの皆様のご参加を頂きまして、お陰様で全て無事終了することができました。これもひとえに皆様方のご理解ご協力のお陰と改めて感謝申しあげます。ありがとうございました。“子どもたちが育つ夏”に少しでも貢献できたのならうれしい限りです。
特に、本年、モンテッソーリアジア東京大会の会場園となった当園には国内外を問わず、約400名のお客様がお見えになりました。大会では、従来のモンテッソーリ教具を使った提示は元より、先生たちの手づくり、ふじようちえんオリジナルの園庭樹木の名称、葉、花、枝等々を学べる教具や食育を分かりやすく伝えている教具の展示、また、スマイルエッグスによる0~2歳の部屋では、すし桶に入れた布製のにぎり寿司、おにぎりの教材を活用し、他では見られない日本文化に触れられる教具も登場し、来場者の大きな驚きを呼んでいました。さらに、小学生が英語で各コーナーを案内することが高く評価され、英語でのやり取りが出来たり、畑ごはんと称してのランチでスマイルファームの夏野菜パスタも大好評でした。様々な観点からふじようちえんを非常に高くご評価頂き、多くの皆様から賞賛の握手をたくさん求められました。いっしょに記念写真を撮ってほしいとの要望に芸能人になったような錯覚さえ覚えました。折角の機会ですから、私も積極的に友だちをつくり、台湾、韓国、香港、インドネシア、ロシア、アメリカ等々の幼稚園と交流が出来る環境になりました。私たちも“学び育った夏”でした。

さて、皆様、お子様と楽しく過ごされた夏休み、いかがだったでしょうか?
ご家族一緒に、海や山、プールにキャンプ、帰省やご旅行へと何かと忙しく過ごされ、あっという間に9月という感じではないでしょうか? 時々、運転や荷物持ちで大変なお父さんから、名称は“夏休み”だけど…まったく休みになっていないんですよ…なんてうれしいぼやき?の声も聞えて来ます。でも、そうは言うものの、ご家族で一緒に過ごした多くの思い出は、かけがえのない一生の宝物ですよね。子どもたちもいつの日か親になり、子どもと夏休みを過ごす場面で『お父さんの小さい時、夏休みには家族で〇○に行って…』なんて話を必ずするのではないでしょうか?その思い出を話すことで、また同じ場所にその子どもたちを連れて行くのかもしれません。思い出がつながり、家族もつながる…時代を超えて大切な家族の思い出は、消えずに生き続けて行くものかもしれませんね。まさしく、“永遠の夏の思い出、家族の思い出”ですね。

本日、お友だちみんなが元気に登園してきてくれて始業式を行いました。夏の楽しいお話しをする日焼けしたその横顔にわずかですがたくましさを感じました。夏に育ったようですね。さて、夏休み前に、早寝早起き、ごあいさつ、お手伝いを毎日しましょうと伝えましたが、如何だったでしょうか?夏休みが終わっても良い習慣は続けましょうね。『習慣こそ第二の性格である』という言葉もあるくらいですから…。
二学期も教職員一同、みんなで力を合わせて子どもたちの育ちに役立つように全力で頑張って参ります。どうぞよろしくお願い致します。
≪ある年の運動会≫
以前よりお話しさせて頂いている様に私たちは“それで子どもが育つのか否か”を常に保育する心の真ん中において大切なモノサシとしています。運動会に臨む基本姿勢を『運動会を教える幼稚園にはなりたくない、運動会で子どもが育つ幼稚園でありたい』この思いで練習や本番に取り組み、それで子どもの何が育っているのかをしっかり掴みながら練習を積んで行こうと思っています。言わば、子どもが育つ一つの装置が運動会と考えています。出来た出来ない、早い遅い、踊れた踊れなかった…という結果も正直、親なら気になるところですが、結果だけを見るのではなく、その子なりにどれだけ頑張ったかをぜひ見てあげて、褒めてほしいと思っています。良い結果への賞賛は慢心を生み、思いが届かない結果、良くない結果は努力を生むものです。

お話ししたかも知れませんが、もう15年位前の話です。年長さんの女の子は車椅子を利用していました。その時の運動会の話です。リレーの練習で一周トラックを走り、バトンを渡し、各クラスで競争していました。実際にリレーの練習をしてみると車椅子で頑張っているのだけど…どうしても他のクラスに何周か抜かれてしまいます。その時の担任も悩んで、『走る距離を短くしましょうか?』と私に相談にきました。私は、「その子が体力的に一周走ることが困難なら距離も考えた方がいいけど、あの子は一周走れる体力も技術もあるからそのままやってみようよ。むしろ、車椅子でも、足で走るのでも私が言っている運動会の命題は、【力を合わせること】【競い合うこと】【みんな仲良くなること】です。どうかクラスのお友だちみんなで力を合わせて、リレーに勝つことを話し合って下さい」と少々厳しいかなと思いながらも伝えました。その後、クラスで話し合いがありました。みんなその子が何周も抜かされてしまうことをなんとか出来ないものかと考えました。ある男の子が『そうだ!最初にその子に走ってもらって、後で遅れた分をみんなで取り返せばいいよ!』と言ってくれたそうです。クラスのみんなもそうだ、そうだ…となり結局その子はスタートから二番目の走者になりました。みんなの気持ちを受けてその子も俄然と練習に力が入り始めました。そして当日、運動会も最後の年長のリレーを残すのみとなりました。私は会場でマイクをにぎり、今までの経緯をご存知ない殆どの方々にお話させて頂きました。人によっては、車椅子で一周させるなんてと疑問を持たれるんじゃないかと思ったからです。しかし、現実はきびしいものです。確かにすごく頑張ったけど車椅子は、何周か抜かされてしまいました。しかし、練習どおりにみんなで力を合わせて最後まで頑張りました。特に、アンカーとその前の子は、他のクラスがゴールに入ってしまったにも拘らず、1人でひたすら全力で走りました。その必死に走る姿には、会場が一体となり、感動に包み込まれました。みんな大きな拍手を送り続けました。順位は残念でしたが、みんなで力を合わせたことの素晴らしさを肌で感じることが出来ました。運動会で育った子どもたちです。何年後かに改めてそう思わせてくれることがありました。それは、その子が小学校2年生の時に、リレーの選手に自分から手を上げて立候補したと聞いたときです。小さい時の可能性に大人が枠を決めちゃいけないなぁと思いました。まぁ、そんなふうに頑張っている小学生もいるんです。障害があるなしに関らず、それぞれの今の発育段階での精一杯の力を出し切ってくれたら充分だし、いろいろな力の合わせ方があることも体験してもらえたら最高です。…Try Me !!…  

地球が何か変わって来ているのでしょうか?先日のものすごい豪雨で多くの方々の命が奪われました。睡眠中の土石流…お気の毒で言葉も見つかりません。お亡くなりになった方々に心よりお悔やみ申し上げるとともに被害にあった地域や各ご家庭が一日でも早く今までの生活を取り戻せますようにお祈り申し上げております。
幼稚園でも、もし万が一のことを想定して引き渡し訓練を行っています。お子様の安全を確保しながら、保護者の皆様に確実に引き渡すことを目的にした大事な訓練です。
9月5日(金)よろしくお願い致します。

園長だより vol .141 (2014.9.1)