ふじようちえん

園長だより vol . 264 (2023.6.30)

2023年06月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 ♪ささの葉さらさら、のきばにゆれる、お星さまきらきら、きんぎん砂子(すなご)
幼稚園の至る所から、元気な“たなばたさま”の歌声が聞こえています。笹飾りの輪つなぎをつくったり、短冊に願い事を一所懸命に書いて、笹竹に飾りました。子どもたちの願い事は、本日から7月7日まで、阿豆佐味天神社の参道に飾ってますので、ご覧いただければと思います。https://jpnculture.net/tanabata-song/
 この時期、湿度が高く、日増しに暑さを感じるようになってきました。梅雨明けが待ち遠しく感じられる今日この頃、同時に季節の変わり目、ご自愛くださいませ。

 今、園長席の前には、ズッキーニ、なす、ピーマン等々、スマイルファームで採れた夏野菜が置いてあり、子どもたちが触っては「これ何?」の質問攻撃を受けています。でも、今、一番の人気は、カブトムシ、クワガタたちで、登園してくるとすぐにケースの前に来て、のぞき込んではカブトムシ同士の戦いに胸を躍らせています。その中で、『クワガタが、角をひらくと怒っているんだ、とお父さんが言ってたよ‼』というお友だちの声、私は「そうだね、お父さんの言う通り‼」だから、触るの気をつけてねと言うと、目を輝かせて“ウン”とうなずいてくれました。クワガタの特性を知るのに、お父さんの言葉が基礎となって、私の同意で確信になり、慎重な行動になったようです。“子どもの心に寄り添う”と言いますが、スタイルは様々です。今回は、『お父さんの言う通り‼』と伝えることで、安心して、これからもよりクワガタをはじめ、昆虫に興味をもってくれたようです。こういう言葉のキャッチボール、子どもの育ちには大切ですね。今も、目の前には子どもたちが群がり、目が輝いています。

 先日の家族参観日、お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。お陰様で両日ともお天気にも恵まれ、子どもたちもご家族様と一緒にとてもすばらしい時間を過ごすことが出来ました。ご家族様の中には、成長した幼稚園での我が子の姿に、目を潤ませ、涙ぐんでいるお父さんも多く見受けられました。あるお父さんは、『先生、こんなことまでできるんですね‼』と感動の心を伝えてくれました。
改めて、“お子様の成長が、ご家族様の一番の幸せ”ということを肌で感じさせていただき、“その子どもたちの育ちをしっかりと支えて行くのが私たちの役目”だと再認識する時間にもなりました。感謝‼

≪子どもが育つ状況説明図≫
 私たちの理念は、「幸せな未来をつくること」であり、幸せな未来は、幸せな未来をつくる人を育てることによって可能になると信じています。私たちの心の真ん中にある思いは“子どもが育つ”ことです。園舎や人々、土地、動物、木々、芝生、砂場、井戸など、すべて子どもたちが成長するための道具であると捉えています。私たちは、子どもが園舎環境や状況に関わりながら、「自ら育つ力」を発揮し、自立へと向かっていくことを目指しています。その為に園舎は、子どもたちの成長を促すための道具として位置づけており、それぞれの環境づくりが、子どもたちが成長するための状況づくりに直結しています。子どもたちが成長するための適切な状況を整えることが、園施設の役割の1つであり、子どもが成長するための状況を具体的に説明した状況説明図を作成し、共有しております。ご参考になればうれしいです。

≪体験は、教えられない‼≫
 日本で一般的な学習スタイルは、スクール形式です。先生がいて子どもたちが一斉に活動することがよくありますが、これはただ知識を伝達するだけであり、十分な理解には至りません。幼児期に無機質な画像を見せても、何も伝わらず、何も育たないのです。一方、『絵本の世界』は、読んでもらって聞き、頁をめくりながらワクワク想像しながら見て、自分自身で考えたり想像したりすることができ、非常に能動的な学びのスタイルです。一生学び続ける姿勢は「常に考える」ことであり、この「常に考える」ことをクセづけさせるのに絵本は効果的だと考えています。また、園長席の前には様々な野菜が置いてあり、子どもたちは野菜を手に取って重さを感じたり、形や表面の感触を楽しみ、においも感じ子どもたちはそこに書かれている野菜の名前を読もうとしています。幼児期には様々な物を手で触れてみることが理解する早道、手で触れることで理解が深まり、実践的な理解が得られるのです。このような「Hands-on」の経験こそが幼児期の重要な成長のポイントです。子どもたちは興味のあるものを見て、触れて、感じて、考えて、行動するというサイクルを自らつくる時期でもあります。ふじようちんでは、『体験は教えられない‼』と言って、五感を使っての様々な「体験型学び」を重視しています。

≪幼児教育こそ、国をつくる力がある≫
 日本人は何事も“きちんとすること”が好きだという特徴がありますが、この特徴は、持って生まれた秩序感と幼児期からの環境に要因することも考えられます。それは、折り紙では角と角をきっちり合わせながら鶴を折ったり、ぬり絵も枠から1ミリもはみ出さずにキッチリ塗ったりすることで、満足感、達成感、自信が芽生えて行くことでもわかります。このような幼児期の日常の繰り返しの中にこそ、日本人の真面目さ、勤勉さが育まれて来たのではないかと考えています。その子どもたちが大人になり、きちんとして、きれいな街づくり等々につながっているのだと思います。まさしく、“幼児教育こそ、国をつくる力がある”ということの証なのだと思っています。

≪一人一人の違いをすべて認めてあげたい≫
 先日、希望された方にドライTシャツが届きました。子どもたちの着たドライTシャツが映えて、幼稚園はとてもカラフルになってきました。基本的に、ふじようちえんでは、社会一般で見受けられるような子どもだから…という意味での原色は使わず、木の色、土の色、葉っぱの色を大切に、その中でのFujiTシャツが走り回るというコントラストがでるようにしています。
 また、様々なことが多様化した現在でも、教育現場は、ともすると“みんな一緒”が一番好まれる側面があります。そこで、ふじようちえんの子どもたちが着ているTシャツを例にあげてみます。ふじようちえんで子どもが来ているFujiTシャツを見て、よくこれは制服ですか?と聞かれますが、私は「いや、ただのTシャツで、着ても着なくても自由です」と答えています。みんなが着ているTシャツ、クラスごとに色は決まっていません。むしろ『自分の着たい色は、自分で選んで』と言っています。その根底には、人は、それぞれ違うのが当たり前、一人一人の違いを全て認めてあげたいと思っているからなのです。つまり、自分は何色を着たいの?自分の意志を出しなさい、表現しなさいと、モノ言わぬTシャツが言っているのです。
これは、ランチにも活かされていて、幼稚園で作るランチか、持参するお弁当、どちらでも選べるようになっています。様々な場面で子どもの意志を聞いています。子ども自ら育つ力を発揮させる為、常に『あなたは、どうしたいの?』とモノ言わぬ周辺環境が子どもに聞いているのです。自分の意思を発揮してほしい、何かを教えて、出来た!!と言うことよりも、自分の意志を出すことによって達成されること、されないこと、いろいろな経験をして自立へと向かって育って欲しいと思っています。

園長だより vol . 264 (2023.6.30)