2016年1月29日 園長だより
2016年01月29日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
毎年頂く、近くの立川第9小学校くわのみ学級のみなさんが作成してくれた各月を版画絵で描いたカレンダー、そこに“ねことコタツ”の版画絵が出ています。ほのぼのとした感じで温もりを感じます。先日は、幼稚園周辺でもけっこう雪が積もり、以降、気温が低い日が続いています。全国的にも沖縄、奄美大島、鹿児島にも降雪があり、今年の寒気の厳しさを物語っています。
皆様、いかがお過ごしですか?インフルエンザも流行る昨今、うがい、手洗いをしっかりやって、みんなで風邪を防ぎましょう!!
冷たい風が吹く中『子どもは、風の子、大人は火の子』と言われるように、子どもたちは元気いっぱいに園庭や屋根の上を走り回っています。そして、雪だるま、雪合戦、氷バケツ、つららを集めたり、霜柱を踏んだり・・・いろんな遊びを通して、冬の寒さを楽しみながら、自然やお天気との付き合い方を体験しています。ちょっと前まで見た、おしくらまんじゅう、日向ぼっこ・・・見なくなりましたね。
また、この時期、雪に濡れた手袋を、床から吹き出す暖気で乾かす光景も各お部屋で見られます。冬に生きる力、遊びながらいろいろなことを学んでいますね。
そう言えば、私に手袋を見せながら『園長先生、手袋をはめたら指が芋虫みたいだ!!』と言っていたお友だちもいました。こういう創造力!?が次の時代をつくるのですね。
≪鬼で育つ!!≫
今、子どもたちは2月3日の節分に向け、鬼のお面作りに取り組んでいます。子どもたちは、節分、豆まきという行事で、鬼という存在を知り、先生からお話を聞いて、それぞれに鬼を意識しながらお面をつくっています。一般的に鬼は伝説上の存在で、災いや厄をもたらすものとされ、その年の厄を追い払う意味で豆まきを行います。
子どもたちに『鬼って何?』と聞いてみると、怖いもの、強いもの、角が生えているもの・・・様々な答えが返ってきました。最近は、CMで“鬼ちゃん”とか言ってアイドル的な感じもしますが、子どもにとっての鬼は、絶対的に怖いものの象徴であってほしいのです。子ども時代に絶対的に怖いものの存在を知ることこそが、やっていいこと、悪いことの理解、見極め、その線引きに役立つと考えます。災いや厄を払う節分の意味と少しそれ、しかも平面的ですが、子どもたちに伝えたい鬼の存在は、絶対的に怖いもの、良くないことをするとやってくる鬼・・・という認識に立ち、子ども自らの行動の戒め、自戒、自重する心が育ってくれるきっかけになれば・・・と思っています。
いろいろな鬼のお面を作りました。お家でも『鬼はぁ~外、福はぁ~内!!』ですね。
≪親も育つ、劇発表会≫
以前にもお伝えしましたが、改めてお話させて頂きます。
今、劇発表会に向けて台詞を覚え、演じたり・・・先生たちと子どもたちは、力を合わせて一所懸命に練習しています。
最初、劇のお話内容を理解し、そして、自分の役になりきり、台詞を覚え、出番を待ち、立ち位置を確認し、自分の台詞を言う、台詞を言う順番に緊張したり、歌ったり、踊ったり、人前で劇を演じることをしながら、みんなで劇を楽しんでいます。
きっと、当日は、練習で頑張った以上に、達成感、満足感、そして、それぞれに自信がつくことでしょう。演じて育つ、それぞれの自立への一歩になると信じています。
ただ、この劇発表会、残念ながら親がいくら心配しても、演じるのは子どもなのです。親は、観客席から見守るだけで、何もしてあげられないのが現実です。結局、親って、育っていく我が子を見てあげることしかできない存在なのかもしれませんね。
だから、親と言う字は、木の上に立って見る・・・と書くのでしょう。でも、心配する親の気持ちをよそに、練習の成果を発揮して、しっかり演じてくれることでしょう。
ご家族で、お子様の成長、そして、劇をハラハラ、ドキドキ、暖かく見守って頂ければうれしいです。口も手も出したいけれど出せない劇発表会、まさしく、親も育つ劇発表会、親になるのも修行ですね!!
≪幼稚園、保育園で未来は創られる≫
昨年の話になりますが、漫才コンビ・ピースの又吉さんがあの大ベストセラー「火花」で芥川賞を受賞しました。なんとこの又吉さん、テレビ番組の収録でふじようちえんに来られたことがあります。園内をご案内し、お話もさせて頂きました。テレビで見るお人柄そのもの、気負わず自然体で朴とつとした話し方が記憶に残っています。
その『火花』の後半部分にこんな一文が出て来ました。ネットの書き込みや反論について尋ねる後輩への先輩の言葉です。『土台、俺達は同じ人間やろ?間違っている人間がおったら、それ面白くないでって教えたらな。人が嫌がることは、やったらあかんって保育所で習ったやん。俺な自慢じゃないけど、保育所で習ったことだけは、しっかり出来ていると思うねん。全部じゃないかもしれへんけどな。ありがとう。いただきます。ごちそうさまでした。言えるもん。俺な、小学校で習ったこと、ほとんど出来てないけど、そういう俺を馬鹿にするのは大概が保育所で習ったことも出来てないダサイ奴らやねん』又吉さんは、保育所の立場から現代社会を切っています。
この文を読んで、私は、ロバート・フルガム氏の「人生で必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」を思い浮かべました。1988年に米国で出版され、初年だけで400万部を記録しました。シアトルのボートハウスに住む氏が、人生哲学を説く内容を52編にまとめたものです。本の題名に引かれ私も購入しましたが、幼稚園に関する内容はこの1編のみで拍子抜けした思い出があります。氏が言う幼稚園で学んだ知恵とは「何でもみんなで分け合うこと」「順番をまもること」「ずるをしないこと」「人をぶたないこと」「使ったものは必ず元のところに戻すこと」「散らかしたら自分で片付けること」「人のものに手を出さないこと」「誰かを傷つけたら、ごめんなさい、ということ」など14項目です。どこの幼稚園でも毎日伝えていることです。そして、これらのことは、家庭生活、会社、国単位に置き換えてもすべて通用することで「人々が幼稚園で学んだことをきちんと実行したら、世界はどんなに良くなるだろう」とフルガムさんは、結んでいます。
又吉さん、フルガムさん共に、『幼稚園・保育園共に幸せな未来をつくる力がある』と言っているように私には聞こえて来ました。そして、その責任も感じました。
園長だより vol . 161 (2016.1.29)