2010.7月8日 園長だより
2010年07月09日 / 園長だより藤幼稚園のご父母のみなさまへ
蒸し暑い梅雨が続いておりますが、皆様、お元気でお過ごしですか?
いよいよ夏本番も近くなり、夏休みの家族旅行の計画にも一段と力が入るころですね。
何もしていないという方、ご安心下さい。大丈夫、まだ間に合います。お子様との大切な思い出がいっぱい出来ますようにじっくりとご準備下さいませ。
サッカーのことはよく分からない私ですが、ワールドカップでの日本の快進撃に感動し、にわかサッカーファンになり、今度はJリーグを見に行こうと思っています。
私の時代は、王、長島の野球世代ですが、どうやら変化が起き始めたようですね。(どこまで続くものか?)
少し時間がたちましたが、家族参観日には、多くの皆様にご参加、ご協力を頂きまして、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。
各クラスとも、制作やゲームを通じて、ご家族と一体になったとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。何より、たまにご来園頂き、幼稚園のことがいまひとつ分からないお父さまをリードしている時の子どもたちの目の輝きは、自信に満ちていて本当に嬉しそうでした。
子どもたちの心に自信をつけた家族参観日でもあったようです。
≪願いごと≫
昨日は、七夕でした。彦星様、織姫様は、天の川でデートしていたのでしょうね?
各お部屋から♪笹の葉、さぁ~らさら、軒端にゆれる、お星様きぃ~ら、きら・・・子どもたちの歌声に、本当に七夕らしい雰囲気が漂っていました。
この前の笹飾りに続いて、笹舟を作り、水を張った昔ながらの木のたらいに浮かべてみました。熊笹の大きな葉を折って作った笹舟、初めてのお友だちもたくさんいました。私は、本当に懐かしい風景に出会った感じがしました。そして、このデジタル、IT全盛時代の今、なんとも言えないこのゆっくり流れる時間に、すごく大切なものに触れたような気がしました。
みんなの願いがかないますように・・・夢に思いを馳せる大切な行事ですね。
また、私は、この七夕の時に、いや七夕の時だからこそ、『確かにお願いごとをすることは大事ですが、何もしないでお願いごとばかりしていても中々、願いごとは叶いません。神様や他の人にお願いをし、頼ってばかりいるのではなく、むしろ、お父さん、お母さんの言うことをちゃんと聞くこと、そうすると、願い事が叶います』と子どもたちに伝えています。
そんなことは無いのでしょうが、小さいころからお願いごと、お願いごと、お願いごと、お願いばかりしていると、自ら努力をしない子になる?・・・かも知れませんね。義務と権利みたいなもので、権利を主張する前にすべきこと、義務は果たすという大人になってほしいだけです。
≪理に叶う≫
先日、水を張ったガラスの器に氷を浮かべ、今年初めてのそうめんを食べました。身も心もとても涼しくなったひとときでした。クーラーも好きですが、この涼しさも大好きですね。
今、園長席からは、プール、風鈴、カブトムシ、きゅうり、やまもも、ナス、カエル、じゃがいも、くわがた、カニ、ウメジュ-ス、うちわ、朝顔、乾しているTシャツ、そして、元気な子どもたち・・・が目に映っています。ごく日常の風景ですが、よく見ると、みんなそれぞれに暑い夏との付き合い方、過ごし方を私たちに教えてくれているように思えます。
そうです、日本文化が本来持っている生活、慣習には、クーラーなどの冷房機よりも優れていて、無駄無理が無く、自然の理に叶うものがいっぱいあるのです。ふじようちえんのルールの一つに、『暑い時には、窓を開け、水を飲んで、木陰で休めばいい』というものがあります。
子どもたちが育つ今、自然に任せたり、自然に従ったり、夏を生きて行くすべを自ら身に付くような環境作りをしています。だから、暑い時は、暑い方が、育ってほしい感覚がよく育つような気がします。ちなみに、冬のルールの一つに『寒い時には、屋根の上をぐるぐる走って、日向ぼっこをすればいい』というのがあります。両方とも、すごく当たり前のことですが、その当たり前が中々出来ないのが現実のようですね。
さらに、遠くに見える井戸では、多くのお友だちが水遊びに群らがっています。井戸水を汲み、砂場に作った川や湖にバケツで水を運び、満たすのでしょう。でも、運ぶのに失敗すると、ぬれてしまいます。でも、ぬれたら、乾かせばいいのです。ぬれたら、乾かす、ぬれたら、乾かす・・・の繰り返しが、自分の身体が水にぬれないようにする身のこなしやコツを得て、自らを育てて行くのです。私たちは、子どもが水にぬれることも大切な育ちの状況と考えます。そんな状況に出会ったら、子どもが育っている「その中味」を見つめてみて下さい。
≪日時計と針時計≫
園庭には、毎日、旗を揚げているポールがあります。偶然にも、園舎建て替え以前、開園時より、まったく同じ場所にあります。埼玉県飯能市の山から切り出した檜を使っています。
もう皆様もご存知のように、ふじようちえんは、様々な施設・設備等は、何がしら、子どもの育ちに貢献するように考え、子どもが育つ状況を設定し、環境を作るよう心掛けています。
実は、このポール、旗を揚げるだけのものではありません。なんと、日時計の役割もしているのです。
針時計は、その読み方を教われば読めるようになります。が、時間の本質、道理を見つけるには少し難しいのです。それに引換え、日時計は、季節にもよりますが、その影が、ここでお昼、ここまで来たらおやつ・・・なんて調子で、時間が太陽の動きとつながっていること、時間の正体、本質、道理を感じることができるのです。
言わば、針の時計を読めることが『できる』につながりますが、この『できる』が、ともすると成績重視、テストでよい点を取ることが全ての価値観につながるような気がします。日時計は、時間の道理が理解できる点からも、ものごとの『わかる』に通じると思っています。
『できる』と『わかる』、両方大切ですが、この幼児期には、実体験を通じて『わかる』ことが必要だと思います。五感を発達させ、できることも日ごと増えて行きますが、『できているけど、わかっているかな?』の観点で子どもを見ていきたいものです。字が読めるけど、意味がわかってないとか・・・。ところで、デジタル時計は、ただ単に『読める』という範疇ですかね。
また、考えてみます。
園長だより vol . 84 (2010.7.8)