2008.10.7 園長だより
2008年10月07日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
さわやかな秋晴れとなりました。夕空には、いわし雲も見られるようになりました。子どもたちは、“ヨーイ、ドン!!”の声の元、3才児は生まれてはじめてのかけっこの練習をしています。やる気満々の子、緊張している子、かけっこの意味がまだちょっとよくわらない子等々それぞれの運動会が始まっています。皆様、お変わりございませんか?
園庭のコナラの木に今年もたくさんのドングリがなりました。各クラスからは、♪ドングリコロコロドンブリコ~お池にはまってさぁ~大変、どじょうが出てきてこんにちは、ぼっちゃん一緒に遊びましょ!!・・・と元気な声が聞こえています。
ちょっと前までこの幼稚園周辺の砂川地域にも、いたる所にドングリの木があったり、近くの見影橋公園あたりの池や小川には、どじょうがいて捕まえることも出来ました。こんな風景は、当時、日本全国あたり前にある環境でした。当時この歌の内容は現実離れしていることと思いつつも、だからこそ夢が広がり楽しくなる思いがしたものでした。それが・・・今は、歌は上手く歌えるけど、ドングリに触れたことが無かったり、ましてや本物のどじょうを見たことが無い・・・なんて言う子どもも大勢いるのではないでしょうか。これも仕方が無いことですね。先生方も、いろいろな歌を歌いながらその内容、情感を伝えようと工夫をしているようですが、伝えきれないどかしさもあるようです。私も、せめて出来ることをと思い、職員室前の金たらいに10匹のどじょうを飼いました。その横にドングリを置いています。何にも言わず、歌と結びつくことに気づいてくれたらうれしいな・・・なんて思いで見守っています。
翌日、お家でお母さんに話したのでしょう、お母さんの手を引いて来てどじょうを案内しているお友だちもいました。どじょうもドングリも子どもたちの育ちの応援団ですね。
≪線を考える≫
地域の幼稚園として存在しているふじようちえんは、楕円形の特徴的な園舎にご興味を持たれ、建築関係・教育関係の方を中心にお客様が多く訪問して頂いております。それも、海外からの見学者が大勢いるので驚いています。先日もチェコソロバキュアの方々がお越しになりました。その時のお話です。
『日本に来た印象は?』との質問に、その方は『成田に着いて感じたことは、とにかく案内板やインフョメーションが多いこと。とても親切丁寧なのだけれども、ちょっとうるさい感じがしました。』とのことです。さらに、道路やバス乗り場、駅や歩道、トイレの立ち位置まで、何でも多くの“線”が引いてあることに驚いたとのことです。なるほど、駅のホームで電車を待つ時に線がいっぱいあり、どこに並んでいいのか分からない・・・なんて経験がありますよね。気がつかなかったけど社会の中には色々な線がありますね。
ルールやマナー、ある種の秩序を保つ為には線は必要だと思います。でもこんなところまで親切に・・・いらないだろうと思うこともよくあります。
子どもの頃、地面につま先で線を描いて、“だるまさんがころんだ”や“かけっこ”をしましたね。私たちは、小さい頃から自然に線に馴染んでいたのです。そして、たかが線ですが、つま先で線を引きながら『この線から出ちゃだめだからね!!』なんて言いながら、みんなでルールを決めていたんですね。たかが線ですが、線にも様々な効果、効能もあるようです。
今、緑の芝生の上で運動会のリレーの練習をしています。芝の上に線を引くのは難しいものです。そこで、サッカー等でラインの目安に使うオレンジ色のミニパイロン(高さ5cmのプラスチックで出来た円錐形)を置いて目印としてみました。この目印のミニパイロンは、線を引いたスタートラインより、線を自ら想像し、自分で足を出してはいけない目安を決めなくてはなりません。イメージづくりの役に立つ?
線を引いていなくても自ら様々な状況での線をイメージできることが、心の中での線づくりにもなり、社会のルールやきまり、マナーやエチケットを守ることに繋がる始まりになれば嬉しいです。“ルールやきまり”を教え伝えることも大事ですが、子どもたち自ら、やって良いこと、悪いことを見極める“線引き出来る心”を育てることがさらに重要です。
でも、年長さんの踊りの練習は、複雑な隊形移動などの動きがある為に線を活用しています。必要な線は、しっかり引きますよ。
≪みんなが育つ運動会≫
もうすぐ運動会、子どもたちは一所懸命に踊りやかけっこ、リレーの練習に励んでいます。きっとお家で踊りを披露していることでしょうね。
私たちは、運動会を子どもが育つ一つのステージと捉えています。特にこの運動会では、『力を合わせること』『競い合うこと』『みんなで楽しむこと』の3つを大切にしています。当日、お父さんお母さんの前でそれぞれに頑張ることは勿論ですが、それ以上に運動会に至るまでの練習の中にこそ、力を合わせ、競い合い、みんなで作り上げる運動会を楽しむことを自ら体験し成長の一助として欲しいと思っています。
また、夏まつりで踊った『もったいない音頭』と同様に、歌や踊りで言葉や行為を体に染み込ませてもらえば・・・なんて論理(?)で、年少の踊りは『のりのりわかめ』になっています。題名どおり、わかめが波にゆられている内容でとてもかわいい踊りです。そのわかめ繋がりで、ランチは、普段より多くわかめご飯を用意しています。こんなことからわかめや海藻に馴染んでもらえたらうれしいです。ふじようちえん流の食育教育でしょうかね。
ご家庭でも、わかめご飯いかがでしょうか?まわりでお子様が『のりのりわかめ』を踊ることと思います。
『運動会を教える幼稚園にはなりたくない、運動会でみんなが育つ幼稚園でいたい』と言うのが私の思いです。みんなが育つ秋です。
園長だより vol.63 2008.10.7