ふじようちえん

2012.10月2日 園長だより

2012年10月02日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 天高く、馬肥ゆる秋…ふじようちえんには、はるちゃんとラッキーと言うポニーがいますので、このフレーズ、いつも実感しています。確かに、秋を迎え、二頭とも毛づやも良く、光り輝いて、少々丸くなっています。その昔、農耕馬が、秋の収穫を終えて一休みする状況の中、食欲が増し、肥えてたくましくなる様を現した言葉です。これから、はるちゃんたちは、冬に向かうにつれて毛が伸び、冬の寒さに耐えられるように変化して行きます。自然の摂理に感心するばかりです。
 皆様、秋を迎えていかがお過ごしですか? レジャーに、読書に、スポーツに、そして、食欲に…何をするにも素晴らしい季節、どうぞ存分にお楽しみ下さい。
 冬に備えて毛が伸びるはるちゃんたちに対抗して、現代の私たちはと…考えると、おそらく、暖房、鍋物、ヒートテック…と言うところなのかもしれませんね?

≪痛さの思い出≫
 青く澄み渡る空が広がり、秋の空気が漂っています。今、園長席の前には、イガ付きの栗、スマイルファーム産のさつまいも、枝葉付きの柿、リンゴ、ひょうたん、へちま、ゴマ…等々がおいてあります。子どもたちに大人気なのは、イガ栗です。
栗のイガに触れないように慎重に栗の実を取ろうとして…イタイ!! 何とかして実を取ろうとするのですが、またイガに触って…イタイ!!!この繰り返しです。でも、このちょっと痛い体験が、将来、味覚で感じるだけではない秋を思い起こさせることになり、大切な感性を育て、育むことに役立って行くものと考えています。
 幼児期に、体験を通じて得た様々な実感は、何となく憶えているものです。きっとその何となく記憶されたものが、例えば、文化的な活動で、何かを表現する時に、とても大切な原点になり、やがて、文化を創って行くこともあり得ます。
 栗のイガから文化が創られる…なんていう独断と偏見の話で恐縮ですが、私たちは、様々な環境や体験を通じて子どもたちの将来に役立つことが出来たらうれしいと思っています。この幼児期の育ちの環境をしっかり支え、お手伝いして行くことが、私たちの役目であり“幸せな未来をつくる”ことに繋がることだと信じています。
 ちなみに、ひょうたんは、水に漬けて腐らせて種を出し、乾燥させて昔の“水筒”。へちまは、昔の手洗いや体洗いの“たわし”と伝えています。実際にお友だちに水を入れたり、手を洗ったりしてみてもらい、実感してもらいます。
 また、このことは、私たち大人にも、モノが無かった時代の日本の生活を想像させてくれ、自然や季節と共に生活していた時代こそ、理にかなって、無駄がなく、本当の豊かさがあった…なんて言うことまで考えさせられますね。
ゴマで“ゴマ塩”づくり、さつまいもで“乾燥イモ”づくり…もあります。

≪秋に育つ≫
 今、子どもたちが屋根上でリレーの練習をしています。各クラスが競い合い、デットヒートしている様子が足音で分かります。リレーの練習、最初のころに比べれば、バトンの渡し方も上手になり、競争意識も高まってきました。毎年、お伝えさせて頂いておりますが、ふじようちえんの運動会への基本的な姿勢をお話させて頂きます。
 運動会は楽しい行事ではあるけれど競技に参加したり、大勢の人の前で演じたりすることを通じて育ついわば装置みたいなものとお話しています。
でもその装置はものすごく性能が良くて、準備や練習の日から当日までの時間の中でお友だちと協力すること、競い合うこと、できたときの達成感、または自分の番を待つあのドキドキ感、人前で演じることの体験等々・・・言い尽くせないほどの多くの体験や心の成長に貢献できることがいっぱい備わった装置なのです。
 そんな訳で、幼稚園のいろんな行事、特に運動会を子どもが育つための大切なステップとして捉えています。ただそのステップは、単に○○が出来るようになったとか、踊れるようになったとかいうことを目的にしたものではありません。それも大事かもしれませんが、それ以上にみんなで練習に参加して力を合わせることを経験したり、かけっこなどで早く走れるように努力する心が芽生えたり、みんなで難しい踊りを覚えてお互いに助け合うことなどを体験できる時間を過ごす方が何倍も重要だと思っています。当たり前のようですが日々の保育に力を注いでいくことをより大切にしていくことが、結果として、行事もしっかり行える力が付いていくものと考えています。
 運動会でふじようちえんが大切にしていることは、“力をあわせること”“競い合うこと”“みんなで仲良くなること”です。子も親も園もみんなで育ち合える…運動会にしていけたらと思っています。
【運動会を教える幼稚園にはなりたくない、運動会でみんなが育つ幼稚園でいたい】ということです。

≪天動説と地動説≫
 その運動会に関連してのことです。
約20年前の運動会前夜、家族での観覧場所確保のために、深夜から開門を待っている方々が年々増え、ついには、約100人近くの人が並ぶようになりました。寝袋や食糧持参という状態です。深夜ご近所のご迷惑になると言うことで色々考えました。その結果、各クラスエリアを設定し、そのエリア内を四角く区切り家族席としました。席は恨みっこなしの子どもの抽選で決めると言うやり方にしました。合わせて、出来る限り子どもたちの競技・演技が良く見えるようにとの思いで、踊りは各クラス席に近いところで演じ、かけっこは、各クラス席へ向けて走るようにしました。お子さんの頑張る姿をしっかり見てもらおうと思っています。その為、かけっこのバージョンが数通り、白線を描いたり消したりしますが、パフォーマンスとして楽しん下さい。
 この会場づくりは、どっちが動くか?天動説と地動説みたいなものとご理解下さい。大勢の大人がカメラを持って移動すると混乱し、危険だという考えもあり、その場所からご覧いただけるようになっています。
 運動会後、何回も見れるビデオカメラで録画するのもよし、会場の空気感と共に肉眼で見て光景をしっかり目に焼き付けるのもよし、どんな形にせよ、子どもたちが成長している今をご覧頂きたいと思います。その成長を家族みんなで喜んであげる日が運動会と言う日なのかもしれません。どうぞよろしくお願い致します。

園長だより vol.114  (2012.10.2)