ふじようちえん

園長だより vol . 255 (2022.11.30)

2022年11月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

『あっ、緑になっている!!』お休み明け、登園してきたお友だちが感動の声をあげています。今月初旬に園庭を耕して、芝生の種を蒔き、静かに見守ってきた種たちが、一斉に芽が出てきました。まだまだ可愛い芽ですが、園庭一面になるとその緑もイキイキ輝いていて、すがすがしい気分になれます。毎日、毎日、成長する芝生の芽を見ながら、大きくなること、成長すること、植物も生きていることを実感してほしいものです。かのアインシュタイン氏も『情報が知識ではない、体験が知識なのだ』と言われています。園庭を見ながらの日々の時間も、子どもが育つための環境であり、子どもが育つための道具の一つということですね。

 師走を迎え、寒さも強まり、本格的な冬到来です。皆様、いかがお過ごしですか?
今、子どもたちは、クリスマスフェスタに向け、作品づくりや歌の練習にそれぞれに頑張って、楽しく日々を過ごしています。特に作品づくりでは、子どもたちそれぞれの思いを聞きながら、作りたいものや、あったらいいな的なもの、また、想像する楽しい世界等々を先生方が寄り添う形で制作しています。子どもたちの発想は素晴らしいもので、大人がハッとさせられるものばかりです。子どもたちそれぞれのこの表現、ぜひ、クリスマスフェスタを楽しみにしてくださいませ。子どもたちの成長を感じられると思います。

 この時期、恒例の大根掘り‼今年はスマイルファームの大根が、この陽気で思いのほか早く成長し(成長し過ぎ?)ましたので、みんなで早めの収穫をしました。子どもたちは、歓声をあげながら自分の力で大根を抜き、重たい大根だけどそれぞれに抱えて園まで帰ってきました。園に着いた時、何とも誇らしげな顔をしていたのが印象的でした。確かに、たかが大根1本ですが、自分で抜いたことで、『自分で出来た‼』『こんな大きいのを私は抜いた‼』ということが自信になり、自己肯定感を育てる一助になったものと思います。園では大根をランチのメニューにしたり、園舎の軒に吊るして、昔ながらの日本の風景を醸し出したり、また、たくあん、酢だいこん、福神漬け等々にして食しています。そんな体験も子どもたちが育つ役に立てればうれしいです。
スマイルファームは、すべて無農薬で作物をつくっています。ご家庭でも、大根のお料理、楽しんでみてくださいね。そうそう、葉っぱもおいしいですからね‼

≪おにぎり会≫
 先日行いました“おにぎり会”、コロナ禍でのやり方として、厨房で焚いた精米したての新米ご飯を各クラスに運び、一人ひとりのビニール袋に先生が小分けにして配り、お友だちそれぞれがそのビニール袋の上からご飯を握り、おにぎりをつくって、それぞれが握ったおにぎりを食べるというやり方をしています。当然、手の消毒をした上です。子どもたちが初めて握るおにぎり、まん丸、たわら型、平行四辺形型⁉…中にはまとまらずに只々ご飯を食べている状態のお友だちもいました。いろんな形のおにぎり、みんなで楽しんでおコメの味を感じたものと思います。あまりのおいしさに、お替わり、お替わり…の声が止みませんでした。自分でつくって、食べたおにぎり、指についたごはん粒もきれいに食べて初めて分かるごはんの味、何気ないことですが、この経験をして欲しかったのです。
 度々お伝えすることですが、数年前、小5の女の子のお母さんが、うちの子が学校から帰って来て『何か食べるものある?』と聞くのです。その時『何にもないよ』と答えると、『じゃ、塩むすびつくって!!と言うんですよ』と話してくださいました。
幼稚園の時に食べた塩むすびがとても美味しくて、その味を思い出すかのように時々、塩むすびをリクエストされるそうです。確かに、お塩とお米の味だけですが、おいしいですよね。小さな手にのせ、みんなで食べるおにぎり、ほんのわずかな時間ですが、子どもたちにとっては、味の原体験、美味しさの思い出、おにぎりの記憶として、しっかりと心に残ってもらえたらうれしいですね。
 よく、“3つ子の魂、百までも”と言いますが、むしろ、私は幼児期こそ、“一生ものの始まり”と言っています。それぞれの子どもたちの永い人生時間を見た時、一生に渡り活かされるもの、使うものの多くを獲得する時期が幼児期なのです。出来るだけ正しいもの、正しいことを身につけるべきだと考えます。その正しいものやことを癖付けし、その良い癖付けが習慣レベルになるまで指導して行きたいと思います。特に、心、行動、考え方の良い癖付けが大切だと感じています。
 “人生は、その能力によって決まるのではなく、その性格によって決まる”と聞いたことがあります。みんなが更に良くなって幸せの方向に進むように、人生の土台となる幼児期、先生たちみんなで力を合わせながら、子どもたちの育ちに役立つように頑張って行きます。

≪サッカーワールドカップに見た‼日本の力≫
 にわかサッカーファンの私ですが、ドイツ戦で2点目のシュートが決まった瞬間、思わず涙が出ました。ドイツに勝利‼よくやった‼サムライブルー‼すごい‼
これからも、試合の勝敗、勝ち点、対戦相手…ワクワクする日々が続きますが、益々、応援に力が入っちゃいますね‼コスタリカ戦は、残念でしたが、頑張りましょう‼
 試合もすごいですが、私が感動したのは、スタンド席のサポーターさんたちの試合終了後のゴミ掃除です。世界各国のメディアでも取り上げられ、賞賛されている行動で、同じ日本人として、とても誇らしく感じます。合わせて、日本選手の去ったロッカールームは、きちんと掃除され、感謝の言葉と折り鶴が添えてありました。という報道がありました。森保監督曰く『来た時よりも、美しく』と言われています。こういう細かいところまで配慮でき、次の人たちが使いやすいようにと気を配り、心を配れること、まさしく、日本人が持っている“利他の心”そのものですね。よく考えると、幼稚園でも、何かにつけて、使ったものは元に戻し、おかたづけを必ずします。また、画像で見た折り紙の鶴は、とてもきちんとしていました。これは、幼児期の遊びの中で、鶴を折る時には角と角がきちんと合わさっていることで感じる安心感に通じ、“きちんとする心”を幼児期の遊びの中で培ってきたからだと思いました。
そういう幼児期の体験をした人たちが大人になってつくっている社会が、この日本の社会。街は整備され、ゴミの散らかりも少なく、電車も時刻表通りにきちんと運行している国なのです。そして、その源は…幼児期の遊びや生活の中にすべて含まれていると考えている私は、『幼児教育こそ、国をつくる力がある‼』と言って、幼児教育の大切さを伝えています。
 確かに勝負は、勝つことが大事ですが、勝負とは別の次元にある人としてのこの姿勢に世界が気づいて来たのではないでしょうか? 日本は、聖徳太子の『和をもって、尊しとなす』の言葉からその協力傾向が強い社会であり、その論理は世界では通用しない等々言われてきましたが、世界情勢や環境問題等々を考えると、今こそ、“和の力、日本の力”をもっともっと世界に主張し、行動することが大切なように思います。
スタジアムで見せたゴミ掃除のように。

園長だより vol . 255 (2022.11.30)