ふじようちえん

2010.7月20日 園長だより

2010年07月21日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ

 いよいよ夏休みに入ります。園長席の前に置いてある、たくさんのカブトムシやクワガタに見入る子どもたちの目が、キラキラと輝いています。
この夏休み、その目の輝きがさらに増しますように、いろいろなものを見て、聞いて、体験して“子どもが育つ夏”をご家族でどうぞ、お楽しみ下さい。9月には、みんなの元気な笑顔に会えることを楽しみにしています。
 ちなみに、幼稚園では、長時間保育、イベントとしてサマースクールやディキャンプ・・・毎日、毎日、先生たちがいろいろな楽しいアクティビティーをしています。どうぞ、夏のふじようちえんも楽しんで下さいね。キラキラがギラギラになりますよ!!
 私は、8月半ば、昨年に引き続き、四国の四万十川に行き、カヌーや星空を楽しみ、天然のウナギも食べたい・・・なんていう自然満喫の夏休みを過ごそうと計画しています。天候次第なので、どうなることやら・・・。

≪ほめる≫
 以前に、この幼稚園の形は、『最初から楕円形をデザインして設計したものではなく、園長の日常の動線がそのまま建物になっているのです。』と言うお話をさせて頂きました。
園長の役目、仕事としてより、一人の人間として、また、ちょっとばかり早く生を受けた者として、子どもたちに自信や勇気、元気を伝える役目があると思っています。だから、各お部屋に入って行き、『この絵、じょうずだねぇ~』とか『お歌うまいんだね』なんていうことを、正直に感じたままを言い、ほめます。その状況で、他のお友だちにも聞こえるように言ったり、または耳元でささやいたりしているのです。ほめられるとみんな顔が一瞬で変化します。これで自信をつけてさらに成長してもらえば嬉しいと思っています。
 私は、これを『言葉のふりかけ』と言っています。『言葉のふりかけ』をかけるには、お部屋がつながっている方が、また席に戻れて都合がいいのです。だから楕円形になっています。
まぁ、そんな“思い”でたくさんのお友だちに声をかけて参りましたが、先日、友人の三浦さんからの貴重なお話を伺いました。以下にそのまま掲載いたします。
幼児期はもとより、小中高大、社会人に至るまで、活用できそうな大切なことだと思います。

<才能ではなく努力をほめる>
「才能をほめると人の能力は下がり、努力をほめると人の能力は上がる。」
スタンフォード大学の心理学者、キャロル・ドゥエックは、こう述べています。とても興味深いルールだと思います。そのルールを証明する為に以下の実験をしたそうです。

(1)生徒にある10問のテストをしてもらい、成績が同じになるように二つのグループ(A・B 組)にする。

(2)A組の生徒には、才能をほめることを徹底して行う。「8問正解よ。頭がいいのね。」と。

(3)B組の生徒には、努力をほめることを徹底して行う。「8問正解よ。がんばったのね。」と。
(4)両組の生徒に次に取り組む問題を選ばせるという実験を行った。
 A組の生徒は、新しい問題にチャレンジするのを避ける傾向があり、B組の生徒の9割は
 新しい問題にチャレンジすることを選択した。A組の生徒は新しい学びを放棄し、B組の生徒は学ぶチャンスを逃さなかった。

(5)次に両組の生徒に難しい問題を出してどのような反応をするかの実験を行った。
A組の生徒は自信をなくし、自分はちっとも頭が良くないと思うようになった。
B組の生徒は「もっとがんばらなくっちゃ」と考えた。解けないことを失敗だとは思わず、自分の頭が悪いからだとも考えなかった。

(6)難問を正解した両組の生徒に問題を解くことが楽しいかどうかと質問した。
A組の生徒は、自分が頭がよいという評価が崩壊に瀕している際に楽しいと思えるはずがないという反応を示し、B組の正解者は全員が楽しいと答えた。

(7)難問が出題された後の様々な出題に対してどちらが良い成績をとるのか実験を行った。
点数が高いのはB組。
A組の生徒はやさしい問題が出されても成績は回復しなかった。スタート時より成績は悪くなってしまった。
B組の生徒のできはどんどん良くなった。難問に挑戦したことでスキルが向上した。

(8)最後に提出させたレポートの自身の点数欄に、A組の生徒の4割が点数を高めに偽って書いていた。

キャロル・ドゥエック教授はこの実験を以下のように総括しています。
「子どもに『あなたは頭が良い』と言ってしまうと、その子は自分を賢く見せようとして愚かなふるまいに出るようになる。
我々はそんなことを望んで『頭が良い』『優秀』『才能がある』とほめるわけではない。
子どもからチャレンジ精神を奪い、成功への道を閉ざしてしまおうなんて、そんなつもりは毛頭ない。けれども、実際にそういう結果につながる危険をはらんでいるのである。」
(「やればできる!」の研究、キャロル・ドゥエック著、今西康子訳、草思社刊)

この実験と事例は子どもを対象にしたものですが、大人でも同じことだと思います。
評価しほめるべきは、「才能ではなく努力」だと、私も思います。しかも「継続的な努力」であるべきです。

 いかがでしょうか? ほめる観点が違うだけで、かなり成長に影響がありそうですね。
実際の実験をしたわけでも、また、今後する予定もありませんが、思い当たることが多くあり、素直に受け入れてみようと思います。ほめるべきは、才能よりも、その努力なのですね。
夏休みに活用してみて下さい。成長すると思います。でも、努力もしていないのに無理に努力をほめるのも変ですよね。あしからず・・・。 楽しい夏休みを。

園長だより vol . 85 (2010.7.20)