ふじようちえん

令和元年度 卒園式 園長だより vol . 218 (2020.3.20)

2020年03月20日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

ご卒園、おめでとうございます。ご父母、ご家族の皆様、お子様のご卒園、心よりお喜び申し上げます。みんなと一緒に過ごせた時間は、宝石のように光り輝いていました。改めて、ここにお祝いと感謝を伝えさせて頂きます。
令和元年度になり、最初の卒園式に向かおうとした矢先、世の中が大変な事態になってしまい、子どもたちの健康が一番、安全第一と判断して休園にさせて頂きました。まだまだ、たくさん遊びたかったし、一緒におべんとうも食べたかったし…先生たちも本当に残念であり、みんなと残された時間をじっくり、しっかり過ごして、本日の卒園式を迎えたかったです。でも、悔やんでも仕方ないので、前を向くことにします。
さぁ、皆さん、ここで気持ちを切り替えて、新たな世界に大きく、大きく羽ばたいて行って下さい。今日の出発、卒園を先生たちみんなでお祝いしています。そして、いつまでも、いつまでも応援しています。決して、忘れません、みんなが育った時間、みんなと一緒に過ごしたふじようちえん時間を‼

限られた時間での卒園式、少しでも贈る言葉になればと思い、お伝えさせて頂きます。

≪能力の差より、意識の差‼≫
ある人に聞いた話です。創造的な仕事をした人がIQが高かったかといえば、そうではなかったようです。事実、ニュートンもアインシュタインもあまりIQは高くなかったようですし、学校の成績と発想力は関係がないと考えたほうがいいらしいです。
 あるアメリカの企業が、仕事で非常にいいアイデアを出す社員と出さない社員の差を調査しました。その結果、ただ一つの差異しか見つからなかったというのです。
すなわち、いいアイデアを出すのは、自分が創造的だと思っていた社員であり、出せなかった人は、自分はそういう能力がないと思い込んでいた社員だったというのです。つまり、発想力はIQなどではなく、自分ができると思っているかどうか、という意識の差が非常に大きいということなのです。
あのパナソニックを築かれた松下幸之助さんも、運のいい人に共通するある法則があると言っています。それは何かといえば、『運のいい人は、必ず自分は運がいいと思い込んでいる人』だということです。
これから皆さんは、いろいろ勉強して、いろいろ体験して、大きく成長し、いろいろな世界で輝いていくことと思います。でも、大変な時や辛い時もあると思います。そんな時にこそ、『私は運がいい‼』『私はできる‼』と心で念じるという意識の差が大事です。人間、能力の差は五倍、意識の差は百倍と言われていますから。

≪縦、横、ナナメで子どもは育つ‼≫
以前にもお話ししましたが、子どもたちは、他人の中で育っていくと思っています。ただ、他人といってもわかりにくいので、少しご説明します。
今日まで、幼稚園時代のお友だちは、親と子や先生と園児の間で何かを指示して従うような関係の縦のつながりであったり、一緒に遊んだり、ふざけたり、共通の話題もあり、楽しさも共有できる同級生や友だちとの横のつながりで生きてきました。この縦と横の関係を建物に例えると、縦関係が柱、横関係が梁(ハリ)になるとも言えます。でも、柱と梁だけの建物では、風雨に耐えきれず強い風が来ると倒れてしまうのです。建物では、あまり目立ちませんが、柱と梁を結びつける斜めに通る“筋交い”というものがあります。柱と梁の縦横の関係を強くする、言わば、ナナメの関係ということになります。この筋交いが入っていると地震にも強い建物になります。人間関係やコミュニケーション力でもナナメの関係は、大切です。学校では、担任より保健室の養護教諭とか、また、担任よりも部活動の顧問とか、楽しい近所のお兄ちゃんとか、同じ趣味の大人とか…親や友だちのような立ち位置ではない人の力が人間関係、コミュニケーションの幅を広げることになります。ナナメの関係をつくってね‼

≪ジグソーパズル型とレゴブロック型≫
私はよく人生はジグソーパズル、良いこと、良くないことそれぞれがあってはじめて人生が成りたっていると言っています。つまり良いこと良くないことがあって初めて、人生というジグソーパズルは完成するのです。と思っていますが、これからを生きる皆さんへ、ジグソーパズルとレゴブロックの学び方だけでもお話してみますね。
ジグソーパズル型的な学びスタイルは、そのピースが1000、2000個あろうとも、一つのピースは一つの場所しかないのです。つまり、正解は一つしかない。必ず正解がある世界、正解主義であり、その情報処理力はジグソーパズルを早く仕上げることに注がれました。かたや、レゴブロックは、ピースの数はいくつでも、想像力と創造性で、怪獣でも宇宙船でも、動物でも、自分の思うままになんでも作れるのです。言わば、納得解の世界であり、情報編集力が必要とされています。
ジグソーパズルとレゴブロック、どちらがいいとか、良くないとかいう話ではなく、これからは、この2つのバランスが育ちの時間には大切な側面だと考えています。
テストや点数では表現できない世界こそ、幸せな未来を築いていくものと思います。

≪ご卒園、おめでとう‼≫
卒園児の皆さん、いよいよ小学生ですね。みんなが過ごしたふじようちえんでは、たくさんの事をいろいろなお友だちと体験しました。今まで毎日してきた、ごあいさつ、お返事、くつをそろえたり、戸を閉めたり、ものを片付けたりすることも、これからも同じように続けて下さい。そして、お友だちと仲良くし、力を合わせてがんばること、困っているお友だちを見たら助けてあげること・・・いろいろなことは小学生になっても続けて下さい。続けることこそ、一番大切な能力です。
最後に、砂場で集めたきれいな石。本当は、皆さんこそ、光り輝く宝石なのです。でも、何もしないと光りません。ダイヤモンドの輝きも最初は目の粗いヤスリで磨き、段々と目が細かなヤスリになり、やがて最後は真綿のようなもので磨くのです。人の成長も同じ、みんなも好きなことを見つけて、ずっとずっと磨き続けると、それぞれの光が出て、輝き始め、周りの人を光らせる大人になって行きます。
園長先生の願いは、みんながそれぞれに自立して、社会の役に立つ人になること。ご卒園、おめでとう!! よき出会いを!! そして、また来てくださいね!! 

令和元年度 卒園式 園長だより vol . 218 (2020.3.20)