ふじようちえん

園長だより vol . 234 (2021.4.30)

2021年04月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

幼稚園では、ふじようちえんを象徴する藤の花が咲き始めました。空を見上げると、大きなこいのぼりが薫風にたなびき、優雅に泳いでいます。悠々と青空を泳ぐこいのぼりを見ていると、気持ちが大きくなり、何となく心が癒されます。
朝、登園してきたお友だちが、園庭に映るこいのぼりの影を追って、こいのぼり影踏みをして遊んでいます。こいのぼり、いろいろな楽しみ方がありますね。
そもそも、こいのぼりは、中国の黄河の上流にある龍門という滝を鯉が登ると竜になるという「登龍門伝説」が日本に伝わり、立身出世の象徴のようになりました。さらに鯉はとても生命力が強く、きれいな川以外でも生きていくことが出来るので、子どもに強く、逞しく、育ってほしいという願いを込めて揚げられるようになりました。
また、幼稚園で大きなこいのぼりを揚げているのは、幼児期の原体験として、子どもたちに圧倒的に大きなものを見せてあげたいと思っているからです。なぜかと言えば、幼児期に大きなものを直に見る経験は、物事を大きく観たり、想像したりする心の源、人生の土台作りにつながるのではないかと思っているからです。でも、幼い時に見ていて、とても大きく感じていたものが、やがて「あれっ、こんな小さかったっけ?」なんて思うことがあると思いますが、それでいいと思っています。まぁ、それが、大人になった証とでもいうのでしょう。こいのぼりも喜んでいます‼

新年度になり、約一カ月が経ち、お友だちもご家族様それぞれの生活時間にも、だいぶ慣れてきたことと思います。先日まで、正門付近でお母さんと離れるのがさびしくて、泣いていたお友だちも、今では、送って来てもらったお母さんの方を振り返りもせず、みんなの待つお部屋に一直線に走って行ってしまいます。親とすると、少しさびしいけれど、うれしく、ホッとしていると言う感じでしょうか?
このように、幼稚園で何か好きな遊び、好きなもの、安心できるお友だちや信頼できる先生(実は先生方、特にこの時期、子どもたちに自分の先生だと認識してもらい、先生が好き‼と思ってもらうことが、これからの園生活の大事な出発点となることを意識して対応させて頂いてます)が居てくれることが分かり始めると幼稚園がより楽しいものとなります。そして、この楽しさこそが、親から、物理的にも精神的にも離れられるようになって行くものです。幼稚園児ならではの“親からの自立の芽は、こんな感じで芽吹いています。何となく…5月の新緑に似ていますね。
 ちなみに、先日、父親と散歩中の卒園児(小1女子)に出会ったとき、お父様曰く『○○は学校に行くのが、楽しくて、楽しくてしょうがないんですよ‼』と言って頂きました。なんか、そのように育てて頂いたという幼稚園への感謝の意味がこもっていて、心からうれしくなりました。どこでも同じで、“楽しい”が新しい環境になれる育ちのコツなんですね。

≪大人が手本≫
毎朝、先生たちが順番で正門やバス門に立ち「おはようございます!!」とあいさつをして子どもたちを迎え入れています。あいさつを交わした瞬間、子どもたちの顔色や雰囲気を感じて、その日の健康や気分を把握する場にもなっています。
みんな元気にあいさつをしてくれて、クラスへと行きます。この光景を見ながら、つくづく、あいさつは幼稚園で教わるものではなく、各ご家庭で教わったことの発表、幼いころから親に言われ、行ってきたからこそ出来るものなのだと感じました。多分、自分からあいさつするお友だちは、ご家庭でもいつもあいさつをしているのでしょう。ということは、ご家庭があいさつをする文化、もっと言えば、ご夫婦があいさつをしている姿をみて、子どもたちは育って来たということなのですね。先生たちは、みんなで『大人が手本』という意識で子どもたちに接しようとしています。私たち大人の立ち居振る舞いが子どもに伝わりますので、責任重大と言うことです。
また、家で行っていることとは逆に、幼稚園で意識的に行っていることで、履物を揃えたり、手洗い、うがい、服をたたんだり、食器を片づけたりすることを子どもたちは、ご家庭でもやっているでしょうか?幼稚園では出来ていることも、ご家庭では…ということは無いでしょうか?人の顔色を見てその場だけのいい子になったり、単に大人を安心させるだけの子にはならないでほしいですね。場所がちがっても、ご家庭と幼稚園で、同じ行動が出来るように成長してほしいと願っています。そんな点からも、ご家庭と幼稚園は表裏一体と思いますし、双方が力を合わせて子どもの手本となり、子どもの成長に役立つようにして行きたいものです。
正門の園長あいさつは、私の実感、経験、反省を含めてお伝えしています。その中に
『子どもって、親の言うことは聞かないけれど、することはマネしますね』というものがあります。この親を先生に置き換えても成り立ちます。親になるのも修行ですね。

 ≪ダメ出しよりも、良い出しで子どもが育つ‼≫
新入園児のお友だちも幼稚園に慣れた…と思ったら、連休がやってきました。そして、休み明けは…また、幼稚園正門やバス停で泣き始めたり…でも、このようなことを繰り返しながら、だんだんと状況がわかり始め、それぞれの育ちのペースで育って行きます。毎日の泣きながらの登園も、その子なりの自立への道だと思います。繰り返しこそ気づきの第一歩、だから、みんな大丈夫‼
合わせて、特に今の時期、お子様の幼稚園でのお話をしっかり聞いてあげて下さい。そして、いっぱい喜んであげて下さい。小さなことでも喜ぶ親の姿は、子どもにとって一番うれしいし、自信がつくものです。子どもにとって、親の笑顔、喜んでいる親の姿は記憶に深く刻まれていくものです。忙しい毎日、ついつい指示、命令的な会話になりがちだと思いますが、子どもの良いところを見るようにしましょう。
ダメ出しより、良い出し‼ですね。

緊急事態宣言が発出され、世の中は、先行きが不安で混とんとしていますが、私ども教職員一同は、今まで以上にマスク、手洗い、消毒、3密を避ける等々の子どもたちの安全安心を守る中、子どもたちの育ちをしっかりと支えて参ります。引き続きの皆様のご理解、ご協力をどうぞよろしくお願い致します。 
園長だより vol . 234 (2021.4.30)