ふじようちえん

2013年10月31日 園長だより

2013年10月31日 / 園長だより

藤幼稚園のご父母のみなさまへ
 
日に日に秋が深まっているようで、幼稚園の屋根の上にも枯れ葉が積り始めました。同時に、朝夕冷え込む季節にもなりました。皆様、いかがお過ごしですか?
先日の秋空の下での運動会、多くの皆様にご参加、ご協力頂き、たくさんの楽しい思い出を作ることが出来ました。ご家族の声援を受け、頑張る子どもたちの姿に確かな成長を感じた運動会でもありました。また、さつまいものつる刈りやおいも掘りでも多くのお手伝いを頂きました。お陰様で、各行事とも無事終了することが出来ました。子どもたちと共に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 

この立川で…と思われるかも知れませんが、スマイルファームに植えて約7年、誰にも言わず、密かに楽しみにしていたアーモンドの木に実が付きました。果肉を取り除くと種子があり、その種子の殻の中にみんなが知っているアーモンドがあるのです。おいしいアーモンド、実は梅干しの仁(天神様)のようなものなのです。天日で干して、フライパンで炒って、チョコレートにからめ、ココアパウダーを振ったらアーモンドチョコの完成です。お菓子メーカーの商品には遠く及びませんが、今度試してみようと思います。ちなみに、アーモンドは、食品の中でも ビタミンEが最も多く含まれていてアンチエイジングにいい?とか言われます。実は、最近、この手の情報に敏感な自分がいることに気づきました。56才、酉年、水がめ座、B型の園長です。

≪さつまいもの収穫で得たものは…≫
今年のさつまいも、夏の異常な暑さの影響で生育を心配していましたが、掘ってみると思いの他、よい出来でした。そして、今年もまた畑では、さつまいもを見つけた時のキラキラ輝く瞳、掘り出した時の満面の笑顔、さらに、自分の力で掘り出した自信に満ち溢れ、満足そうな顔、顔、顔…に出会えました。まさに、子どもの育つ時間そのものだと感じました。
教室で何かを教えて、理解し、答えを出す…と言うような学びのスタイルでは得られないものがそこにはあります。それは、畑で土の中に手を入れ、手探りでさつまいもを見つけ、誰の助けも借りずにさつまいもを掘り出したと言う体験に優る教育なし、と言うことです。自分で見つけて、誰にも教えられず、自分の力で達成したものは、喜びも大きいものです。始める前に大人が手を出し、口を出し、いろいろ教えてやるより、たまには何も言わず、させてみる…やがて、自分で考え、行うようになる…純粋に、自分の力を発揮させることが大事なのです。シンガポールの教育信条にTeach less, Learn more (教えることを減らせば減らすほど、子どもは自ら学ぶ)という言葉があります。子どもたち自ら育つ力を発揮する場所として今後ともスマイルファームは力強く子どもたちを応援して行きます。畑で得たものは、手にしたさつまいもだけではなく、さらに大きな自信と言う収穫だったと思います。また、お家で食べて、自信から納得につながったでしょうか?つまり、美味しかったですかね~?

≪アンパンマンに託す、やなせたかし氏の思い≫
子どもたちが大好きなアンパンマンの原作者、やなせたかし氏がご逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げますと共に、たくさんの喜びを頂き感謝申し上げます。
皆様もご存知のように「アンパンマンマーチ」は、勇気と希望をもてる歌としても有名で、東日本大震災での避難場所でも連日流され、子どもたちは大合唱し、そばにいた大人たちは涙して感動したと言います。ある文書によると、この「アンパンマンマーチ」は、やなせたかし氏自身の人生における戦争体験や様々な辛い経験の中から生まれたものだったのです。また、アンパンマンは、困っている人や悲しんでいる人に自分の顔であるアンパンをちぎって食べさせ、元気になってもらおうという設定でしたが、当初「残酷だ!!」との批判に不評でした。しかし、「捨て身、献身の心なくして正義は行えない」との確固たる信念がだんだん理解され、共感が得られ、子どもたちのヒーローになって行ったのでした。
作者自身は、明言してないそうですが、やなせ氏の2歳年下の弟である千尋さんは、京都帝国大学に進学し、海軍の特攻隊である人間魚雷「回天」の乗組員に志願しています。そして、フィリピン沖で戦死しているのです。こうした肉親の存在は、正義の味方「アンパンマン」を世に送り出す上で、作者の心の大きな柱になっているとのこと。「アンパンマン」のアニメ・歌詞が、私たちに強く訴えるものは、やなせ氏の体験をベースにした内容だからだと想像されます。
やなせ氏は、人生の意味について「人生最大の喜びは何か?それはつまるところ、人を喜ばせることだと思った。人生は、喜ばせごっこだと気づいた時、とても気が楽になった」と語っています。そして、ぼくらはみんな、それぞれ違う思い出を持っている。そして、なるべくよい思い出を作りたいと思って人生を生きる」とも表現されています。『人生は、喜ばせごっこ』…すごい言葉に感動です。

また、14年前、1999年の「こどもの日」。ある新聞の文化面に新世紀を生きる子どもたちに寄せた漫画家やなせたかしさんの原稿が掲載されました。
 君たちの21世紀は「よろこばせごっこの時代」がやってくるという一文だ。なんのために生まれて、なにをして生きるのかー。アンパンマンのテーマソングの内容だ。君たちはそれについて考えたことがあるだろうか、と問いかけている。戦争をする、大切な空気や海を汚す…。いまの大人たちのようなばかなことは絶対にしないでほしい。やなせさんからのメッセージだ。
生きるならうれしいこと、楽しいことを、それはほかのひとをよろこばせることを。
「よろこばせごっこの時代」とは、いかにもこの人らしい。
アンパンマンはもともと大人のために書いた話、とやなせさん。歌詞も難しいので、なぜ子どもたちに人気なのか、わからないという。でも、大震災の被災地でも、子どもたちを元気づけている。生きていることが大切という作者の思いが伝わるのだろう。

亡くなったやなせさんはたくさんの詩も書きました。その一つをご紹介します。

絶望のとなりに
だれかが 
そっと腰かけた

絶望は、
となりのひとに聞いた
「あなたはいったい だれですか?」

となりのひとは、
ほほえんだ
「私の名前は希望です」。

「絶望のとなり」という詩である。 (信濃毎日新聞 2013.10.17より引用)

「喜ばせごっこの時代」…なんて素敵な言葉なのでしょうか!! 私たちも、各々の立場、各々のやり方で、人を喜ばせることを意識し、実践して行きましょう!!

園長だより vol . 129 (2013.10.31)