ふじようちえん

園長だより vol . 268 (2023.10.31)

2023年10月31日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 幼稚園正門から見える富士山が雪化粧をしました。小春日和が続き、過ごしやすい気候の中ですが、少しずつ冬の足音が近づいて来ているようです。
 秋の風景として、小さな田んぼでの稲刈りや稲の吊るし干し、さつまいもの収穫や落ち葉集め、特に、春3月にお友だちが菌を植えた原木シイタケが実り、子どもたちはそれぞれに収穫して、ランチをつくっている厨房に持って行き、スープ等に調理してもらって、食しています。収穫と食が近くなるふじようちえんの秋、いろいろな体験を通して子どもたちは育っています。

 皆様、いかがお過ごしですか?風邪など召されていませんか?ご自愛ください。
運動会では、多くの皆様にご来園、ご観覧いただきまして、ありがとうございました。子どもたちも、競技・演技の練習から運動会当日までしっかりと今持っている力を充分に発揮してくれました。また、いつも一緒に過ごしているお友だちやそのクラスの雰囲気、お友だちや先生とのコミュニケーション等々を感じてもらえたことと思います。ご家族様に見ていただきながらの運動会、それぞれに達成感と自信がつかめた時間となりました。改めて、感謝申し上げます。
 そして、それからは、さつまいも掘り、おいも会を楽しみ、これから園外保育で昭和記念公園へ行ったり、脱穀・精米をして、大好きなおにぎりを食べたり…まさに“秋に育つ子どもたち”を実践していきます。ちなみに、今年のさつまいもは、とても出来が良く、甘くておいしいです。どうぞ、子どもたちが掘ったさつまいも、焼イモ、てんぷら、大学芋、いろんなお料理で食べて楽しんでください。

 話は変わりますが、10月は、インフルエンザが流行り、数クラス学級閉鎖をせざるを得ない状況がありました。概ね、現在は通常通りの日常を過ごしていますが、一説では、このコロナ化でインフルエンザが流行らなかったことで、免疫機能が低下していて、重ねてコロナが5類になったことでマスク等の感染対策が緩和されたからとも言われています。様々な要因、状況はありますが、手洗い、うがい、早め早めの風邪対策、インフルエンザ対策が必要なようです。油断大敵ですね。

≪折り紙で育つ、子どもたち≫
『先生、見て、見て‼』のお友だちの声に振り向くと、そこには折り紙で折った恐竜がいました。頭や胴体、しっぽの細かい所までしっかりと折っていて、とても素晴らしい仕上がりです。私は、『すごいね、折り紙好きでしょ?』子どもが『うん』というと、『そうだよね、だって上手だもんね‼』なんて感じの会話をしています。子どもの“好き”そして“上手‼”を日常的につかもうと心掛け、子どもの育ちへの自信、いわゆる自己肯定感の成長に役立てばと考えています。
 子どもの時期の遊びがどのように将来につながっていくかは様々だと思いますが、例えば、折り紙は前述のように、角と角をきっちり合わせ、左右対称等々をきちんとしながら作品をつくって行きますし、ぬり絵にしても、ある枠からはみ出してしまうと何とも気持ちがいいものではありませんよね。つまり、私たちは、幼い頃から、折り紙やぬり絵等々の遊びを通じて、“物事をきちんとする”という心、心の癖を培ってきているのです。これも日本文化の一つの特徴と言えます。その証が、そういう遊びを通じて育った大人がつくっているこの日本社会、道路や街づくり…も気持ちよくスッキリとしているところが多いし、電車においては、時刻表通りに1分の遅れもなく運行されています。根底に流れているのは、幼児期の遊びで培った力なのかもしれません。そんな点から私は、“幼児教育こそ、国をつくる力がある”と伝えています。
 現在のICTやゲーム、SNS等に潜む、未来につながる子どもの育ち、これからも、子どもの遊びの中に潜む未来、大切にみて行こうと思います。

≪感謝の念を示して、育つ≫
 私の友人が、ある道で一旦停止を怠ったため、一旦停止違反をしてしまいました。反省を込めて、友人は以下の学びを伝えてきましたので転載します。

