2023年度1学期終業式 園長だより vol . 265(2023.7.21)
2023年07月21日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
梅雨明け宣言はまだですが、連日の猛暑、幼稚園では、さるすべりの木に鮮やかなピンク色の花が咲き、セミの声も聞こえて、まるで真夏のようになってます。
今年の暑さは、ことのほか厳しく、毎日のように“熱中症警戒アラート”が発せられ、子どもの安全と体調をみながらのプール遊び、木陰や室内での夏遊びになっています。
皆様、夏本番もまだまだこれから、ご自愛くださいませ。
本日、終業式を行い1学期が終了致しました。春から夏に、子どもたちはそれぞれに成長し、いろんなことが分かるようになったり、出来るようになったり、親と離れて集団で過ごす時間を通じて、ちょっぴり!?おにいさん、おねえさんになったものと思います。ご家族様には、スタンプラリーや家族参観日、七夕まつり等々に、ご理解ご協力、ご参加いただきまして本当にありがとうございました。教職員一同、心より感謝申し上げます。
いよいよ夏休み、ご家族で海や山へ旅行、等々、いろいろな所にお出かけのことと思います。どうぞ、安全第一、ご健康でそれぞれに楽しい夏をお過ごしください。
≪子どもが育つ、夏休みを!!≫
本日の終業式では、夏休みのお約束として『ごあいさつ、お返事、お手伝いを毎日しましょう‼』とお話しました。“人生、最初の5年間が後の80年間を決めてしまう”とも言われています。その子の人生の始まりの今、基礎づくりの時期に正しい“くせづけ”をすることが大切です。“習慣こそ、第2の性格である”という言葉があるくらい正しい生活のくせづけが大切なものだと考えます。
幼稚園生活の中にも“日常生活へのくせづけ活動”がたくさんあります。例えば、トイレ等で脱いだ靴を外に向けてそろえること。履いて出る方向に向けてかかとをそろえて靴を置く・・・すると、次に履く時、とてもスムーズですよね。スムーズと言うことは、無駄が無く効率的で、生産性が高く、とても合理的な行為となります。いわゆる躾という行為は、とても合理的で美しい動作を昔から伝えてきたものなのです。そして、美しい動作は、周辺の人を気持ち良くして、幸せにもするものなのです。
さらに、私たちは、幼児期に見られる育ちの特徴として、例えば、砂場でいくつかの石を大きい順に並べるとか白い石だけ集めてみるとか・・・何気なく見る光景、このような他愛もない行動や遊び中に、しっかりと育っているものがあるのです。その育っているものとは、ものの考え方や秩序感なのです。
子どもたちの心に芽生えてきたこの秩序感は、足形テンプレートの枠にスリッパを重ねて置きたくなり、少しのずれも許さずにしっかりと置くのです。ちょっとでもずれていると気持ちが悪いのか?細かく調整し、ぴったりと置きます。置き終わると子どもたちは自分の行為に、少しのホッとした気分、置けた達成感、きちんと出来た満足感を感じるのです。この満足感こそが、『ぼくは、出来る!!』『私は出来た!!』という“自信”につながって行きます。やがて、たくさんの自信が積もって行き、自立して行くのです。子どもは、時期が来ると自立すると思いがちですが、自立を因数分解するとこんなふうに「小さな出来た‼」の集まりだったりします。
そして、私は子どもたちに『幼稚園が家で、家が幼稚園だ!!』と言っています。幼稚園で、はきものをそろえていても、お家や親せきの家で、出来なければまったく意味が無いと思っています。
夏休みの3つのお約束『あいさつ、お返事、お手伝い』や『はきものをそろえる』ことは、本当に当たり前のことのようですが、この当たり前のことが大切です。どうぞ、子どもが育つ夏休みを!! ご家族みんなで楽しんでくださいね。
≪園児の育ち、中学生の成長、素晴らしい職場体験≫
