ふじようちえん

2017年5月31日 園長だより

2017年05月31日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 南側の砂場で数人のお友だちが地面を掘り返し、何かを見つけています。聞いてみると、ダンゴムシを見つけているとのこと、確かに、ダンゴムシをはじめ、てんとう虫、ミミズ、クモ等々…いろんなものが活動的になってくる季節です。木も、草も、虫も、そして、子どもたちも、グングン育っているという感じですね。
 その中で、♪でん、でん、むし、むし、かたつむり、おまえの頭はどこにある・・・園庭の木にかたつむりを見つけ、思わず歌いだしているお友だちがいました。とても元気な歌声とは逆にとてもゆっくりなかたつむりの動きを見ていて思いました。なるほど、このゆっくりな動きだからこそ、子どもたちは頭や角を見つけようとし、細部をみようとすることで観察する力が養われているんだなと考えました。そう考えるとこの歌、実は子どもの好奇心、観察する目、科学する心の芽生えを応援している歌なのかもしれないと思えてきました。
 私は『理解は驚きに始まる』と言って、自然との触れ合いの中で子ども自らが見つけたり、気づいたりすることが一番大事だと思っています。このように、かたつむりとの出会いが歌になり、生きものへの理解につながっていくこと、勉強になりました。でも、この元気な歌声を聞けば、かたつむりもきっと行動が早くなる?でしょうね‼ 

 いよいよ梅雨入りが近づいてきました。皆様、いかがお過ごしですか?
湿気と暑さも増してくる6月、お体ご自愛くださいませ。熱中症にも要注意ですね。
 本日、藤の会の役員さんの顔合わせ会がありました。昨年度、大変お世話になりました本部チームをはじめ各チームご担当者、各メンバーの皆様方、本当にありがとうございました。お陰様で無事終了することが出来ました。心より感謝申し上げます。
 新役員さんにつきましては初めてのことも多いと思いますが、幼稚園同様、藤の会の活動もみんなで力を合わせることは同じですので、ご心配なさらないで下さいね。むしろ、一生に一度のお子様の幼児期の成長を藤の会活動を通して側面からご覧頂き、子育て時間を楽しんで頂きたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

≪雨と長靴≫
 雨が降り、うっとうしい季節ですが、子どもたちのカラフルな長靴が各クラスの出入口に揃えてあるのを見ると、とてもかわいく感じます。同時に、その長靴を揃えている子どもたちに、その成長と子ども同士が育ち合っていることを感じます。
 ある日、朝は雨がザァーザァー降り、お帰りの時にはカンカン照り、そんな時、少し歩きにくそうに長靴で帰る姿を見て考えました。一般的に子どもにとって長靴は、おそらく、スニーカー等より、靴の中に遊びと言うか、余裕がある分、逆にしっかりと歩く、歩行の訓練にもなっていると想像しました。例えば、長靴で走っている子どもがスニーカーを履いたら、すごく速かった…なんてこと、ご記憶にありませんか?失礼、私の育った昔の話でした。
 雨が降り、長靴を履いて育つこともあるのですね。まぁ、晴れると長靴も立場が無くなって、かわいそうですけれどね。

≪お父さんとあそぼう!!≫
 もうすぐ家族参観日、ふじようちえんでは、毎年、父の日に家族参観日と称してご家族の皆様に保育に参加して頂いています。参加と言っても、いつもお子様が座っている席に座ってもらい、一緒に制作したり、ゲーム等をして楽しい時間を過ごしています。同じ机でいつも一緒にいるお友だちのご家族様ともお会いできる機会ですね。
 各クラスで子どもたちに、『お父さんと何して遊んでいますか?』と聞いてみたところ、たくさん答えてもらいました。子どもと遊ぶ時のご参考までに列記してみます。
電車ごっこ、積み木でスカイツリー・東京タワーづくり、カード遊び、自転車に乗る、絵本を読んでもらう、公園で遊ぶ、鬼ごっこ、戦いごっこ、かくれんぼ、人形あそび、ブロック遊び、リカちゃん遊び、トランプ、お相撲、サッカー、ゲーム、おもちゃ、ブランコ、ボール、スゴロク、トミカ、プラレール、なぞなぞ、ぬり絵、テレビを一緒に観る、すべり台、しりとり、ジェンカ・・・いろいろな遊びがありました。そして、『パパ、会社が忙しいから、遊ばない』とか、『夜遅いから遊べないの』、『ひとりであそんでいる』と答えるお友だちもいました。夜遅くまで頑張っているお父様方、本当にご苦労様です。その姿勢、子どもたちは必ず見て、感謝していると思います。
また、子どもたちの答えの中に『お父さんと戦いごっこ!!でも、パパよりママの方が強いの!!』と言う、素直な意見もありました。(きびしい現実!?)
 『親の背中を見て育つ』と言われていますが、最近の親の背中は、仕事している姿は、中々見せる場面がありません。また、ただ、親も黙っているだけでは見てもらえません。親、自らがシャツを脱いで裸にならないと見てもらえない現代、つまり、遊びでも仕事でも、大切なものは、自から積極的に働きかけ、発信しないと伝わらないのですね。子どもにきちんと親の心を届けるためにも、一緒に遊ぶことは大切ですね。
 分かっちゃいるけど時間もないし・・・親になるのも修行ですね。私も修行中。
以下、以前にもお話しさせて頂いたお話です。ご参考にして頂ければ幸いです。

≪父の日を前に…人格の根っこ≫

 これは以前、強盗致傷罪で担当した少年の話です。彼は小さい頃、お父さんについてタバコ屋さんに行きました。その時、五千円札一枚出したところ、おつりとして八千円と小銭が返ってきた。
「お父さん、おつり多いやんか。おばちゃん、間違えてはるで」と言うと、お父さんは彼を殴りつけ、「余計なことを言うな。黙ってたら分からへん」と言い放ったそうです。ちなみに、お父さんのこの行為はつり銭詐欺で刑法上の罪に問われます。
 この経験が少年の人格の根っことなって、後に彼は万引きを繰り返し、最後はひったくりを行って被害者が怪我を負ったために「強盗致傷罪」に問われました。
 お父さんは「おまえには十分に小遣いを与えていたはずだ」と怒りをぶちまけていましたが、もともとは「バレなければいいんだ」と自分が五千円をごまかしたことがきっかけなのです。
このお父さんも一流企業にお勤めのエリートサラリーマンでしたから、もしかするとこの『論語』の言葉は知っていたかもしれません。『誰が見ていなくても、お天道様が見ている』『論語』の心とは、目に見えないものを感じる心だと思います。
「そうやなぁ、おつり返しに行かなあかんな」と言って返していれば、この出来事は少年にとってまったく別の人格の根っことなったと思うのです。

 以上、振り返ると私も子育て時代、何をもって子育てに臨んでいたのか?また、父になり初めて分かる親心、まさに、親思う心にまさる親心、そして、自分の言動が子どもの物差しになっていること…改めて大きな責任を感じました。きっと、大人とは、子どもに教えられ、育てられている人のことを言うのかもしれませんね。  

園長だより vol . 180 (2017.5.31)