 もし、私が長野県民なら、運転免許講習に行くことがなかったかもしれません。
それは、運転免許更新の講習会で、最も印象に残ったのが信号のない横断歩道での一時停止の講座から気づきました。
 モデル事例として長野県の事例が取り上げられていました。
長野県の道路を歩行者が渡ろうとしている時、車の一旦停止達成率は8割を超えているというのです。全国平均達成率が2~3割なので、長野県が圧倒的に高いことが理解できます。私が講習を受けなければならないのは、まさに、この横断歩道での一時停止違反によるものなのです。
 長野県が優れている背景に長野県の交通安全教育があると講師は話していました。内容は、信号のない交差点を渡る場合は次の二点を実行するように指導しているそうです。
① 手を挙げる・・・横断歩道を渡るという意志が明確になります。横断歩行者がいることに気づかなかった、ということがなくなります。

② 渡る途中または渡り切った後に御礼のサインをドライバーに送る・・・感謝されれば良いことをしたと充実した気分になります。そして次も横断歩道で停止しようという気持ちになると思います
特に、この②が大事です。
感謝の気持ちを示すということが大きな効果をもたらしているのです。車線変更時にテールランプを点滅させるのも感謝の念を示しています。交通安全だけでなく全ての行為に通ずるものだと思います。あるルールや習慣を定着させようとするなら、受益者が感謝の念を表すことが大きな効果を実現することをこの事例は示唆しています。
約束を守ったら、子どもにいっぱい「ありがとう‼」を言いましょう。

≪子どもが育つ、クリスマスフェスタ‼≫
 いよいよ冬、クリスマスフェスタが楽しみな季節になってきました。今まで以上に今年は、『より、子どもたちが参加・参画してつくるフェスタへ』を大切にして、現在、子どもたちが『主体』の作品展(アートライヴ)として取り組んでいます。
特に子どもたちの声を活かすことを大切にして進めていますので、大まかな流れや私どもが考慮している点、注意している点等々をお伝えします。

★まず、クラスの子どもたちで話し合うこと(Ex.名称:○○会議)からスタートし、先生から子どもたちには、「12月に作品展(アートライヴ)があります。楽しかったことや物・好きなことや物・ 興味があることや物・形になったら面白いと思うこと・作ってみたい物・・・何でもいいので教えてください」等の導入から、子どもたちの会議を始めてみました。
進め方として、はじめからクラス全員で進めても良いのですが、なかなか難しい部分もあるかと思います。例えば『自学自習の時間を使い、先生が1グループずつ集めて会議を行う。全グループの会議が終わったらクラス全員でのまとめの会議を行う』といった方法もありました。いずれにしても1日でまとめようとせず、数日使ってじっくり子どもたちの会議を進めてみました。

《子どもたち主体の会議のプロセス》
まずはお約束 『お友だちが発言・発表している時はお話せずによく聞きましょう』
①自分の考えやアイディア等をお友だちに伝える・発表する
(積極的に発表できる子から始める。中には自ら言い出せないお友だちもいますので、先生が声掛け等できっかけを作ったり、その子から耳打ちで伝えてもらう、等のフォローをしました)
②お友だちの考えやアイディアをよく聞く。
③お互いの良い所、やってみたいこと、アイディアを認める。
④みんなの考えやアイディアをどうやって作品につなげる?まとめる? どんなものが作れそう? みんなで考える・悩む・案を出す。
★『子どもたちが主体の会議のプロセス』を充実させながら進め、子どもたちが積極的に参加し、試行錯誤しながらやりたいことを実現させようとする姿・時間・ 経験を大切にしました。
★学年やクラスの状況によっては、会議で先生のフォローが必要な場面もありました。
(進行・問いかけ・選択肢・・・など) また、みんなの意見や考えを一つの作品にまとめようとするのは実際難しいことです。(一つにまとめようとするあまり、それに向かうよう先生が誘導する流れになることも・・・) みんなの意見をまとめた結果、クラスの作品が2~3種類(子どもが作るのはその中から1作品)になってもいいことにしました。
★『出来上がった作品を通し、お子さんの成長を感じていただく』ことはもちろん大切ですが、子ども同士での話し合い、会議での経験や『自分たちがやりたい!作りたい!』と思ったことに懸命に取り組む制作過程、特に、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」との結びつきにも着目しながら進めています。

 以上、あくまで途中経過、このような取り組みをしながら、クリスマスフェスタ・アートライヴを通じて、いろんなことを表現し、様々に育つ時間を過ごしています。当日は、まだまだ先ですが、どうぞ楽しみにしてくださいませ。

園長だより vol . 268 (2023.10.31)