ふじようちえん

2017年7月3日 園長だより

2017年07月03日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

正門横のヤマモモの木に、今年もたくさんの赤い実がなりました。甘ずっぱくて、ケーキのトッピング等に使われるヤマモモは、高級食材だそうです。手の届く高さに実っていますので、できるだけ赤黒くなっている実を選んで自由に食べてみて下さい。農薬や肥料の散布等々、何もしていない状態で、心配はいりませんが、念のため近くの水道で洗うことをお勧めします。樹木から実を取って食べる…なんて経験はあまりできないこと、甘ずっぱい体験⁉ 親子でどうぞお試しください。
皆様、いかがお過ごしですか? 梅雨時、体調を崩しがちです。ご自愛頂き、来るべき夏に備えましょう‼子どもたちの夏のパワーについていくために・・・。

先日の家族参観日には、多くの皆様にお越し頂き、ありがとうございました。
お子さまの席に座り、ゲームや制作を通して、子どもの育つ時間を楽しんで頂けたと思います。また、子どもが作ってくれたプレゼントは一生の宝物になったことと思います。こんな親子の触れ合う時間をこれからも様々な場面を通じてつくり、ご家族の大切な思い出となってもらえたら…と思っています。どうぞよろしくお願いします。 

真夏はすぐそこまで来ていますが、今はまだ梅雨の真っ最中で、じめじめ、しとしとの日々が続いています。梅雨と言うとどうしてもネガティブなイメージを持ちますが、きれいな紫陽花の花も見られるし、きれいな傘や長靴も履けるし、ましてや、この梅雨を受けて木々の緑が一段とその濃さを増し、雨に濡れた葉っぱは、生命の息吹さえも強く感じることが出来ます。今、正門に園長あいさつとして『長ぐつ、雨傘、雨がっぱ、子どもが育つ道具です』と掲示し、梅雨だからこそ育つもの、長ぐつや傘など、子どもにとって少し扱いづらいものを通して、それに慣れるように子ども自ら工夫することこそが、子どもの育ちには大切、とお伝えしています。
極端な言い方ですが、便利な社会、子どもたちは快適に過ごせるような社会環境になっています。だからこそ、子どもたちには少し困らせることが大事だと思います。
困らせて、気づき、考えさせて、工夫させ、行動させる・・・この繰り返しで子どもは、自立していくものと思っています。意外にも“子どもを困らせること”子育てのキーワードになれるかも?知れませんね。

≪集中力の源は、モンテッソーリ教育≫
プロデビューから無敗を続け、昨夜残念ながら負けてしまいましたが、29連勝を達成された藤井聡太四段、大変注目されていますが、実とはモンテッソーリ教育を受けていたとのこと、正直、驚きました。以下、新聞記事ですがお伝えさせて頂きます。(日刊スポーツ6/27紙面参照)
モンテッソーリ教育はイタリアの女性医師マリア・モンテッソーリが20世紀初頭に確立した。国内第一人者の滋賀大教育学部元教授の相良敦子さん(79)によれば「ハートバッグを作るときには色紙の組み合わせを考えて分けたり、合わせたり、比べたりします。指先を動かしながら脳を使います。」子どもは自分から「やりたい」という出発点があれば、何度も繰り返し、黙々と何時間も集中するという。
藤井さんの場合も「できたという達成感を得て、また別の色の1枚、もう1枚と何時間も集中していたのでしょう。集中した後は自立のレベルが高くなっていきます」興味の対象が移っても、培われた集中力は発揮される。4歳のときには立体迷路のスイスの木製おもちゃ「キュボロ」、5歳の夏からは将棋に夢中になった。
モンテッソーリ教育を受けた子どもたちを追跡調査した相良さんは藤井さんの戦いぶりを注意深く観察し、「あの集中力と直感力。追い詰められたときでも状況を見渡し、臨機応変に対応する力。調査した子どもたちと共通する特徴が多いですね」
幼児期にモンテッソーリ教育を受けた人の中からは、米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏、アマゾンの創設者ジェフ・ベゾス氏らユニークな人々が生まれている。ITの世界で天才と呼ばれる彼らは世界に革命的な変化をもたらした。デビューから無敗で新記録を達成した14歳。将棋界の未来を「天才」が背負っている。【松浦隆司】

急きょ、ふじようちえんでも、その昔、子どもたちが遊んでいた手作りの将棋盤を出してきて、モンテッソーリライブラリーに置いてみました。確か?当時の子どもたちは高さ約20cm将棋盤の上からジャンプして遊んでいました。知らないとは言え、なんと罰当たりな遊びだったのでしょうか。私たちも藤井四段にならって、取ってつけたような環境づくりですが、楽しみたいと思います。

≪江戸時代の子どもの食べ物は?≫
ある大学で、『江戸時代の子育て、現代の子育て』というテーマでのシンポジウムのご案内を頂きました。そう言えば、随分前に単純に『江戸時代の子どもたちは何を食べていたのだろうか?』と言う疑問が浮かび、当時、参考文献を調べて、ランチメニューとして、食べたことを思い出しました。玄米ご飯に、お味噌汁、ヒジキの煮物、千切り大根の煮つけだと憶えています。そこで、再度調べてみると、より具体的な子どもの食環境が分ってきました。
庶民の多くは長屋に住み、朝に1日分のご飯を炊いていました。朝食は、ごはん、味噌汁に漬け物程度。味噌汁の具は、「しじみ」「わかめ」「豆腐」「野菜」など。子どもたちは朝に寺小屋へ行き、昼になると家に戻って、母親と朝に炊いたご飯、味噌汁、野菜の煮付け程度を食べ、再び寺小屋へ行き、午後2時頃に帰ってきました。そして、3時頃に「おやつ」。焼き芋や餅などです。夕食は、一汁一菜が基本。米飯は高価で、粟、ひえ等々を食べていました。蕎麦、うどん、寿司は、大変な贅沢だったそうです。
江戸の子どもの食卓に思いを馳せ、貧しかったとは思いますが、そこには家族の会話があり、笑顔があり、あったかさを感じました。反して、飽食の時代、すれ違いの食卓や個食等々の現代の食風景…本当の豊かさとは?…を考えさせられました。
マザーテレサさんが、初来日した時、日本の街並み、建物、服装、すべての『きれいさ』にびっくりされたそうです。しかし、『きれいな家の中、親子の会話、夫婦のいたわりあい、微笑みがないとしたら、インドの小屋の中で仲睦まじく暮らす家族の方が豊かです』と言っています。 『きれいさは、お金で買えるが、心の美しさは買えない』、豊かさとは何か?自分の生活をもう一度見つめてみようと思いました。

園長だより vol . 181 (2017.7.3)