ふじようちえん

2014年2月28日 園長だより

2014年02月28日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
先日の大雪、皆様いかがでしたか?
まだ雪が残る園庭に、♪きたかぜぇ~こぞうぅ~の、かんたろう!!、かんたろう!!の歌声と♪はるがきた、はるがきた、どこにぃーきた!!の歌声が重なって聞えています。子どもの歌声で、季節の移り変わりを感じたひとときでした。

≪大雪での経験≫
 先日は、予期せぬ量の雪が降り、皆様も大変だったこととお察し致します。幼稚園周辺も見る見るうちに雪国と化し、道路や歩道の境や交差点さえもよく分からない状態でした。そんな中、雪で立往生している車を近所の人や通行人の皆様で押したりする光景が多く見られました。先生方もいつもは車で30分の通勤時間が約4時間かかったり、やっと自宅手前約10mぐらいまでたどり着くと、今度は降り積もった新雪を取り除かないと自宅に駐車出来ない状態だったそうです。そんな時に普段は仕事で遅く、お会いしたことも無いご近所さんが出てきて一緒に雪かきをしたそうです。また、17、8才のヤンキーぽい青年たちが、立往生している車を押してくれたそうです。運転手さんは、『ありがとうございます』と言うと、『当然のことですから』と言って、その場を立ち去ったとのことです。普段は挨拶もしない通行人同士が、困っている人をみると助け合う風景に、日本人の思いやりの心、危機に立ち向かう底力みたいなものを垣間見た気がしました。確かに、園周辺の歩道や交差点の雪かきをしていると誰ともなく皆さんが『ご苦労様です』『ありがとうございます』の言葉をかけてくれました。
大雪の影響はまだまだあるようですが、雪の冷たさ、寒さの中に、人の心のぬくもりを感じることが出来た大雪の経験でした。

≪競技とあそび≫
 たくさんの思い出、喜びと感動を残してソチオリンピックが閉会しました。それぞれの選手の頑張りに大拍手の毎日でした。特に印象的なことは、スノーボードの銀・銅メダルです。17才と19才の若者が世界で活躍したのです。メダルもすごいのですが、全然緊張していない二人の姿を見てビックリしました。新しい競技とは言えオリンピックの舞台です。私なりに考えてみました。おそらく彼らは、幼い時からスノーボーに夢中になり、遊びでいろんな技に挑戦して競い合って、楽しんで来たのだと思います。その延長上にオリンピックがあったのかも知れません。遊びから取り組んだスポーツ故に、緊張とは無縁だったのだと想像します。競技となるとついつい力が入り過ぎ、思わぬミスを起こすこともあります。今大会でもありました。
 幼い時からの遊びの中ある、こんなこと出来るかな?の好奇心や勇気を持って挑戦する気持ち等々を、そのまま持ち続けているのだと思います。
『遊び』の中に全ての解があるような気がします。『あそび』をもっともっと大切にみなくてはいけないようです。大人があまり関与しすぎないように・・・ですね。

≪家庭で話す偉人伝≫
今回のオリンピックでは、メダル獲得に至る様々な人生ドラマを知ることが出来ました。その一つに、ジャンプ男子ラージヒルで銀メダルを掴んだ葛西紀明選手がいます。長野大会以来16年ぶりのメダル、夢をあきらめることなく努力を重ねて7度目のオリンピック、しかも41才でのメダル獲得は日本勢最年長という快挙でした。さらに、団体でも銅メダルを取ったのです。本人の頑張りは基よりですが、お亡くなりになったお母さまやご家族様のご努力と助け合う姿に、そして、団体ではメンバー一人一人の事情を思い計り、何んとかメダルを取らせてあげたいと言う思いに、競技以上の感動を頂きました。さらに『今後は、まだ、金という目標がありますから、頑張ります』との41才の銀メダリストの発言に多くの人が勇気付づけられました。
また、本当にメダルを取れなくて残念でしたが、浅田真央選手の最後の滑りに目頭を熱くした人も多くいたのではないでしょうか?私は感動して、浅田選手の本当の凄さに涙が止まりませんでした。メダルよりもメモリー、記録よりも記憶にしっかりと刻み込んだ存在になったと思います。
その昔、私たちの幼少期から小学生低学年ぐらいの間に、野口英世やシュバィツァー博士、ナイチンゲールやヘレンケラー・・・等々の偉人伝を本で読んだり、先生から話を聞いた記憶があります。人並み以上の努力を続け、世の為、人の為に一生を捧げた先人たちの話を聞き、生き方の手本とするように・・・と教えて頂いた記憶があります。時代は変わり、偉人伝はあまり聞く機会が無くなりましたが、子どもたちに行き方を伝えたい気持ちは変わらずにあります。これを機会に、“家庭で話す偉人伝”として、ジャンプの葛西選手とそのメンバーのドラマや最後の最後まであきらめない浅田選手の姿勢、ソチオリンピックで頑張った選手たちの話を子どもたちに話してあげてほしいと思います。“家庭で話す偉人伝”は、今はまだ分からないかもしれませんが、やがて思いは必ず伝わるものと信じています。みんな、よく育ってほしい!!

≪目安を育てる≫
 前回、天気予報の話で、漁師さんが『あの山に雲がかかると明日は雨だ』という言葉の方が、天気予報よりもよく当る話をしましたが、あるおばあちゃんから『私のひざが痛くなると雨だよ』という実体験に基づくお話を頂き、みんなそれぞれに何か目安みたいなものがあるのだと思いました。
以前、鉄ちゃんの友人が話していたことです。それは、電車の車両に基いた大体の長さの目安です。一般的に中央線、山手線等々の車両は1両の長さは20m、10両編成で200m、15両編成で300mとなります。新幹線は1両25m、12両編成で300m、16両編成で400mとなります。当然ですが、それに伴い、ホームの長さも準じますので歩く距離の目安にもなります。また、停車中の車両位置を確認しておいて後で、20mを自分は何歩で歩いているのか確認すると自分の歩幅が確認でき、メジャーが無い時の計測に役立つかもしれません。まぁ、目安ですから正確ではないのですが、状況を掴むにはとても便利です。実はこの目安とか、見当をつけることは、実体験を背景にしながら掴むしかありません。幼児期は、その一生を通じての大切な感覚を育てる時期、しっかりと遊び、感覚を研ぎ澄ましておきたいものですね。たまたま友人の話が重なりましたので下記に掲載させて頂きます。
【ネット検索より五感磨き】
ある料理研究家がおいしいレストランを自分が探す場合の方法を語っていました。
それは、排気口の近くに行って「香りを嗅ぐ」というものでした。「アナログはデジタルに勝る」という見本例だと思いました。インターネットの普及で、ネット検索して情報を調べるということが高度にできるようになりました。レストランの場合なら、レストランサイトとその外部評価を参考にするということがよく行われます。しかし、それはあくまで知らない他人の意見です。他人の意見と自らの五感とどちらを信頼するかの問題です。前述の料理研究家は、自らの五感を信じ、五感が発揮できる状況を探し設定していたのです。試食ができなくても、「試香」ができれば良い店かどうかが、彼は判断できるのです。おいしいレストランとは、化学調味料に頼らない本物の旨みを引き出す店だという観点が、彼にはあるのだと思います。化学調味料に頼っているか否かは、排気口に近づけばわかるのだと思います。
他の分野でも同じです。ネット検索は便利ですが、頼りすぎると自らの五感を後退させることになりかねません。ネット検索技術よりも、五感を磨くトレーニングのほうがより大切だと思います。

排気口、嗅いでみようと思いました。ご参考までに。

園長だより vol . 134 (2014.2.28)