ふじようちえん

園長だより vol . 262 (2023.4.28)

2023年04月28日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 澄み渡った青空のもと、こいのぼりが気持ちよさそうに泳いでいます。さわやかな薫風を受け、大空に映えるこいのぼり、見ているだけでも気持ちがいいですね。
お友だちには、こいのぼりのように圧倒的に大きなものを見上げてもらい、その大きさを実感して、心や気持ちも大きく育ってもらいたいと思って、毎年あげています。

 また、園長席の横に鎧兜を飾り、子どもたちの健やかな成長を願っています。最近では、兜と言えば大谷翔平選手がホームランを打った時にかぶってチームメイトから祝福されるシーンをよく目にします。日本文化が発信されてとてもうれしいですね。大谷さんがかぶる兜は強さの象徴だと思いますが、五月人形の鎧兜飾りには、昔の武将にとっては身を護る大事な装備、その点から「我が子を守ってくれるように‼」という願いが込められているそうです。言わば、お守り的な意味を有しているのですね。

 さらに、ふじようちえんの正式な表記である藤幼稚園の“藤”も咲きました。ささやかに静かに咲く藤の花が園名の由来です。確かに、富士山の富士と音は同じで以前は富士幼稚園というお手紙を時々いただきました。その度に私は、富士山の富士は日本一、なんでも一番をめざした昔の時代を象徴するもの、藤幼稚園の藤は、弦が伸びて様々なところと絡み合う成長の仕方から、これから時代、つまりネットワーク、Webの時代を象徴しているもの、富士よりも藤の時代、なんて説明をしています。
ちなみに、藤の花の花言葉は、「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」「忠実な」とのこと、古くから愛されている、日本人にはなじみの深い花ですね。藤‼

≪子どもは、子どもで育つ‼≫
 早いもので、入園式、始業式からひと月が経とうとしています。子どもたちもそれぞれですが、今の時期、新入園児のみなさんにとっては朝、ご家族様との別れはちょっぴり寂しくて、涙も出ちゃう時もあるけど…幼稚園で楽しいこと、おもしろいことに出会って、少しづつ園に慣れてきている今日この頃という感じです。
毎年、年度初めのこの時期、登園時、正門やバスから降りて、自分のクラスが分からず、どこに行けばいいのか迷っている新入園児のお友だちを年長さんが、自主的にサポートしてくれています。【お部屋案内係り】とか【○○クラスおてつだい】という腕章を付けて、小さいお友だちをお部屋に連れて行ってくれたり、また、お部屋で一緒に遊んでくれたりして、小さなお友だちの不安を和らげています。やっぱり、“子どもは、子どもで育つ”子どもたちの心と心がふれあい、育ち合っていることを感じた素晴らしい光景でした。誰も教えたわけではないのに、小さなお友だちの手を引いて行くシーンに、優しさや他人を思う気持ち、お手伝いがうれしい…日々、成長している年長さんを感じました。そこで、考えた標語ですが、“させるお手伝いより、したがるお手伝いを‼”何もしたがらない時は、まだそのお手伝いの面白さに触れてないものと考えて、またお手伝いの中味を考えてみましょう‼

≪吊るして、吊るして、地域を伝える‼≫
 キッズテラスに玉ねぎを吊るしました。毎年行っていることですが、改めてお伝えします。ふじようちえんが存在する地域は、立川市北西部にあたる砂川地域(元々、砂川町であり、昭和38年に立川市と合併する)です。ここは江戸時代に新田開発によって開発されてから、玉川上水や五日市街道の流通のもとに農業を営んできた農村地帯です。この典型的な武蔵野の農村地域が、昭和30~40年代にかけての高度経済成長に伴う人口増加によってベットタウン化が進みました。そんな背景の中、立川藤幼稚園とし53年前に創立しました。当時、周辺は畑ばっかり、桑畑に囲まれている状況でした。おそらく、開園から10年後ぐらいでしょうか?大根を園内で吊るして、干して、子どもたちに見てもらっていた光景何となく憶えています。
 そのようにだいぶ以前から大根を干していたのですが、ある時、通行される方に見えるように園外側に向けて大根を干してみました。すると、ご高齢のご夫妻がお散歩しながら『昔は、こんな感じでみんな干していたねぇ~』とお話しされているのです。その言葉に確信を持ち、この地域に育つ子どもたちに、昔のこの地域の風景や空気感を伝えていくことも大事なこと、自分が育っている地域の成り立ち、歴史も知ってもらえたらいいなぁ~と考えて、作物を吊るして干して、少しでも地域の昔の空気が伝わればと思っています。
 玉ねぎは干して甘くなって保存も効くし、トウモロコシは干してポップコーンにして食べれるし、大根は漬物に、柿は干し柿に…よく考えると、日本の食文化には干して食すものがたくさんあるのですね。まさに、保存食、発酵食、自然食の国ですね。また、中には、『建物全体に大根が吊るされているのが、素晴らしいデザインだ‼』なんて言ってもらい、思いもよらぬデザイン関係者にお褒めの言葉?まで、いただき恐縮しています。ちなみに、今、吊るしている玉ねぎは、給食で使い、特に子どもたちの大好きなカレーに使います。玉ねぎが少なくなってきたら、子どもたちがカレーをたくさん食べていると思ってください。みんなで玉ねぎ、食べましょうね‼

≪虫で育つ、子どもたち‼≫
 新緑の季節です。新緑は目に眩しいばかりの輝きを私たちに伝えてくれ、一日のエネルギーをプレゼントしてくれますね。そんな新緑も感じているのか?いないのか?子どもたちは木々や草の中を探し回り、虫探しに夢中です。確かにこの時期は、イモムシ類やてんとう虫の幼虫をはじめ多くの虫たちが出はじめています。草むらの中、目を輝かせながら虫を探す目、見つけてからその動きや虫の口、目、顔、胴体、足等々、本当に細かいところまで観る目、虫に触ったりしてその感じを楽しんでいるお友だちもいます。大人から見ると、虫を見つけて虫をかまっているような光景ですが、実は、虫図鑑やタブレットで得た知識より、この「遊びの中にある学び」が本当は大切なのです。こんな体験を通して、何事もよく見て、感じ、考えて…不思議に思ったり、疑問を持ったりすることが、学ぶ姿勢をつくる第一歩、まさに「虫で育つ、子どもたち」ですね。
 また、あるお部屋の前を通った時、子どもたちが土の入った水槽に顔をくっつけるようにして中を見ていました。聞くと、カブトムシの幼虫を育てているとのこと、こちらは時間をかけて育っていく姿を見ながら、やがて成虫のカブトムシになることをみんなで楽しんでいました。あるお友だちは、毎日、毎日幼虫をみているそうです。ここにも学びにつながる時間がありました。カブトムシやクワガタが出てくる夏もいいですが、それぞれの育ちを観ることが出来る今の季節、自然から学ぶ季節でもありますね。そう言えば、アゲハの幼虫も出てくるころ、みんなで観て、学びの種まきをしたいと思います。

園長だより vol . 262 (2023.4.28)