ふじようちえん

2011.11月30日 園長だより

2011年11月30日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 小春日和のような晩秋の午後、緑の芝生に覆われた園庭に、スズメたちが賑やかに餌を啄ばんでいます。そのスズメたちも、子どもたちが部屋から出てくる気配を感じ、一斉に飛び立ちました。やがて、元気な子どもたちの声があちこちから聞こえ、外遊びの時間になりました。今度は、まるで大きなスズメたちが、やって来たかのような賑やかさです。まさか…この風景が、舌切雀のスズメの学校の由来なのでしょうか?
 本格的な冬が近づいていますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 集団で過ごす時間が長い学校や幼稚園では、風邪等が流行る季節です。うがい、手洗いを心がけ、風邪等ひかないよう、他の人にうつさないようにみんなで注意しましょう。合わせて、体調管理もしっかり行い、早寝、早起き、適度な運動をして、心身ともに元気で過ごせるように鍛えておきましょう。

≪魔法の大根≫
 先日の大根掘り、子どもたちは、自分の背丈よりも大きく育った大根を持ち帰りました。ふろふき大根等々…それぞれのお料理で召し上がって頂けたことと思います。その後、各ご家庭からの『美味しかった!!』の声に、私の心が温かくなりました。
スマイルファームの作物が、皆様に喜んで頂けることに心より幸せを感じています。
 『大根を食べると、風邪引かないんだよ!!』と大根掘りの時、子どもたちに伝えました。私が言うことだから、子どもたちも半分ふざけて『えぇ~、ほんとに!!』なんて反応です。私も、本当かどうか?知りませんが、子どもの時、親から言われた記憶があります。大根をあまり食べない私に大根を食べさせようとする言葉かも知れません。まぁ、どんな形でもスマイルファームですくすく育った大根、新鮮な内に美味しく食べてもらえたらうれしい限りです。
 ちなみに、自分で抜いた大根をお家で料理してもらい食べた子は、みんな大根を食べられるようになり、大根好きになるようです。それまで、大根の“だ”の字も言わなかった子が、自分で抜いた大根を愛しく思い、食べるようになり、美味しさを実感するからでしょう。実体験を通した育ち、学び、本当に大切ですね。

≪乾燥イモで、育つ≫
 冷たい風に震える朝が多くなってきましたが、この寒風と日差しを利用して、今、幼稚園の屋根の上では、乾燥イモ、切干大根、干し柿作りにチャレンジしています。
 わずかですが、スマイルファームで育てた、乾燥イモ専用のサツマイモ、蒸かして、皮をむいて、スライスして、並べて干して、一週間で完成。作り方は、単純ですが、これで甘く美味しい乾燥イモが出来上がる予定です。ちょっとつまんでみたら、とても甘く、美味しかったです。さらに甘みを増す乾燥イモ、出来上がりが楽しみです。
 今、子どもたちの育ちに貢献する幼稚園のランチとして、玄米や胚芽米、五穀米、十穀米、麦飯、古代米等々を取り入れ、特に味覚が整うこの時期に、お米本来の味を感じ、味わってもらえたら、また、よく噛むことを通じて、顎の成長に役立てればと思い食べています。子どもたちも、楽しく食べています。ファミリーランチで、召し上がって頂く機会がありますので、よろしくお願いします。
 さて、この乾燥イモ、昔から“おやつ”として、保存食として食べられて来ました。乾燥イモを通じて、素朴な物の中にある、本物が持つ美味しさを味わってほしいし、何よりも、見かけはあまり良くないけど、噛めば噛むほど甘くなる、そんな食べ物もあることを、今の子どもたちに知っておいてほしと思っています。
 普通のさつまいもでも、乾燥イモが出来ます。どうぞ、お試し下さい。ただし、出来上がるまでは、つまみ食い無しです。出来上がるまでに、ほとんど食べてしまったと言うことが無いように…。

≪引っ張る力、押す力≫
 よく使う表現に、“袖を引っ張る”とか“背中を押す”とい言うものがあります。比較的、友人、知人等々、人間関係が基礎にあり、その関係の中で使われることが多い言葉のようです。実はこの表現言葉、親子関係にも当てはまる様です。
 私事で恐縮ですが、先日、高校生の息子が、中間テスト当日の朝、一夜漬けのテスト勉強の成果か?朝、中々起床出来ず、ぐずぐず寝ていました。定刻の電車に間に合いそうもありません。そして、まだ寝ています。テストは、息子のこと、遅刻するのは本人だからと構えていた私ですが、やはり私も人の親、本音では遅れては大変だと言う思いがあったのも正直なところでした。心の中では『眠くて寒い中、自転車で行くのは大変だし、私が送って行ってあげるようかな? テストだし、遅刻はさせられないし…最後は、仕方ない、送って行こう』という助け舟を出してあげようかなという思いでした。何度も息子の部屋に行き、起こしました。あまりにも起きないので仕方なく、『駅まで車で送って行ってあげるから、早く起きろよ!!』と言うと、息子は、スーッと起きて眠たいながらも着替え始めたのです。それも素早くです。私の遅刻を心配する気持ちが、息子の起床をずるずると引っ張っていたのでした。息子としたら、最初から車での送りを決め込んでいて、まだ起きなくていいや、ギリギリまで寝ていればそのうち、私の『車で送って行ってあげるから…』と言う言葉が聞けるものと思っていたのですね。まんまと朝から息子の罠に、はまってしまいました。

 早く起きろと起こしている、つまり、息子にプレッシャーをかけて、押している様でいて、実は、思いっきり子どもの心を引っ張っていたようです。その証拠に、私が不在の朝、遅れそうになるとあたふたと自分で起きて、自転車で出かけて行くのです。   そこで、自戒の意味を込めて一言アドバイスです。
 子どもを自立させるには、ここぞと言う時には、息子、娘の甘えを呼び込むような隙を作らないこと、その為には、困っている我が子を見ても、見て見ぬふり、無関心を装う、遠くから見る、死んだふり…が有効!? です。
いかがでしょうか? おかしな言い方ですが“無視する力”親として結構、大事なのです。親になるのも修行ですね。

園長だより vol102 (2011.11.30)