先日、中学生5人が職場体験で幼稚園に来てくれました。生まれて初めて、お仕事に向かう中学生たちは緊張しつつも練習してきたのでしょうか?きちんとした素晴らしい挨拶をして、各クラスに入って行きました。この挨拶を受けた先生たちは、とても気持ち良くなって、これから安心して子どもたちの中に入ってもらえると確信しました。それだけ挨拶は大事なことだと思っています。
さて、クラスの中での様子を見てみると・・・初めから中学生のみなさんが戸惑う間もなく、人なつっこい幼稚園のお友だちは中学生のお兄さんお姉さんが来てくれたことがすごくうれしくて、一緒に遊ぶどころか、いろいろな自分の物を見せたり、ずっと手を繋いでいる子もいました。まぁ、年齢も近いということもあり、すぐ子どもと仲良くできていて、年齢の近い人が、話す、伝える、やってみることが子どもたちにはすごく伝わるものだと再認識しました。このように異年齢の子どもたち同士の交流は、子どもたちの成長にとって、とても役立つものだと感じました。
それだけに、「大人が手本」を心して子どもたちと一緒に過ごすことが肝心ですね。幼稚園児も、中学生も、お互いに成長できた職場体験、とても貴重な時間でした。
≪100円ショップで気づく‼≫
まず安価だし、欲しかったものがあるし、なんでもそろっている100円ショップ、私も大好きだし、大変お世話になっています。ただ、とても便利なだけに「壊れたら新しいものを買えばいいや…」と思いがちです。ある時、この便利な社会の中での子どもの育ちを考えて、ツリーハウス横にある“昔ハウス”の中には昔ながらのちゃぶ台を置いて、その上に、陶器の湯呑み茶碗と急須をセットして、おままごと遊びをしてもらっています。子どもたちが大好きなお母さんになりきってのおままごとで、あえて陶器の湯飲みを使って、モノは落としたら割れるということを実感、体験してもらいたいと思いました。もし、その湯呑を落として、割れたら、セロテープで貼って、くっつけるのがルールになっています。プラスチック等で出来ている湯飲みは、落としても割れず、軽いし、長持ちもして、私たち大人にとっては都合がいいのですが、モノは壊れること、陶器は割れることを知ってほしいと思っています。その上で、モノを大切に扱って欲しいし、モノとの付き合い方を覚えて行ってほしいと考えています。
≪スイカに塩、夏みかん、いちごに砂糖!?≫
私の育ったころの昔の夏と言えば、家族で一緒にどこかに出かけるというよりは、近所の友だちと一緒に遊んで過ごしていた夏休みぐらいしか思い浮かびません。半ズボンにランニングシャツで、カブトムシ、クワガタ、カナブンにカミキリムシ…等々を探して町中を走り回ったり、セミ取りに夢中になり、知らないところまで行ってしまって、親に怒られたこともありました。当時、食べたスイカは、みんな塩をかけて⁉食べていました。甘さをより感じるからですかね?ちなみに、当時は、夏みかんやいちごにも必ず砂糖をのせ、底が平らなスプーンでつぶしながら食べるのが一般的だったと思います。さらに、家でやかんで煮出してつくる麦茶には必ず砂糖が入っていて、甘く香ばしい味が思い出の味になっています。時代が甘さを求めていたのか?夏みかんやいちごが酸っぱすぎたのか?今から振り返ると、何か?不思議ですね。
おそらく、このように幼い頃の夏の味は、子どもたちにとっては育ちの味であり、大切な思い出の味、ご家族の味になっていると思います。大人になって、その味や香りにどこかで出会った時、幼い頃のその場面がよみがえってくる…なんてご経験、皆さんもありますよね。味の記憶は、時間をその当時に連れて行ってくれるタイムマシンみたいなもののようです。様々な今の夏の味を、子どもたちとご家族で楽しむのもいいと思います。
そうそう、あと当時は、今のメロンみたいな立派なものは無くて、“マクワウリ”(黄色いナシウリ)がとても美味しかった記憶があります。懐かしいあの味、また、食べてみたいと思っています。どうやら、タイムマシンがまた動き始めたようです⁉
2023年度1学期終業式 園長だより vol . 265(2023.7.21)