ふじようちえん

園長だよりvol . 263 (2023.5.31)

2023年05月31日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 そろそろ入梅でしょうか?歩調を合わせたように、紫陽花が咲き始めました。雨に紫陽花、晴れた日よりも何故か?美しく見える紫陽花、叙情を感じるこの日本の風景、子どもたちに、しっかり伝えたいと思います。
 今、園庭では、先生たちがつくり出すシャボン玉を子どもたちは捕まえようとして大はしゃぎしています。シャボン玉を追いかけて、つかむと消え、また、ほかのシャボン玉を追いかける…だれでもが経験したことですが、この楽しい遊びの中で、何回も何回も挑戦する心が育って行くものと期待しています。でも…確かに、大人になっても、一度はシャボン玉をつかまえてみたいですよね。
 皆様、いかがお過ごしですか?季節の変わり目、ご自愛くださいませ。

≪泥団子で育つ‼≫
 西側園庭で子どもたちが泥団子を作っています。最初は、単なる泥をこねてのお団子づくりでしたが、もっと丸くしたいし、ピカピカにしたい…それぞれの思いを込めた泥団子に変身していきます。大人から見ると単に泥で遊んでいるように見えますが、しっかりと育っているものがあります。それは、“自分で考えて工夫する力”なんですね。より丸く、よりピカピカにしたいという強い思いが、どう握れば丸い球体になるか?どこの土を使えば輝くか?どのくらい水を付けるといいのか?試行錯誤しながら自分の泥団子が出来て行きます。まさに、これは教えることではなく、自ら体験する中でつかんでいくもの、これが育ちには大切なことです。情報過多、過干渉、やさしい時代の今、幼児教育の立場から言うのも変ですが、『教えられたことよりも、自分で掴んだ自分なりの法則やルールは、しっかりと身に付き、一生忘れない』ものと思います。そして、それは遊びの中にたくさん詰まっているのです。“遊びが学び”と言われる所以ですね。泥団子づくり、おもしろいですよ‼ たくさん、遊んで育ちましょう‼

≪雨の種類、呼び名≫
『雨ふり、長靴、水たまり、紫陽花、雨傘、カタツムリ、梅雨に育つ、子どもたち』と正門入口の園長あいさつに記しました。今、様々なところで快適さを求める空間づくりや街づくりが進んでいます。快適な空間は私も好きですが、必要以上に雨を避ける現代社会は、子どもたちにとって、雨に濡れることさえも経験せずに成長する?社会なのかもしれません。私は、雨が降ったら、雨に濡れることも幼児期の大切な経験だと思っています。霧雨、しとしと雨、土砂降り、ザーザー降り…その降り方によって雨にもいろいろな呼び方があること、その状況も様々であることを体で感じて、憶えておいてほしいと思っています。極端な話ですが、将来、小説を読んだ時、“雨がしとしと降っている”というフレーズが出てきても、経験していないとその雨がどんな降り方で、その状況がどうなっているのか?想像できない…わからないなんて、寂しいし、いくら小説を読んでもなんだか…豊かな時間じゃない気がします。

≪水たまりチャレンジ≫
 昔から、不思議と子どもたちは、水たまりに入りたがります。水たまりの浅い所から、徐々に深いところに行き、時には深く入り過ぎて長靴の中に水が入って、さぁ、大変‼なんてことがよく起こっていました。これは、子どもたちの好奇心やチャレンジ精神の現われで、ある面、大いに応援したい気持ちもあります。でも、子どもたちは、最初は水たまりの深さを知りたい、僕はこんなに深いところまで行けた‼なんて自分はできる‼特別な存在であるコトを認識して、まさに自己肯定感が育っている場面です。が、大体、上手くいかなくて、長靴の中に水が入ってしまいお母さんに怒られる⁉なんてことになるのですね。
残念ながら、このようなことをする水たまりもなくなり、同時に自己肯定感を育てる場面も少なくなり、子どもの育ちの観点から言うとちょっと不自由な現代社会です。

≪雨傘で人との間合いを覚える≫
 この梅雨の時期、傘をさした時、まわりの人と傘同士が触れる、ぶつかることを通して、行きかう人とぶつからないように斜めにして避けて通ること、傘を持ってはしゃぐとまわりの人にぶつかって迷惑をかけること等々、傘を通じて他人との距離感、間合いを学べる季節でもあります。
 昔の子どもたちの遊びで恐縮ですが、以前、幼稚園でも新聞広告の紙を筒状に丸めて、剣を作って戦いごっこ遊びをしていたことがあります。チャンバラごっこをする中で、相手にこれ以上やっちゃいけないことを学んだり、小さい子には加減をすることを憶えたり、振り上げると後ろに人がいて気を付けなくてはならないこと等々、戦いごっこの中で他の人との距離感、間合いの感覚を培ってきました。戦いごっこをやれ‼とは言いませんが、傘を持った時には、周りの人の迷惑になりはしないか?という配慮の心を育ててほしいと思っています。大人の人は、傘の忘れ物に注意しましょう‼私も含めて。

≪笑う父には、福来る≫
「父親の意識が社会を変える」と題した友人の記事が読売新聞に掲載されました。
少子化の大きな時代の流れの中、こども家庭庁が発足し、今まであまりにも母親に偏り過ぎている育児を夫婦でともに進めていけるようにすることが、少子化対策になるというのが主題とのことです。が、それだけではダメで、父親自身が親として子育てにしっかり向き合い、子どもを育てる実感を持ち、そのこと自体が父親自身の幸せにつながることになると記事では伝えています。
 ふじようちえんでは、お子様の送迎やイベントにお父さんが来てくれることが多く、昔からお父様のお迎え等々は、日常の風景だと思っています。
 そんな点から、多くのお父さんはご家庭でも子育てをしっかりされていることが想像できます。それは、お父さんがお迎えに来た時のお子様の輝くような笑顔、体全体での喜びようでわかります。当然、お母さんが迎えに来た時も大喜びです‼
 NPO法人ファザーリング・ジャパンさんは、「笑っている父親が社会をつくる」ということを主張しています。今後、おそらく、今までの価値観を大きく変化させた社会の中に少子化対策があるものと想定していて、具体的には、さらに父親の育児、子育てへの参加が、働き方、生き方の変化につながると記してありました。逆に、父親の守備範囲が広がって、その得意を活かして、たくさんの笑顔が生まれそうですね。
 昔から、頑固おやじ、カミナリおやじ、友だちおやじ、目玉おやじ…様々な父親像がありますが、父の笑顔が子どもにとって一番うれしいことには変わりません。
6/17,18は、楽しい家族参観日‼子どもたちも、幼稚園に親がきてくれること、自分の席に座ってくれること、本当に楽しみにしています。
ご家族様にとって大切な時間‼お子様を真ん中にぜひお楽しみください。

園長だよりvol . 263 (2023.5.31)