園長だより vol . 254(2022.10.31)
2022年10月31日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
園庭も紅葉の季節を迎え、赤く色づいた葉が風に舞っています。ここにきて、朝夕の冷え込みも一段と感じるようになり、冬が近づいて来ていることを感じます。
毎年のことですが、この季節、園舎の軒に、稲穂や干し柿づくり、ポップコーン用のとうもろこし等々を吊るして、乾燥させ、食す…という流れを伝えようと考えて、展示しています。日本人の昔ながらの食生活や知恵や文化を感じていただけたら、うれしいし、特に子どもたちに今まで続いてきた地域の空気を伝えたいと思っています。
皆様、お元気で過ごされていますか?コロナ対策はもとより、寒くなってくると、風邪も流行り始めます。幼稚園でも、ご家庭でも、うがい、手洗いをしっかりするようにして行きましょう。
≪季節を感じて子どもは育つ‼≫
この秋、子どもたちは、運動会でそれぞれの達成感や満足感を味わい、さつまいも掘りで土に触れ、おいも会で味覚の秋を実感しながら過ごしてきました。特にさつまいも掘りのあと、『天ぷらで食べた!!』『スィートポテト!!』『大学イモ!!』…たくさんの子どもたちの言葉に、さつまいもを真ん中にした楽しいご家庭の様子が想像できて、うれしくなりました。これからもさつまいもは、おやつで食べたり、絵をかいて楽しんだりしますし、脱穀精米や園外保育で行く昭和記念公園での秋さがしで、更に秋を感じてみたいと思います。季節を感じ、行動で実感し、理解に結びつけ、さらなる発見へとつなげたい…そんな晩秋をおくりたいと考えています。
≪お陰様で、大豊作‼≫
今年のさつまいもは大豊作で、おそらく今までで一番のいい出来でした。尚且つ、超大きいさつまいもが続出する状況で、楽しく、とても良かったです。そして、それは、兎にも角にも、ここ3年、コロナ禍で行っていなかったご父母の皆様による“さつまいものつる刈り”のお蔭です。雨の中にもかかわらず、多くの皆様にご参加、ご協力いただき、本当にありがとうございました。お陰様で、子どもたちは自分の力で思いっきり土を掘って、さつまいもを見つけた時の大きな感動と、さつまいもを自分の力で掘り出した時の満足感、自信等々、自ら育つ力を養うことに大変役立ちました。つる刈りのご苦労も、しっかり子どもの育ちにつながっていますね‼感謝‼
≪飛び出す絵本&ノートパソコン≫
先日、ある神戸の大学の教授のご紹介で、本当に久しぶりに海外からの訪問者がありました。なんと、その方々は、ポルトガル幼児教育界を代表される方々でした。当然、コロナ禍ですので、しっかりしたコロナ対応のもとにキッズテラス屋上から、遠目でのご見学になりましたが、園舎やイキイキした子どもたちが屋根の上を走ったり、遊んだりする光景に皆さん感動していらっしゃいました。入国が緩和されたら、日本のふじようちえんに行ってみたいと準備していたそうです。ありがたいことです。
実は、その時、お土産でいただいた、飛び出す絵本が、大きさと言い、その作りと言い、素晴らしいものなのです。(ポルトガル語は読めませんが)ある時、机の上に置いておいた絵本、ふと見るとその横にノートパソコンがあり、どちらも開いているのです。この2つを眺めながら考えちゃいました。どちらも同じように開いて、新しい世界との出会いが生まれますが、少々その質は異なるように思いました。どちらが良くて、どちらが良くないということではなく、これからを生きる子どもたちには、両方を楽しんで育って行ってもらいたいものだとつくづく思いました。たまたま、開いた飛び出す絵本とノートパソコン、未来を拓く扉は、身近に開かれているようですね。
≪袖を引っ張る力、背中を押す力≫
以下の文章は、約10年前にお伝えした内容ですが、当時の私の親子関係をお伝えしながら、あるべき親の姿勢や態度のご参考になればと思って再度お伝えします。
よく使う表現に、“袖を引っ張る”とか“背中を押す”とい言うものがあります。比較的、友人、知人等々、人間関係が基礎にあり、その関係の中で使われることが多い言葉のようです。実はこの表現言葉、親子関係にも当てはまる様です。
私事で恐縮ですが、先日、高校生の息子が、中間テスト当日の朝、一夜漬けのテスト勉強の成果か?朝、中々起床出来ず、ぐずぐず寝ていました。定刻の電車に間に合いそうもありません。そして、まだ寝ています。テストは、息子のこと、遅刻するのは本人だからと構えていた私ですが、やはり私も人の親、本音では遅れては大変だと言う思いがあったのも正直なところでした。心の中では『眠くて寒い中、自転車で行くのは大変だし、私が送って行ってあげるようかな? テストだし、遅刻はさせられないし…最後は、仕方ない、送って行こう』という助け舟を出してあげようかなという思いでした。何度も息子の部屋に行き、起こしました。あまりにも起きないので仕方なく、『駅まで車で送って行ってあげるから、早く起きろよ!!』と言うと、息子は、スーッと起きて眠たいながらも着替え始めたのです。それも素早くです。私の遅刻を心配する気持ちが、息子の起床をずるずると引っ張っていたのでした。息子としたら、最初から車での送りを決め込んでいて、まだ起きなくていいや、ギリギリまで寝ていればそのうち、私の『車で送って行ってあげるから…』と言う言葉が聞けるものと思っていたのですね。まんまと朝から息子の罠に、はまってしまいました。
早く起きろと起こしている、つまり、息子にプレッシャーをかけて、押している様でいて、実は、思いっきり子どもの心を引っ張っていたようです。その証拠に、私が不在の朝、遅れそうになるとあたふたと自分で起きて、自転車で出かけて行くのです。 そこで、自戒の意味を込めて一言アドバイスです。
子どもを自立させるには、ここぞと言う時には、息子、娘の甘えを呼び込むような隙を作らないこと、その為には、困っている我が子を見ても、見て見ぬふり、無関心を装う、遠くから見る、寝たふり、死んだふり…が有効!? です。
いかがでしょうか? おかしな言い方ですが“無視する力”親として結構、大事なのです。親になるのも修行ですね。
園長だより vol . 254(2022.10.31)